Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

Stellarium 0.17 が 2018/1/31 に落ちる

日頃からフリーのプラネタリウムソフト Stellarium を使っているのですが、1月31日の皆既月食の撮影のシミュレーションをしようと当日の空を表示しようとするとハングしたり強制終了したりしてどうしても表示できません…

動作環境は以下の通り。

  • Stellarium のバージョン: 0.17.0
  • OS: ubuntu 16.04 LTS (64bit)
  • メモリ: 9.2 GiB
  • プロセッサ: AMD Athlon(tm) 5350 APU with Radeon(tm) R3 × 4
  • グラフィック: Gallium 0.4 on AMD KABINI (DRM 2.43.0 / 4.4.0-109-generic, LLVM 4.0.0)

日時指定でジャンプしても早送りで時間を進めても1月31日の夜になるとハングまたは強制終了です。画面内に月が表示されていないと大丈夫なのですが月が入ると強制終了(Segmentation fault)。dmesg には「stellarium[6107]: segfault at 68 ip 00000000007c43c4 sp 00007ffde772e370 error 4 in stellarium[400000+e4c000]」などというログが残っています。

サブマシンの Windows 10 に入れていた 0.15.1 では問題なく表示できました。Linux 版の問題なのか 0.17.0 の問題なのか? と思って公式フォーラムで「lunar eclipses」で検索したところ、同じ問題が Windows 版でも起こっているようです。

どうも月食の表示のバグのようです。0.16.1 では大丈夫、バグ報告済みで 0.18.0 で修正予定とのこと。

とりあえず Windows 版をアップデートせずにそのまま使います…

M35 (2018/1/13)

昨夜はGPVでは雲が出てくる予報だったのですが、夕方あまりに快晴だったのが惜しくてダメ元で撮影することに。とはいえ出撃して曇ったら精神的ダメージが大きいのでベランダから。

今回のターゲットはふたご座の散開星団 M35 です。M35 は一昨年の秋にレデューサーを使用して90秒露出で撮影しましたが、今回はすぐ近くの小さな散開星団 NGC2158 を大きく写したくてレデューサーなしで狙います。

19時過ぎにベランダに機材を設置。M35 は南中高度が80度近くになるのでベランダの天井にぶつかる前に撮影します。三脚もベランダの縁石に乗り上げる形で柵ギリギリに寄せて設置。

撮影開始は20時過ぎ。明るい星が飽和してつぶれないようにしたかったので段階露光を試してみました。1分、2分、4分で各8枚撮影。最初ガイドが安定せず撮り直したりして時間を費やしましたが21時半頃撮影終了。

雲は結局出てきませんでした。でも GPV を見ると雲が出てることになっていてなんだか不思議。とはいえ、いつ本当に雲が出てくるかわからないので、それ以上は撮らずに撤収しました。

多段階露光で撮った写真は M42 の時と同様に DSS の HDR でコンポジット。

M35 (HDR) (2018/1/13 08:16)
M35 (HDR) (2018/1/13 08:16)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1分 x 8コマ, 2分 x 8コマ, 4分 x 8コマ 総露出時間 56分 / DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1004mm 相当にトリミング

右斜め下の黄色っぽい小さな散開星団が NGC2158 です。星の粒がちゃんと解像して… うーん、でも等倍で見ると星像がちょっと甘いような?ピントはバーティノフマスクできっちり合わせたつもりだったんですが。それともガイドが乱れがちだったせい?

HDR の効果ですが、4分露出だけの写真と比べても特に良くなっているようには見えず…

M35 (2018/1/13 20:55)
M35 (2018/1/13 20:55)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 4分 x 8コマ 総露出時間 32分 / DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1004mm 相当にトリミング

等倍で見てもほとんど違いがわかりません。こういう対象には意味がないんでしょうか?明るい星がシャープになるとか、そういう効果を期待していたのですが。

FlatAide Pro の飽和部復元合成も試そうかと思ったのですが、写真のサイズが大きいので無料では使えず。そろそろ課金した方がいいかなぁ…

そんなわけで段階露光は空振りでしたが仕上がりはまあまあ満足かな、というところ。

この先ですが、この時期ベランダから撮れる目立った天体は過去に撮り尽くしていて、この先はやはり公園に出撃しないといけない感じ。寒いし、色々面倒なんですが、どうしようかなぁ…

M78 (2018/1/11)

年明け早々満月だったこともあって今年はまだ DSO を撮影していなかったのですが、月の出もだいぶ遅くなってきたということで昨夜は久しぶりに DSO を撮影しました。ターゲットは M78 です。

20時前に帰宅して早速ベランダに望遠鏡を設置したのですが、例によってドリフト法でじっくり極軸合わせをしている間に雲が出てきました。GPV の予報では朝まで快晴だったのですが…

21時過ぎに雲が消えたかなと思って M78 を導入して撮影しようとしたらまた雲が湧いてきました。これはダメかもしれないと思いつつ雲が切れた21時半頃に撮影開始。3枚目の撮影中に雲が出て PHD2 がガイド星を見失ったりもしましたが、その後は雲は出てきませんでした。

風が少しあったせいかガイドは荒れ気味。揺れに敏感に反応して裏目に出るような挙動が見られたのでガイドパラメータの「積極性」を 85 から 75 に減らして対応しましたが、あまり良くはならなかったような… とはいえ赤経方向の RMS は±2秒以内に収まってなんとか許容範囲。

赤緯方向のズレの方は途中2回極軸を微修正して対応。10分ほどズレずにいて突然短い時間で2秒ほどズレてその後じわじわズレていくというパターン。これがなければもっと長時間露出できるのですが…

その後は大きなトラブルもなく24時過ぎに撮影終了。今回は16枚コンポジットするつもりで予備も含めて18枚撮りました。が、結局撮り始めのカットは3枚目以外も雲がまだ少し残っていたらしく背景が他よりかなり明るくなっていたのでボツにして残りの14枚でコンポジット。人工衛星が写り込んでるカットが1枚あったのでσクリッピングを使いました。

M78 (2018/1/11 22:07)
M78 (2018/1/11 22:07)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 ED屈折用0.6xレデューサー (合成F3.6), LPS-D1 48mm / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 6分 x 14コマ 総露出時間 1時間24分 / DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1150mm 相当にトリミング

地味ですね… 中心部は青みがかっているはずなのですが、光害カットフィルターのせいか青みはほとんどわかりません。左上隅の赤みはバーナードループの端っこが写っているものです。

M78 は一昨年の末に3分露出で撮っていたのですが、今回は明るい中心部を横切る暗黒星雲の南に伸びていくところをちゃんと写したくて露出時間を伸ばしました。が… ほとんど変わりませんね…

さすがにノイズは減っているのですが、背景になる淡い星雲が光害に埋もれてなかなか炙り出せません。強調処理をキツ目にかけると少しは見えてくるのですが…

M78 (2018/1/11 22:07)

ここまでやるとザラザラになってしまってスマホの画面ですら辛い画質になってしまいます。

赤い星雲だと背景光に紛れにくいのですが、M78 の周りの淡い星雲は白色なので光害地では厳しい対象です。HIROPON さんの写真でもそこまでは写っていません。でも HIROPON さんの場合 M42 の写真では周辺の分子雲まで写しているくらいなので条件次第ではあるいは…?

そんなわけで新年初撮りはイマイチな結果に。なお、ウルトラマンの話はみなさんご存知だと思うので割愛します(笑)

木星と火星の接近 (2018/1/7)

7日の夜明け前、木星と火星が接近するというので撮ってみました。距離は30分以内で月の直径よりも小さい距離です。12:40には13分まで近づきますが日本からは見えません。

まずガリレオ衛星も写るように1/2秒で撮った写真。

木星と火星の接近 (2018/1/7 05:34)
木星と火星の接近 (2018/1/7 05:34)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/2s / Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 2600mm 相当にトリミング

ガリレオ衛星は全部木星の西側に来ていて、内側からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。イオとエウロパはほとんど重なっていて拡大しないとわかりませんが、北(上)がイオ、南(下)がエウロパです。

木星面に露出を合わせた写真も撮りましたが、高度が低くシーイングも良くないので、縞模様はライブビューでもほとんど見えず、写真の上でもごく薄くしか見えませんでした。

木星と火星の接近 (2018/1/7 05:33)
木星と火星の接近 (2018/1/7 05:33)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/2s / Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 2600mm 相当にトリミング

このあと6:00頃まで眼視でも観察しました。150倍(2.5倍バーロー + 8mm)の視野内に木星と火星が両方見えていました。眼視だと木星の縞模様が二本、うっすらとですが見えました。

火星の方はというと、ほとんどただの赤い星にしか見えず、表面が観察できる大きさではありませんでした。まだ視直径が4.9秒なのでしかたがありません(木星は33.5秒)。7月31日の大接近時には24.3秒まで大きくなります。

CMOSカメラで木星を撮影 (2018/1/3)

夜明け前に年賀状の返事を出しに行った帰り、南東の空に木星と火星を見つけました。高度は30度くらいでそろそろ撮影できそうだなと思い、帰宅後ベランダに望遠鏡を出して撮影の準備。

CMOSカメラでの惑星撮影は初めてです。モノクロCMOSカメラなので面白みは少ないのですが、何事もまずは経験ということで。昨年秋から月面撮影で経験は積んできたのですが、月面と違ってピント合わせが難しいです。というかシンチレーションがひどくて木星の縞模様が全然見えません。

SharpCapにはバーティノフマスクによるピント合わせを支援する機能があるので、ガニメデの像で試してみましたが、そこそこ追い込んだつもりでもやはり縞模様は見えません。結局ピントをずらしながら何度も撮影してはスタックということを繰り返しました。320x240ピクセルにクロップしてキャプチャーしたのでスタック処理はあっという間に終わります。

結果一番よく撮れたのがこれです。

木星 (2017/1/3 06:24)
木星 (2017/1/3 06:24)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 2ms x 500コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8, Photoshop CC で画像処理

ギリギリ縞模様が二本見えるだけ、という残念な結果に。大赤斑も見えていたはずなのですが全然わかりません。条件も悪いしこんなものなんでしょうか… とはいえシンチレーションでぐちゃぐちゃにしか見えない動画からそれっぽい画像が出てくるのはびっくりです。

とにかくピント合わせはなんとかしたいところ。バーティノフマスクを使ってもっと高度の高い恒星で合わせればいいのかな?「木星面の模様と友達になってこそ、高解像の木星が撮影できるようになる」*1 という話もありますが、模様見えないし…

最近の満月(2018/1/1)

あけましておめでとうございます。

昨年の2月にこのブログを開設してから初めての新年を迎えました。街なかからポータブル赤道儀(スカイメモS)で直焦撮影というわけのわからないテーマのブログですが、昨年は 8cm F6 直焦での DSO の撮影に挑戦しました。一定の成果は上げたものの限界も見えてきた一年でした。悩みごともたくさんありましたが皆様のコメントやスターに励まされました。ありがとうございます。

今年は火星大接近の年ですが、8cm では力不足なので新しい望遠鏡を買うかどうか悩んでいるところです。品不足も予想されるので早く決心しないといけないのですが…

火星に備えて、昨年の秋からCMOSカメラを使った月面撮影も初めました。元旦の今日も早速月面のモザイク撮影をしていました。

月齢14.2 (2018/1/1 21:28-22:35)
月齢14.2 (2018/1/1 21:28-22:35)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.5ms x 200コマをスタック処理 x 19枚をモザイク合成 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

2018年の最近の満月(スーパームーン)です、と言いたいところですが、今夜は満月のちょと手前で、ちょうど満月になるのは明日1月2日の昼前(11:24)です。なので厳密には「今年のスーパームーンは日本からは見えない」ということになりますが、近地点の通過が明日早朝(6:49)で明日の夜よりは今夜の方が近いということで、一応今夜の月が最近の満月ということにしておきます…

そういうわけで、今年もよろしくおねがいします。

追記: 最初に貼っていた写真の左上の部分にモザイク合成処理で発生したノイズが出ていたのでレタッチして貼り直しました。

星に追われて

12月の新月期はずっと体調を崩していて、晴天の夜は何度もあったのに全くといっていいほど星を見ることができませんでした。

正直ここ1ヶ月ほど星を見るのが苦痛というか、今夜は晴れるから星を見なくてはならないという気持ちに気力が全くついてこなくて、それで星が見れないのがますます辛くて、さらに気分が落ち込み気力が削られるという悪循環。曇りの日には「今日は星を見なくていいんだ」と思って心が安らぐありさまで、本当にダメでした。

仕事納めが終わってやっと少し気力が戻ってきて、28日に久しぶりに望遠鏡をベランダに出して月面モザイクを撮りました。

月齢10.2 (2017/12/28 20:48-21:27)
月齢10.2 (2017/12/28 20:48-21:27)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.5ms x 200コマをスタック処理 x 11枚をモザイク合成 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

前回極軸の誤差で危うくモザイクが欠けるところだったので今回はドリフト法で極軸を追い込んでから撮影しました。おかげでモザイクが欠けることはなかったのですが、出来上がりがイマイチというか、像が斜めに流れたような写りになっています。ブレてるんですかね?

今までに比べて特別風が強かったわけでもないし、1/2000秒でこんなにブレるものでしょうか。でもローリングシャッターだからブレというか像の歪みは出てもおかしくないか…

そんなわけでイマイチの写真で気分もイマイチもりあがらず、29日は晴れていましたが撮影せず、今夜は曇りで安心して部屋にこもってこれを書いています。ダメじゃん…