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Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

国際宇宙ステーション(ISS)を狙い撃ち

2月15日の夕方、関東地方上空を国際宇宙ステーション(ISS)が通過しました。ISSの通過は、その軌跡を星景写真として撮る他に、天体望遠鏡や 1000mm 以上の望遠レンズがあるなら、ISS そのものの姿を撮るという楽しみ方ができます。地上 400km の上空を高速で飛翔する人工天体を狙い撃ちするスタイルはまさにスナイパー気分です。

何度かチャレンジしてそこそこの結果は出しているのですが、一発勝負の難しさに加え ISS の姿勢と地上から見た角度の兼ね合いでなかなかかっこいい姿を撮るのは難しいです。最近では1月28日に ISS の通過があって望遠鏡による撮影を試みたのですが、あろうことか撮影中にピントがズレてしまって全滅… 今回はそのリベンジです。

その結果は…

国際宇宙ステーション(ISS) (2017/2/15 18:35)
国際宇宙ステーション(ISS) (2017/2/15 18:35)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井BLANCA-80EDT (8cm F6), 2x TELECONVERTER EC-20
ISO 1250, 1/1000s
Lightroom CC で画質調整, 等倍切り出し

今までで一番写りがよくて、ほぼ満足いく結果でした。左の太陽電池パドルがギリギリ四枚に分離して写っています。

とはいえ、ベストの条件では撮れませんでした。まず南向きのベランダで撮ったので ISS が一番接近した北北東の空を通過したタイミング(直距離 429km)では撮れず、その上うっかりシャッターを低振動モード*1を切るのを忘れるというミスをやらかしてしまい慌てて連写モードに設定しなおすというタイムロスがあって、上の写真が撮れたのはだいぶ離れてからでした。

直距離がどのくらいか撮影した写真からざっくり計算してみます。国際宇宙ステーションの横幅は約 108.5m *2、これが写真上ではおおよそ 45.5 ピクセル。奥行き方向には斜めになっていないと仮定すると、E-M5 のピクセルサイズは 3.75μm なので、センサー上では 0.170625mm の像になっていて、これと 108.5m との比が、焦点距離 960mm と直距離の比に等しいので、直距離は約 610km となります。*3 再接近で撮れたなら4割くらい大きく撮れたはずでした…

撮影方法ですが、ISS を撮る時は赤道儀は使わず経緯台(ミザール K型微動マウント)を使っています。今時の自動赤道儀だとISSの軌道を自動追尾できるらしいのですが、スカイメモSにはそんな芸当はできません。手動で追尾するなら動きが直観的な経緯台の方が向いています。

ピントは前もって月か金星で合わせておきます。どちらも見えないならギリギリまで待って明るい恒星を見つけて合わせます。今回は金星で合わせました。ISS とは随分距離が違うので正確には合ってないと思うのですが遠くの山とかに合わせるよりはマシみたいです。

撮影中はずっと望遠鏡のファインダーを覗きます。僕は 5cm 8倍の90度正立ファインダー*4を使っています。カメラのシャッターは連写モードにして、リモートケーブルを繋いで手元でシャッターを押せるようにしておきます。流し撮りは無理なのでシャッター速度はなるべく高速に。いくら ISS が明るいとはいえ 1/1000 秒くらいの露出だと ISO 感度は相当上げないといけません。

ISS を見つけたら頑張ってファインダーの視野に入れます。そして ISS の動きをよく見て軌道を読んで、望遠鏡を数秒後に来る位置に先回りして向けておき、十字線の真ん中に飛び込んでくるところで連写します。そしてまた先回りして連写、先回りして連写、と繰り返します。

というわけで、全然 Deep Sky の話じゃなくなっていますが、形が見えないくらい遠くのものを拡大して見るというのは望遠鏡の素朴な楽しみ方ですし、ISS の場合「そこに人が乗っている」というのがいいですね。マラソンランナーを沿道で見送るような風情があって。

*1:レリーズするとシャッターチャージ後数秒待ってからシャッターが切れるモード。

*2:参照: 国際宇宙ステーション(ISS)の大きさ、重さはどれくらい?

*3:フリーのプラネタリウムソフト Stallarium のシミュレーションによると撮影時刻の直距離は約 594km ということでそこそこ合ってます。

*4:http://www.kasai-trading.jp/8x50erectingfinder-gf.htm