Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

土星の衛星 (2017/7/7)

昨日は久しぶりの星空だったのですが満月も近いので DSO の撮影はおあずけ。何もしないのももったいないと思って、今が見頃の土星を見ていました。

望遠鏡(BLANCA-80EDT)が惑星向きでないこともあって惑星撮影用の機材を揃えていなくて、土星そのものはろくな写真が撮れないのですが、土星の衛星を撮ってみました。

土星の衛星 (2017/7/7 21:22)

OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20
ISO 200, 4s
Lightroom CC, Photoshop CC で画像処理

F12で4秒露出。これで星が流れずに撮れるのは赤道儀を買ってよかったことの一つです。

タイタンの左下の星は恒星です。7月1日にタイタンが恒星(GSC6247.351)を隠す恒星食がありましたが、この星がそれだと思います。食は天気が悪くて見れませんでしたが… HIROPONさんにコメント欄でこれは別の星で GSC6247.491 であると教えてもらいました。今 Stellarium で確認したところ星の名前はわかりませんでしたが確かに違う星でした。よく確かめずに適当な事を書いてすみませんでした。

狙っていたわけではないのですが、エンケラドゥスがちょうど土星から一番離れたタイミングだったのでギリギリ写りました。あとイアペトゥスが写っています。これは初めて見ました。

天文年鑑2017』によると、土星の衛星の明るさはこんな感じです。

衛星 平均等級
タイタン 8.4
レア 9.6
テティス 10.2
ディオネ 10.4
エンケラドゥス 11.8
イアペトゥス 10.2〜11.9
ミマス 12.8
ヒペリオン 14.4

この8つの衛星については Sky&Telescopeのアプリ SaturnMoons で簡単に配置が確認できます。

ミマスは滲んだ土星の輪の光に埋もれて識別できず、ヒペリオンは暗すぎて確認できませんでした。

今の機材では暗い衛星を写すのはこの辺が限界なので、次は連続写真で衛星が回ってる様子とか撮ってみたいですね。

つらい

6月9日の満月の撮影は別として、丸1ヶ月ずっと天体撮影ができなくて弱ってます。

6月19日の夜は晴れていたのでベランダに機材をセッティングしたのですが、風が強くてガイドが乱れまくり、風が止むのを待っているうちに雲がひろがってしまい結局何も撮らずに終わりました。

7月1日の月面Xは雲で何も見えないので諦めてファミレスに出かけたら、帰りに雲が切れてたぶん10分くらい月が見えてたようなのですが、帰宅した頃にはまた雲に覆われて何も見えなくなってました。

今日は夕方まで晴れ間が見える天気でしたが夜は雲が出て雨でした。写真は日が沈む前に望遠レンズで撮った月です。

月 (2017/7/5 18:12)
月 (2017/7/5 18:12)
OLYMPUS OM-D E-M5, ZUIKO DIGITAL 35-100mm F2.0 + 2x TELECONVERTER EC-20 (200mm)
ISO 200, 1/500s
Lightroom CC で画像処理

このところ気力も体力もすっかり萎えていて昼の月みたいにぼんやりしています。上の写真は Lightroom で明瞭度とかシャープネス上げたりトーンカーブもいじってるのでそんなにぼんやりしていませんが。

スカイメモSでの限界もだいぶ見えてきたので、そろそろまともな赤道儀欲しいなーとぼんやりと思ってはいるのですが、部屋を大掃除しないと置く場所もないしなーとか外に持ち出すの今以上に大変になるよなーとか思ってるうちに気持ちも萎えてしまって具体的な購入計画は何も立ってません。

予算は20万円前後で考えていて、Vixen の SX2 か、iOptron の iEQ30 PRO か、とは前々から思ってはいるのですが踏みきれず。SX2 は STAR BOOK TEN を付けると25万円を越えるのが辛いし、iEQ30 は少しバランスが崩れるだけで脱調する癖があるそうで使いこなせるのかどうか…

テンモンGO 更新

天気は悪いし風邪引きで寝込んでいるしでやることがないので「テンモンGO」の図鑑を更新していました。

4月20日以降追加分は8つ。

M106 は失敗扱いにしてましたが、それなりに写ってるし、一応「捕まえた」ことにしておきました… その他 M8, M20, M4, M60, M59, M17, M16 も新しい写真で更新しています。

捕まえた数は 77 に。追加分は星団ばっかりですね。夏のメシエ天体は天の川に沿って分布している散開星団球状星団が多いのでしばらくそんな感じかも。それ以外だと新規は網状星雲くらいでしょうか。もっとも北アメリカ星雲とペリカン星雲はちゃんと撮り直したいし、M57 もレデューサーなしでもう少しクローズアップで狙ってみたいところ。

そんなわけでまだまだ続きます。

最遠の満月 (2017/6/9)

昨夜は満月。そして月が最遠、ということでいわゆる「スーパームーン」の逆、世間では「ミニマムムーン」などとも呼ぶようです。

ところで今月の満月は「ストロベリームーン」だ、低い満月で赤く見えるからだ、などというニュースが流布していましたが、南中高度が35度では赤く見えるほどじゃないし、月の出や月の入り近くの低い月ならいつだって赤っぽく見えるわけですし*1 そもそも今月が今年一番低い満月というわけでもないですし*2 なんなんだと思ったら、早い話がデマでした。

最近毎日欠かさず見ている天文リフレクションズさんの記事より。

「6月の低い満月が赤色だから・・」というもっともらしい理由付けの記事も見ますが、元々は北米でイチゴの収穫が行われるためだそうです。

何より、地平線近くの低い満月はいつ見ても赤いんですけど・・・馬鹿馬鹿しいのでリンクは貼りませんが、通販サイトも真っ青の刺激的な煽り記事が満載です。
【満月の愛称】ストロベリームーン?【先回り】 | 天文リフレクションズ編集部

そんなわけでストロベリームーンには興味はないのですが、最遠の満月には興味があります。同じ機材で撮って最近の満月(スーパームーン)と組み写真にすると面白いからです。

しかし昨夜はあいにくのくもりで月が全く見えず、無理だと思っていたのですが、23時頃ふとベランダに出ると大きな雲の切れ目ができていて、綺麗な月が浮かんでいます。あわてて望遠鏡を組み立ててピントを合わせて、と、ばたばたしているうちに西からどんどん雲が迫ってきて、結局1分弱しか撮影できませんでしたが、なんとか撮れました。

最遠の満月 (2017/6/9 23:31)
最遠の満月 (2017/6/9 23:31)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20
ISO 200, 1/80s
Lightroom CC で画像処理

実はいつもより黄色く写っていたのですが、おそらく雲のせい。上の写真では色温度を調整して普通の色に仕上げています。

満月と言っても月がよく見える夜中にぴったり満月になるとは限らなくて、写真に撮るとわずかに欠けていたりするものですが、今回は22:10に満月だったのでほとんど欠けていません。

あとは12月4日の最近の満月を撮れば大きさが比較できる組み写真ができます。というか、実は2014年にそういう写真を撮っていました。

最遠の満月(2014/1/16)と最近の満月(2014/8/11)
最遠の満月(2014/1/16)と最近の満月(2014/8/11)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20

この時と機材も同じですし、同じことを二度もやらなくてもという気もしますが、スーパームーンが話題になった夜にこういうのをドヤ顔で出したいなー、と思って…

*1:色合いは大気の状態に左右されますが。

*2:天文年鑑2017』によると、今年一番低い(視赤緯が最南の)満月は7月9日。

σクリッピング

先日の M11 の写真に飛行機の光跡が入ってコンポジット枚数減らした件、コメント欄で HIROPON さんからσクリッピングやるといいよと教えてもらったのでやってみました。

まず飛行機の光跡が入ったフレームというのがこれですね。

M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s
Lightroom CC で画像処理

これを含めた 8 枚でコンポジットした結果がこれです。

M11 (σクリッピング8枚コンポジット) (2017/6/3 01:49)
M11 (σクリッピング8枚コンポジット) (2017/6/3 01:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

色の付いた太い光跡がべったり付いていたのが嘘のように消えています。こんなに綺麗に消えるものなのですね。恒星ばかりで淡い部分のない写真なので6枚コンポジットと8枚コンポジットの差はほとんどわかりませんが…

σクリッピング処理は DeepSkyStacker の Stacking Parameters の Light タブで Kappa-Sigma clipping を選択して、後はいつもと同じ設定でスタックしました。パラメータの Kappa と Number of iterations はデフォルト値のままです。

http://rna.sakura.ne.jp/share/DSS-Kappa-Sigma-clipping.png

σクリッピングというのは、要するにスタックするフレームの中にピクセル値が外れ値(全フレームの平均値からかけ離れた値)になっているフレームがある場合、その場所ではそのフレームをコンポジット処理から除外する、つまり、そこだけ部分的にコンポジット枚数を減らす、というものです。上の写真だと飛行機のランプが通った場所は7枚コンポジットになるわけです。

DSS のパラメータの Kappa はピクセル値を外れ値として扱う際の閾値を決めるパラメータで、これが 2.0 ならピクセル値の標準偏差の2倍以上離れた値が外れ値として扱われます。

DSS のパラメータの Number of iterations は、外れ値を除外した残りのフレームの中からさらに外れ値を検出して除外する処理を何回繰り返すかを指定するものです。これが 5 なら最大5回まで繰り返すということです。

複数のフレームに外れピクセルがあってそれが同じ位置で重なっている場合、一部のフレームのピクセル値に平均値が引っ張られて1回のσクリッピングでは暗めの外れピクセル閾値以下になって除外されず残ってしまうことがあり得ます。σクリッピング処理を繰り返すことでそういうピクセルも除外できる… ってことでいいのかな?

処理時間が余計にかかるはずですが、コンポジット枚数が少ないせいか実際にはあまり気になりませんでした。とはいえ、ステライメージの FAQ には「「加算平均(σクリッピング)」は非常に処理が重くなりますので、明らかに突発ノイズがないとわかっていれば普通の加算平均で処理することをおすすめします」とあるので普段使いにはしない方がいいみたいです。

M6 を Butterfly Cluster って言うけど…

昨夜撮った散開星団の一つ M6 は英語圏では Butterfly Cluster と呼ぶそうで、しかしどのへんが蝶なのかなーと疑問に思っていたのですが、ひょっとしてこうですか?

http://rna.sakura.ne.jp/share/M6-Butterfly-Cluster.jpg

M6, M7, M11 (2017/6/2)

昨夜は夜中からベランダで天体撮影。せっかくの晴天ですが、上弦の月が沈むのが 00:50 頃、天文薄明が 2:50 頃ということで月のない夜空は2時間しかありません。月明かりがあってもなんとかなりそうな天体ということで月没前から散開星団を撮っていました。

さそり座のしっぽの先にある M6 と M7、そしてたて座の M11 です。本命は月没後に撮る M11 です。月没前に撮った M6 と M7 は南中高度が20度と低く光害に埋もれそうで敬遠してきた天体ですが、ダメ元で撮ってみました。

M6 (2017/6/2 23:09)
M6 (2017/6/2 23:09)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

M6 は白っぽい大粒の星が散らばった星団ですが、1個だけオレンジ色の明るい星が混ざっているのがおしゃれです。が、この星(BM Sco)は距離が約788光年*1 と M6 の1600光年よりずっと近い星なので散開星団の一員ではない別の星のようです。

M7 (2017/6/3 00:18)
M7 (2017/6/3 00:18)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

M7 は M6 よりもさらに星の粒が明るく大きく散らばった星団です。藤井旭『全天 星雲星団ガイドブック』では「最も美しい星団の一つ」として激推しされています。

夏休みにはあちこちで天体観望会が開かれますが,星のことをぜんぜん知らない人には25倍くらいの低倍率でこの星団を見せるにかぎります.視野の中で点滅する無数の星の美しさに思わず声も出ないほど感激されることうけあいです.
藤井旭『全天 星雲星団ガイドブック』p130

うーん、写真だとそこまでには見えないような… 眼視だとまた違うのでしょうか。そういえばオートガイダーの映像では散らばった星たちの瞬く様子が綺麗でした。

M6 も M7 も、本当は背景に天の川の星がもっとあるはずなのですが、光害のカブリを画像処理で消すと光害に埋もれた天の川の淡い部分も一緒に消えてしまって少し寂しい感じになってしまいました。特に M7 は向かいのマンションの部屋の灯りが迷光になってカブリがひどかったので…*2

M11 も天の川の中の星団ですが、こちらは十分高度があってそこそこにぎやかな絵になりました。

M11 (2017/6/3 01:49)
M11 (2017/6/3 01:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

同じ散開星団でも M11 は粒の小さな星が密集していて見ごたえがあります。散開星団の中では最も密集度が高く、星団内の恒星の間隔は1光年以下だそうです。*3

ちなみにコンポジットが6枚ですが、これは途中で飛行機が横切って使えないカットが出たからです。こんなふうに。

M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s
Lightroom CC で画像処理

厚木基地方面から飛んできたような… 米軍機でしょうか?こんな深夜になんなんでしょうね…

*1:1600光年とする資料もあるのですが、Universe Guide「BM Scorpii - HD160371 - HIP86527」によるとヒッパルコス星表の2007年版で年周視差のデータが改定されてそれまで約1530光年だったのが約788光年になったとのこと。

*2:M7 の撮影では途中で向かいのマンションの屋上の避雷針に隠れてしまい撮影を中断するトラブルもありました。市街地で低空の天体を撮るのは色々大変です。

*3:AstroArts「メシエ天体ガイド:M10