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Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

オートガイダー導入記 (4): オートガイダー到着

思い出 機材 オートガイダー

前回の続きです。

翌日の10月15日の朝、ついにオートガイダーが届いたのですが、朝から病院の予約があって開封できないまま外出。帰宅して午後から開封、組み立てとなりました。

QHYCCD のオートガイダーとガイドスコープはそれぞれおかきの缶みたいなブリキの缶に入っていました。今時は家電でもカメラでも紙や段ボールの箱に入っているのが普通なのでこれは新鮮でした。

QHYCCD QHY5L-II-M 開封

ケーブルは一式入っていました。説明書は入っていませんでしたが、届いた荷物には協栄産業が付けた日本語の説明書と、ドライバと PHD2 Guiding を収録した CD が同梱されていました。

QHYCCD QHY5L-II-M

本体は 31.7mm 径アイピースのサイズで、重さは普通のアイピースよりはずっと軽いです。

ミニ・ガイドスコープの方はこんな缶。

QHYCCD miniGuideScope

ガイドスコープ自体は組み立て済みで、あとはオートガイダーを取り付けるだけの状態でしたが、オートガイダーの付属品の延長筒等を使うのか使わないのか、そのあたりの説明書は付いてなくて取り付け方がいまいちよくわからず。商品写真を見る限り延長筒は使ってなさそうなのでそのままねじ込んで取り付けましたが、それで正解だったようです。

QHYCCD miniGuideScope + QHY5L-II-M

アリガタのマウントの裏には 1/4 インチのカメラネジの穴があり、カメラ雲台などに取り付けられるようになっています。アリガタ自体には普通のファインダーの足にあるようなストッパーの突起がついていないので着脱時には滑り落ちないように注意が必要です。

QHYCCD miniGuideScope マウント部裏

さて、ガイドスコープのピント合わせは昼のうちにやっておくとよいという話だったので、さっそく PC に繋いで… というところで問題発生。制御用の PC には MacBook Air を使う予定だったのですが、Mac にインストールした PHD2 が QHY5L-II-M を認識しません。

あ、ドライバ別に入れるんだっけ、と思ったら Mac 用のドライバがない。メーカーのサイトにもないし、ググッても Mac では普通には使えそうにないという話ばかり。QHY5L-II-M は PHD2 に対応していて、PHD2 は Mac に対応しているので、てっきり Mac で使えるものとばかり思っていました。発売から何年も経っていますし…

Windows のノート PC は1台持ってはいますが、会社に置きっぱなしで手元にありません。会社まで取りに行くには往復2時間以上かかるし… ということで、近所の家電量販店でノート PC、、、ではなくて、5m の USB 延長ケーブルを買ってきました。

これでベランダから室内のデスクトップ PC まで USB ケーブルを引き込んで、デスクトップ PC からオートガイダーを制御することにしました。ケーブルをつなぐと QHY5L-II-M の電源 LED が点灯し、PHD2 からも接続を確認。

ここでまたトラブル。ピント合わせのためにガイドスコープを遠くの鉄塔に向けますが映像が真っ白で何も見えません。露出時間を最短の 0.01 秒にしてもダメ。故障か?とケーブルが繋がったままのオートガイダーとガイドスコープを部屋に持ち帰ったところ、PHD2 に部屋の様子がぼんやり映っています。

どうも感度が高すぎて昼間の野外では露出オーバーになるようです。夕方日が落ちてくると野外の様子も映るようになり、無事ピント合わせ完了。そうこうしているうちに西の空には金星が輝きだしました。さっそく赤道儀にオートガイダーを接続して PHD2 のキャリブレーションを開始するのですが、ここでまたトラブルです。(つづく)

オートガイダー (QHYCCD miniGuideScope + QHY5L-II-M)

続き:

オートガイダー導入記 (3): なぜ小さなガイドスコープでガイドできるのか

思い出 機材 オートガイダー

前回の続きです。

オートガイダーを注文したのは昨年10月12日で届いたのが土曜日の15日ですが、それまでの間、オートガイダーについて色々予習をしていました。

オートガイダーの使い方については PHD2 Guiding を使うなら公式マニュアルの日本語訳を公開している HIROPON さん(id:hp2)の書いたものがベストだろうと Starry Urban Sky の解説記事を読んでいました。

もうひとつ予習しておきたかったのは、なぜ小さなガイドスコープで長焦点鏡をガイドできるのかということ。最近オートガイダーとセットで売られているガイドスコープは 100mm 前後のものが多く、それで焦点距離 500mm 程度までのガイド撮影が可能と謳っています。なぜそんなことが可能なのでしょう。

オートガイダーのセンサーの画素ピッチは QHY5L-IIM の場合 3.75μm とデジタル一眼とさほど変わりはありません。マイクロフォーサーズ 1600 万画素の E-M5 ならほぼ同じです。オートガイダーのセンサー上で 1 ピクセル星が動くのを検出してから追尾速度を修正するのなら撮影鏡と同じくらいの焦点距離のガイド鏡が必要なはずです。

しかし実際にはオートガイダーのソフトウェアは 1 ピクセル以下の星の動きを検出することでガイド鏡の焦点距離の 5 倍程度なら問題なくガイドできるのです。そのあたりの原理について、PHD2 Guiding の前バージョンの PHD Guiding を開発した Stark Labs のブログに解説がありました。

PHD, subpixel guiding, and star SNR | Ask Craig | Stark Labs
http://www.stark-labs.com/help/blog/files/PHDSubpixelAccuracy.php

話を思いっきり単純化すると、こんな話です。

例えば星像の広がりがオートガイダーのセンサーの画素 1 ピクセルの面積に収まっているとします。星像が画素の中心にあるならオートガイダーの映像にはその画素だけが光っているように写ります。

http://rna.sakura.ne.jp/share/subpixel-guiding.png

ここで星像が 1/2 ピクセル分右に動いた場合を考えると、星像は二つの画素をにまたがることになり、それぞれの画素は半分ずつの光を受け取るので、オートガイダーの映像には明るさ半分の画素が二つ並んで光っているように写ります。

このように星像がまたがった複数の画素の明るさのバランスを見れば 1 ピクセル以下の星の動きを検出できるのです。PHD の場合、理論上は 1/250 ピクセルの動きまで識別できるそうです。

しかし実際にはセンサーにはノイズが入り、微妙な明るさのバランスの変化はノイズにかき消されて検出できなくなってしまうので、そこまでの精度ではガイドできません。シミュレーションでは比較的大きなノイズがある場合 1/5.5 ピクセル程度の精度になるとのこと。

ガイド鏡の約 5 倍の焦点距離の撮影鏡をガイドできるというのはこのあたりから来ているようです。

というわけで 130mm のミニ・ガイドスコープなら 700mm 程度までなら安心してガイドできそうだということがわかりました。BLANCA-80EDT の直焦撮影も余裕です。スカイメモS が PHD2 の制御についてこられれば、ですけど…

10月14日の夜は久しぶりの快晴。でも残念ながらオートガイダーはまだ届いていません。月齢も満月前日で天体撮影には不向きでしたが、ノータッチ追尾の限界を確認しておく意味で深夜に馬頭星雲の撮影にチャレンジしてみました。馬頭星雲の撮影はこれが初めてです。

馬頭星雲 (2016/10/15 02:56)
馬頭星雲 (2016/10/15 02:56)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1000, 30s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

馬頭星雲の上にある NGC2024 通称「燃える木星雲」はそれらしく写っていますが、馬頭星雲の背景になる赤い星雲はほとんど写っていません。肝心の馬の首… と呼ぶとなんだか不気味なので僕はポニーヘッドと呼んでいますが、その肝心の部分は、元の形をよく知っていれば存在はなんとかわかる = 普通はわからない、という写りです。

馬頭星雲の背景の散光星雲のような赤い星雲は普通のデジカメでは写りにくいものです。水素の出す赤い光の波長は、普通のデジカメのセンサーの前に付いている赤外線カットフィルターがカットする波長と被ってしまうので、センサーの感度が落ちてしまうからです。

そのため天文ファンは Canon の EOS 60Da や、Nikon の D810a のような天体専用機や、普通のデジカメから赤外線カットフィルターを除去した改造カメラを使ったりするのですが、志の低い僕は普段使いのデジカメを天体撮影に流用しているのでそういうわけにもいきません。

もっとも天文雑誌のデジカメの新製品レビューなどを見ると無改造でも十分露出時間をかければ赤い星雲もそこそこ写るようです。オートガイダー導入で馬頭星雲はどこまで写るようになるでしょうか。(つづく)

続き:

銀河を見るということ

ポエム

僕らは僕らの住む天の川銀河が宇宙にたくさんある銀河の中の一つに過ぎないことを知っている。天の川銀河で起こっている事は他の銀河でも起こりうることなのだと。だから僕は銀河を見るたびにこう思う。この銀河に僕らが住んでいるように、あの銀河にも誰かが住んでいるはずだと。

そこに望遠鏡で他の銀河を観察するような文明が存在するなら、彼らも望遠鏡で僕らの銀河を見て、あの銀河にも誰かが住んでいるはずだ、と思っているに違いない。そして僕らが望遠鏡で彼らの銀河を見て思っていることにも想像が及ぶことだろう。

つまりこの広い宇宙に同じことを考えている誰かがいるはずなのだ。言葉も文化もきっと驚くほど違うだろうけれど、望遠鏡で銀河を見た時に考えることはきっと同じで、同じだということを互いに知っているのだ。

だから銀河を見るという行為はちょっと特別で、遠い宇宙にいる見知らぬ誰かと繋がる行為なのだと、そんな気がしてならないのだ。

ぎんがさがし

銀河

先週末に撮った銀河の写真について。

上のエントリではトリミングした写真を載せていますが、実際にはもっと広い範囲を撮っていて、そこにはたくさんの銀河が一緒に写り込んでいます。反転画像から探してみましょう。

M91, M88 周辺 (2017/3/5 00:05)
M91, M88 周辺 (2017/3/5 00:05)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー, IDAS LPS-D1 48mm
ISO 200, 300s x 10枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, 白黒反転
オリジナルサイズの画像

M90, M89 周辺 (2017/3/5 01:10)
M90, M89 周辺 (2017/3/5 01:10)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー, IDAS LPS-D1 48mm
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, 白黒反転
オリジナルサイズの画像

M99 周辺 (2017/3/5 02:13)
M99 周辺 (2017/3/5 02:13)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー, IDAS LPS-D1 48mm
ISO 200, 300s x 10枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, 白黒反転
オリジナルサイズの画像

M61 周辺 (2017/3/5 03:19)
M61 周辺 (2017/3/5 03:19)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー, IDAS LPS-D1 48mm
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, 白黒反転
オリジナルサイズの画像

ぎんがさがしたっのし〜!ということで、Stellarium とにらめっこしながらマッピングしてみたのがこちらです。

M91, M88 周辺の銀河マップ (2017/3/5 00:05)
M91, M88 周辺の銀河マップ (2017/3/5 00:05)
オリジナルサイズの画像

M90, M89 周辺の銀河マップ (2017/3/5 01:10)
M90, M89 周辺の銀河マップ (2017/3/5 01:10)
オリジナルサイズの画像

M99 周辺の銀河マップ (2017/3/5 02:13)
M99 周辺の銀河マップ (2017/3/5 02:13)
オリジナルサイズの画像

M61 周辺の銀河マップ (2017/3/5 03:19)
M61 周辺の銀河マップ (2017/3/5 03:19)
オリジナルサイズの画像

集計してみました。

写真 見つけた数
M91, M88 周辺 26
M90, M89 周辺 32
M99 周辺 18
M61 周辺 18

ということで合計94個の銀河が写っていました。名前を書き込む余白がなかったりして書き込んでいないものもあるので、本当はもう少し写っています。

これだけ銀河があれば、きっといるよね? 宇宙人のフレンズ!

スカイメモSの追尾精度の限界は?

機材 赤道儀 オートガイダー 撮影記 銀河

昨年オートガイダーを導入した時はスカイメモSの実力がどの程度か把握せずに見切り発車で買ってしまったのですが、結果的には当初の目的、つまり 8cm F6 + 0.6x レデューサー(288mm)で数分程度のガイド撮影は達成できました。

ではレデューサーなしの 480mm (フルサイズ換算 960mm)ではどうでしょう?これはオートガイダー購入当初試しにやってみたものの、ガイドエラーで星が流れてしまい、無理だと判断していたのですが、最近当時の写真を見返してみると、この頃はまだ設定を詰め切れてなかったせいか 288mm でもあまり安定してガイドできていませんでした。

そこで今の設定でもう一度試してみることにしました。昨日は空はよく晴れていたものの、深夜まで月が出ていて DSO の撮影には不向きでしたが、こういう時こそテスト撮影に向いています。

まず、スカイメモSの素の追尾精度を知りたくてピリオディックモーションの写真を撮ってみました。適当な星野を極軸を方位だけずらした状態で10分露出で撮影します。*1

追尾精度が完璧なら南北(赤緯)方向にまっすぐ星が流れていくはずですが、実際にはギアやモーターの誤差で追尾速度が揺らいで蛇行した光跡が写ります。実際に撮ってみた写真がこれです。

http://rna.sakura.ne.jp/share/periodic-motion-of-SKYMEMO-S.jpg
スカイメモSの追尾誤差
左: ノータッチ追尾
右: QHY CCD QHY5L-IIM + miniGuideScope (130mm) + PHD2 Guiding でオートガイド
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井BLANCA-80EDT (8cm F6)
ISO 200, 600s

ノータッチ追尾で撮影した方(左)は赤道儀の誤差がそのまま光跡のゆらぎとしてあらわれています。オートガイダーで1軸ガイドしながら撮った方(右)では大きな揺らぎは補正されてほぼ真っすぐの光跡が写っています。

BLANCA-80EDT の焦点距離は 480mm, E-M5 の画素ピッチは 3.75μm なので、画像上の1ピクセルは1.61秒になります。*2 ノータッチでの光跡の揺らぎの幅は21ピクセルなので、ピリオディックモーションは±16.9秒ということになります。結構ありますね…

しかしオートガイダーを使うと長周期の揺らぎは完全に補正されて誤差は±4.0秒まで減少します。たいしたものですが実際に使い物になるのかどうか。というわけで、今度は極軸をちゃんと合わせて実際に天体を撮ってみました。しし座の三つ子銀河を5分露出です。

M65, M66, NGC3628 (2017/3/7 23:51)
M65, M66, NGC3628 (2017/3/7 23:51)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6)
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1600mm相当にトリミング

意外とイケてるような…? てっきりガイドエラーでぼやけてしまって焦点距離が活かしきれてない写真になるものと思っていたのですが、少なくともレデューサー使用時よりは細部まで解像しているように見えます。

等倍で見ても、若干星が楕円になっているカットもあったものの顕著な星像の乱れは見当たりませんでした。PHD2の表示では赤経の誤差のRMS値が±1.6秒前後でした。赤緯は極軸調整の精度がイマイチで5分で2秒弱の速度でズレていってました。

今回はテスト撮影だったので光害カットフィルターは使っていません。本来直焦では 0.6x レデューサー使用時と比較すると約2.8倍の露出時間が必要になるのですが、今回はフィルターなしなので光量が約2倍になり、普段と同じ露出時間でもプラス補正で十分見れる明るさに写っています。

光害カットフィルターを使うと10分以上の露出時間が必要になり、さすがに極軸調整がシビアになってしまいます。でも、光害の影響の少ない天頂付近を通る星団や惑星状星雲をフィルターなしで撮るなら使えるかも? もっとも球状星団の微恒星はガイドエラーが目立ちやすいのですが… そのへんも今度試してみようと思います。

*1:追尾速度の誤差の周期は通常極軸を回すウォームネジが1回転してウォームホイールが歯1枚分回転する時間になります。ウォームホイールの歯数が144枚なら周期は10分になります。

*2:\tan^{-1} \frac{0.00375}{480} = 0.000447623° = 1.6114428″

月面X (2017/3/5)

日曜日の夜に最近よく話題になる天文イベント「月面X」がありました。月面にアルファベットの X に見える模様が見えるというもの。月面の地形が絶妙な角度で太陽に照らされることで起こる現象です。

正直個人的にはあまり興味のないタイプの天文イベントなのですが、一般ウケはいいようでついつい撮ってしまいました。承認欲求…!当日は曇りでよくて薄雲越しに、悪くて厚い雲に覆われ何も見えない状況だったのですが、なんとか撮れました。

「月面X」未満の「〉」みたいな形になっている月面とセットでどうぞ。

「月面X」未満 (2017/3/5 18:09)
「月面X」 (2017/3/5 19:18)
「月面X」(2017/3/5 18:09, 19:18)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井BLANCA-80EDT (8cm F6), 2x TELECONVERTER C-20
ISO 200, 1/50s
Lightroom CC で画質調整, トリミング

わずか一時間余りでも意外と陰影に変化が出ているのがわかります。全景はこちら。

「月面X」未満 (2017/3/5 18:09)
「月面X」 (2017/3/5 19:18)

あまり興味がないと言いましたが、理由はそれほど X に見えないというのが一つ。正立像だと漢字の「火」みたいに見えることが多いです。

もう一つの理由は、特定の言語の文字に見えるという現象をイベント視するのはあまりに自文化中心主義的な観点じゃないかということ。人の顔に見えるとかならまだ普遍性があるかもしれませんが。

まあ、それを言い出すと星座とか全部西洋文化ですけど、神話みたいに直接文化の深いところとつながっているものなら、その文化ごと味わえばいいことなのですが、ただ文字に見えるだけとなると戸惑ってしまうのです…

「月面X」を見るたびに思い出すのは、福本伸行の麻雀漫画『天 天和通りの快男児』に登場した銀次という雀士のことです。彼はガン牌*1の達人で、牌の裏についたわずかな傷や汚れのパターンを文字に見立てることで牌を識別・記憶します。

しかし、普通のアルファベットに見えるような特徴的な傷や汚れがそうそうあるわけではないですし、そんな傷は他人にも気づかれて対策されてしまいます。そこで銀次は独学で世界各国の言語の文字を学び、見立てることが可能な文字の種類を膨大な数に増やしつつ普通の日本人が知らないような言語の文字に見立てることでこの問題を解決します。

銀次が望遠鏡で月面を見たら、きっと無数の「月面ナントカ」を見つけてしまうのではないか、などということを「月面X」を見るたびに思うのです。僕も文句言ってる暇があったら「月面大文字」とか「月面卍」とか「月面鳥居」とか見つけたらいいんでしょうか。

でもそれって面白いのかな?月面そのものに向き合ってないんじゃないかな?などと考えこんでしまいます。まあ、そんなのただの遊びなんだしどうでもいいじゃない!って言われればそれまでなんですが。

*1:牌の裏側についた(あるいは意図的につけた)傷や汚れから何の牌かを識別・記憶することで、山の牌や他人の手牌を読んでゲームを有利に進めるイカサマ。

オートガイダー導入記 (2): オートガイダーを買う理由・買わない理由

思い出 機材 オートガイダー

前回の続きです。

結論から言うと、こうなりました。

勢い余って光害カットフィルターまで買っています。

買ってしまったオートガイダーというのはこれです。これに背中を押されて沼に転がり落ちてしまいました。

http://rna.sakura.ne.jp/share/kyoei-tokyo-000000007176.jpg

QHY CCD の QHY5L-IIM + ミニ・ガイドスコープ セット。特にミニ・ガイドスコープにやられました。これはビクセン互換のファインダー台座のアリミゾに取り付け可能なCマウントのレンズです。*1 焦点距離は130mmでこの手のセットで売られているレンズとしては長め。重量は最軽量級でシステム総重量で200g台。その一方で値段はこの手のセットとしては最安級です。

オートガイダーの導入に躊躇していた理由は以下の二点でした。

  • ガイドスコープや周辺パーツの重量で赤道儀の負担が増える。
  • スカイメモSでは2軸ガイドができない。

このミニ・ガイドスコープならファインダーより軽くてファインダーと差し替えてマウントできるので赤道儀への負担は増えません。これで買わない理由の半分が吹き飛びました。

そうなるともうひとつの理由についても再考したくなってきます。実際にスカイメモSでオートガイドで直焦撮影という無茶をしている人はいるのでしょうか?ググってみると、いました。

あくまで実験としてやっているようですが、800mm 直焦に APS-C 2400万画素の Nikon D5200 で撮っています。120秒露出に成功、ただし別の記事では120秒は歩留まりが悪いとも書かれています。

南北方向(赤緯)のエラーが意外に少ないのにびっくりしました。極軸が十分合っていれば意外と大丈夫なものなのでしょうか?そういえば今まで30秒以上のノータッチ追尾撮影で失敗した画像は大抵東西方向に星が流れていたことを思い出しました。

試してみる価値はありそう、という気がしたものの、4万円台の買い物にはまだ躊躇いが… でも、ここまでくると買う理由を探すモードになってきました。

買う理由その1: ドリフト法による極軸調整がスムースにできるようになるのではないか? テレコンバーターとデジカメのライブビューを見てやるドリフト法は面倒だし精度に不安がありましたが、PHD2 Guiding のドリフトアライメント機能を使えば極軸の誤差を定量的に表示してくれますし、極軸の調整量を視覚的に表示してくれます。

買う理由その2: 電子ファインダーとして使えるのではないか?横浜の空では空が明るすぎて5cmファインダーでもあまり暗い星が見えません。天体の導入にはデジカメで10秒露出ぐらいで試し撮りを繰り返しながら星をたどっていたのですが、PCに常に表示されるオートガイダーの映像を見ながら星をたどればずいぶん楽になりそうです。

ということで、どう転んでも何らかの役には立ちそうだし、将来まともな赤道儀を買えば当然オートガイダーとして普通に使えるわけだし、無駄にはならないだろう… と思ったのですが一つ問題が。

ミニ・ガイドスコープの取り付け金具の足がえらく短いので、屈折望遠鏡の接眼部近くにある台座に取り付けた場合、ガイドスコープの視野に望遠鏡の鏡筒が入ってしまわないか気になります。反射望遠鏡ならファインダー台座は筒先なので大丈夫なのですが…

そこでオートガイダーのセンサーサイズとガイドスコープの焦点距離から視野角を計算すると、意外と視野が狭くて2度ぐらい。望遠鏡のフードを伸ばしても視野には入らなさそうだと判明しました。

もっとも、視野角が狭いということは電子ファインダーとしての使い勝手は微妙かも… でももうここまで来たら、と震える決心で注文してしまいました。

せっかく長時間露出できるようになっても光害で背景が飽和してしまったら意味がないので光害カットフィルター IDAS LPS-D1 QRO 48mm (27,000円)も一緒に注文してしまいました。

(つづく)

続き:

*1:買ってから知りましたがアリガタの裏にネジ穴があり、カメラネジでも取り付けられます。