Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

11月20日の流星

昨日のエントリに書くのを忘れていたのですが、11月20日の夜、機材を撤収している最中にえらく長い流星を見ました。23:44頃です。南の空を横切るように東から西へすーっと流れていきました。絵に描くとこうです。

https://rna.sakura.ne.jp/share/shooting-star-20171120.png

明るさは1等くらいでしょうか。すっと現れて、同じ明るさを保ちながら比較的ゆっくりの速度で流れていって、すっと消えました。長さは2秒くらいでしょうか。これだけ長い流星は初めて見ました。

普通に考えて願い事三回言うチャンスだったのですが、あっ、とつぶやいた後なかなか消えないので、えっ?えっ?とか言ってました。ダメですね。こういう時にうろたえずに確実に三回言えるくらい強い気持ちがないと願い事なんて叶わないってことなんですかね。

ていうか本当に流星だったのかな?でも人工衛星にしては速すぎる気がするし、こんな時間にこんなに明るい人工衛星ってあるんですかね?

ちなみに同じ流星を見た人がいないか Twitter で「横浜 流星」で検索したのですが、どうも横浜流星っていうイケメンのタレントさんがいるそうで、検索結果はその関係のつぶやきで埋め尽くされて使い物になりませんでした…

ヒアデス星団 (2017/11/20)

昨夜は帰宅後ベランダで天体撮影。平日ということで深夜になる前に撤収するつもりで何を撮ろうかと思案しましたが、望遠レンズでヒアデス星団を撮ることにしました。カメラレンズでのガイド撮影は久しぶりです。

ヒアデス星団 (2017/11/20 22:34)
ヒアデス星団 (2017/11/20 22:34)
ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0 (f100mm 絞りF2.8) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 2分 x 8コマ 総露出時間 16分 / DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理

ちょっと地味ですかね… 画角はフルサイズ換算200mm。このくらいの焦点距離でもソフトフィルターを使ったほうがいいんでしょうか。左上の星の固まりは散開星団 NGC1647 です。

このレンズではいいフラットが撮れたことがないので周辺減光を減らすために1段絞りましたが、そのせいでアルデバランにずいぶん派手な光条が出ています。まあ、これはこれで…

あとこのレンズ、パープルフリンジが結構出ます。LR のフリンジ軽減でごまかしました。

ちなみに、うちのスカイメモSはビクセン規格アリミゾ化改造でカメラネジが使えなくなっているので、BORG Vプレート125の端にアルカクランプ(Gemtune DM-55)を横向けにネジ止めしたものを使いました。プレートの反対側の端にはガイドスコープをネジ止めします。こんな感じ。

IMG_5316

ルカクランプのネジ止めは一本止めなので強度に不安がありましたがなんとかなりました。


さて、この日は真冬並みの冷え込みで、ベランダに出たり入ったりしているうちに部屋がむちゃくちゃ寒くなりました。うちのPCは寒くなるとどこかのファンが異音を発するクセがあって、この日もブンブンファンが鳴っていたのですが、そのうちなにやら焦げくさいにおいが…

ぱっと見PCは普通に動いているのですが怖いので一度電源を落としました。その後また電源を入れてCPU温度やHDD温度をチェックしましたが異常はなし。CPUファン、電源ファンとも異常はなし、ビデオカードのファンが怪しいということで翌日バラして確認したところやはりビデオカードのファンが異音の発生源でした。

ファンの回転が落ちてビデオカードが加熱して基板が軽く焦げたのかも?でも目視した限りは異常は見られず、起動すれば Windows も普通に動いています。ベンチマークで負荷をかけたら?とも思いましたが怖いのでやめました。

結局ビデオカードを取り外してCPU(Core i5-6600)の内蔵グラフィックスに切り替えました。普通に2画面いけるし、PCゲームも長いことやってないし、当分これでいいかな…

2687黒点群 (2017/11/17)

CMOSカメラで月を撮るようになってから、太陽もCMOSカメラで撮ってみようとしていたのですが、今月はずっと無黒点が続いていました。今週になってやっと黒点が出てきたので撮ってみました。特に面白みのある黒点ではないのですが…

【注意!】 太陽の観察・撮影には専用の機材が必要です。専用の機材があっても些細なミスや不注意が失明や火災などの重大な事故につながる危険性があります。未経験の方は専門家の指導の元で観察・撮影してください。

2687黒点群 (2017/11/17 10:33)
2687黒点群 (2017/11/17 10:33)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15), Kenko PRO ND-100000 77mm / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.15ms x 100コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC で画像処理

太陽は熱のせいなのかいつもシーイングが悪くて、ワンショットだと20枚に1枚ぐらいしかクッキリした写真が撮れません。動画からスタックする場合も月みたいに30%とかスタックしてしまうとぼやけた画像になってしまったので、2000フレームキャプチャして5%をスタックしたところ、まあ、こんなものかな、という仕上がりになりました。

口径8cmでは粒状班は解像できないのですが、粒状班のパターンに由来すると思われる模様は写っています。が、太陽の端の方はともかく、真ん中あたりはどうも不自然に見えます… こういう特徴の薄い部分はうまくスタックされないんでしょうか。

月 (2017/11/12)

昨夜、というか今朝の夜明け前は月齢23の月を撮りました。まずはデジカメのワンショットで全体の写真を撮影。

月齢23.0 (2017/11/12 03:52)
月齢23.0 (2017/11/12 03:52)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO320, RAW) / 露出 1/80s / Lightroom CC で画像処理

そのあと、CMOSカメラで月面のアップを撮影。

湿りの海、南部の高地 (2017/11/12 04:23)
湿りの海、南部の高地 (2017/11/12 04:23)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.88ms x 300コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC で画像処理

アリスタルコス、ケプラー、コペルニクス (2017/11/12 04:46) (300/600コマスタック)
アリスタルコス、ケプラーコペルニクス (2017/11/12 04:46)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.88ms x 300コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC で画像処理

雨の海、虹の入江 (2017/11/12 04:55)
雨の海、虹の入江 (2017/11/12 04:55)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.88ms x 300コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC で画像処理

シーイングは比較的よく、ピント合わせもかなり追い込めたと思います。SharpCap の設定で、Camera Controls の Speed を 1、USB Traffic を 0 にするとライブビューのフレームレートが上がって見やすくなりました。USB Traffice は下げ過ぎるとフレームが落ちたり壊れたりするとマニュアルに書いてありますが、今のところ問題ありません。

コペルニクスの右上(北東)から、カルパチア山脈とエラトステネスの間を抜けていく一見谷のような地形があります。

これは半分くらいは谷ではなく微小なクレーターが連なっている地形なのですが、口径 8cm で見分けるのはギリギリです。デジカメのワンショット撮影ではなかなかそこまで写らないのですが、上の写真ではそれがかなりはっきり写っています。

コペルニクスの下(南)に見える雪だるまを逆さにしたようなクレーターは上の大きい部分がファウト、下の小さい部分がファウトAで、コペルニクスの二次クレーター(クレーターの衝突で吹き飛ばされた岩が落ちてできたクレーター)です。

これもワンショットではなかなかきれいな雪だるま状には写らないのですが、上の写真でははっきり二つのクレーターが重なったものだとわかります。

この二つの地形はいつもワンショットで撮った写真からベストショットを選別する際にチェックするポイントなのですが、CMOSカメラでの撮影だと普通に撮れてしまいますね。

と言ってもCMOSカメラの場合は AutoStakkert!2 (AS!2) が自動で選別しているわけですが… しかし撮影したフレームの50%を使用しているので、それほど厳しく選別しているわけでもないです。ワンショットの感覚だときれいに撮れているのは経験上30%以下だと思っています。

シャッタースピードが違うのでそのまま比較はできないんでしょうが、もっと厳選したらもっとシャープな画像になるのでは?と思って、全体の15%(90コマ)を使用する設定でスタックしてみました。

アリスタルコス、ケプラー、コペルニクス (2017/11/12 04:46) (90/600コマスタック)
アリスタルコス、ケプラーコペルニクス (2017/11/12 04:46) (90/600コマスタック)

こちらの方がわずかにシャープです。一方でこちらの方がノイズが大きくてざらついた感じになっています。

そこで三枚目の写真では1000フレーム撮影して30%(300コマ)を使うようにしました。これも15%と比べてみましたがこのくらいになるとノイズの差しかわかりません。

ということでこれからは1回1000フレームで撮影することにしました。動画のサイズは720MBから1.2GBに増えます…

そういえば QHY5L-II-M は E-M5 に比べてダイナミックレンジが狭いようで露出が厳し目です。月の欠け際を適正露出にすると明るい部分が白飛びしがちで、アンダー気味に撮るようにしています。

8bit AVI で記録しているせいなのかもしれませんが、16bit SER だと動画サイズが倍になるし、最初に試した時はほとんど差が感じられなかったので 8bit で撮っています。でも 16bit の方がいいのかなぁ…

M42 の色は…

昨夜は曇りでレグルス食も見れそうにないのでふて寝してたのですが、2時頃に目が覚めてふとベランダに出ると快晴。東の空に月も見えています。これならレグルス食見れたのでは…

DSO を撮るには月が明るいし、月を撮るにはまだ早いということで、眼視で M42 を見ることにしました。というのも、朝に天文リフレクション編集部のピックアップで「M42 トラペジウム付近の色に関する考察」というブログ記事を見たからです。

記事によると眼を暗順応させず、そらし目せずに直視すると色が見えるのではないかとのこと。16cm で一度だけ「鮮やかなピンク色を認めたことがある」とも。

以前調べた時は大口径で最高に暗い空が条件、ただし藤井旭は8cmでも見えると言っているが…?ということでした。

でも、大口径でなくても、暗い空でなくても見えるときは見える、ということのよう。

それならばと 8cm F6 屈折にセレストロンズームアイピース 24-8mm で M42 を見てみたわけですが… 白いですね… 色は見えません。倍率も20倍から60倍まで試しましたがダメです。スマホ画面を見て明順応させてからアイピースを見るというのも効果は感じられません。何か他にも条件があるのでしょうか。

それともやっぱり横浜の空で 8cm でというのは無理があるんでしょうか。まあ、60倍でトラペジウムがはっきり見えたので、それでいいことにしました。

そのあとはおおいぬ座散開星団 M41 と、とも座の散開星団 M93 を見ました。M41 はまばらに散らばった星の集まり、M93 は三角の星雲状の光の中に小さな星の粒がいくつか見える、といった感じ。

そのあといっかくじゅう座の散開星団 M50 を見ようとしたのですが導入できず、そうこうしているうちに某ソシャゲ*1 の更新時間が来たので部屋に戻って月が昇るのを待ちながらゲームに勤しんでいました。

そういえば、とも座の二重星団 M46 と M47 を見るのを忘れていました。今度は忘れずに見ようと思います。

*1:プリキュアつながるぱずるん

月面写真のモザイク合成 (2017/11/9)

一昨日というか昨日の月の撮影ですが、赤道儀は月の速度で運転しているものの極軸がズレていたりして時間が経つと写野が北へとズレていってしまっていたのですが、それを利用して(?)連続して撮った写真を何枚か集めてモザイク合成してみました。

こういうのも AutoStakkart!2 でできるのかなと思って複数の写真を放り込んでみたのですがダメだったので、素直に Photoshop CC の Photomerge を使って合成しました。

月面 (2017/11/9 03:28) (5枚モザイク合成)
月面 (2017/11/9 03:28) (5枚モザイク合成)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.88ms x 300コマをスタック処理 x 5枚をモザイク合成 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

昨日のアルタイの崖の元画像を含んだモザイクです。タイトルが「月面」て… うまいタイトルが思いつきませんでした。テーマとか考えずにテキトーに撮ってるせいですね。

右下の明るいクレーターはティコです。

アルプス山脈、コーカサス山脈、アペニン山脈、コペルニクス (2017/11/9 04:03) (3枚モザイク合成)
アルプス山脈コーカサス山脈アペニン山脈コペルニクス (2017/11/9 04:03) (3枚モザイク合成)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.88ms x 300コマをスタック処理 x 3枚をモザイク合成 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

こちらは月の大きな山脈を辿ってコペルニクスに到達するというテーマで撮りました。険しい地形が多くて好きな場所です。

ピントがイマイチな感じですが、撤収前によく見るとCMOSカメラがスリーブから抜け落ちそうになっていたので、この時点で既にカメラが少しずり落ちていたのかもしれません。

地名を書き込んだものも作ってみました(つかれた)。地名は白尾元理『月の地形ウオッチングガイド』(誠文堂新光社)と、一部『天文年鑑』を参考にしました。

月面 (2017/11/9 03:28)(キャプション付き)

アルプス山脈、コーカサス山脈、アペニン山脈、コペルニクス (2017/11/9 04:03) (キャプション付き)

アルタイの崖 (2017/11/9)

昨夜、というか今日の未明にまたCMOSカメラで月を撮影しました。昨日は雨だったのですが、3時前に目が覚めてぼーっと Twitter を見ていたら KAGAYA さんが月の写真をアップしていたので、あわててベランダに出るとすっかり快晴。月齢20の「更待月」が煌々と輝いています。

今回の目当てはアルタイの崖です。神酒の海の南西にある、高さ1〜3km、長さ480kmに渡る巨大な断崖で、月の名所の一つです。

8cm F6 + 2.5x バローでは拡大率が足りなくてアップでは捉えられませんがトリミングしてアルタイの崖の周辺を拡大してみました。

テオフィルス、アルタイの崖 (2017/11/9 03:39)(300枚スタック、sharpened)
テオフィルス、アルタイの崖 (2017/11/9 03:39)(300枚スタック、sharpened)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.88ms x 300コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC で画像処理

カメラ設定はゲインを20に上げて露光時間を少し短くしました。ゲイン20でも縞ノイズは出ませんでした。

地名を入れたものも貼っておきます。

テオフィルス、アルタイの崖 (2017/11/9 03:39)(キャプション付き)

他にもあちこち撮影して動画ファイルが合計13GBもできてしまいましたがそのへんはまた後日。

デジカメでも撮りました。9枚撮ったうちのベストです。

月齢19.9 (2017/11/9 02:39)
月齢19.9 (2017/11/9 02:39)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO320, RAW) / 露出 1/125s / Lightroom CC で画像処理

選別したワンショットとCMOSカメラの動画をスタック処理したものとでどのくらい違うか気になったので比べてみようと、上の写真からアルタイの崖付近を切り出してみました。

テオフィルス、アルタイの崖 (2017/11/9 02:39) (ワンショット撮影)

スタックしたものと比べてディテールがぼやけています。こんなものかと思ったのですが、試しに上の写真を RegiStax で処理してみました。

テオフィルス、アルタイの崖 (2017/11/9 02:39) (ワンショット撮影、wavelet処理)

Wavelet 処理のパラメータは、Dyadic、Gaussian で、こんな感じ。

Layer Denoise Sharpen 設定値
1 0.20 0.100 1.0
2 0.00 0.100 12.0
3 0.00 0.100 4.0

Layer 1 は Denoise をかけているだけですが、こうしないとノイズが強調されてザラザラになってしまいました。

ワンショットの方も wavelet 処理で結構見栄えがするようになりましたが、スタックしたものの方が地形の構造がよく出ているように見えます。テオフィルスの北の細かい地形とか。

やはりCMOSカメラで撮る方がよさそうですね。でも撮影や画像処理の手間や動画ファイルのサイズを考えると割に合うのかどうか微妙なところではあります。ていうかどうせならもっと拡大した写真が撮りたいのですが、8cm ではこのあたりが限界ですよねぇ…