今でこそ deep-sky がメインですが、赤道儀を買うまでは望遠鏡の用途は専ら月と惑星を撮ることでした。
月や惑星の撮影と言っても動画を撮って Registax で画像処理というような本格的なものではなく、デジカメでワンショット撮影です。拡大光学系はカメラ用の2倍テレコンバーターのみです。ワンショットと言っても何十枚も撮って一番よいもの、というか、大気のゆらぎで像が歪んでいないラッキーショットを選びます。
960mm (フルサイズ換算 1920mm) F12 だと普通の惑星なら固定撮影で撮れる範囲ですが、赤道儀を導入してからは星を追いかける手間もなく撮影が捗るようになりました。また、固定撮影ではシャッター速度1/8秒ぐらいが限界だったのが数秒はブレずに撮れるようになり土星の衛星のような暗い衛星も撮りやすくなりました。
昨年の撮った木星のベストはこれです。
大赤斑も見えているし 8cm F6 にしてはそこそこシャープに写っているし個人的には満足、ということにしておきましょう… 衛星は左からエウロパ、カリスト、イオ、ガニメデです。
画像処理はただのトーンカーブと明瞭度の調整ですが、ひとつだけ変なことをしていて、色ズレの補正のためにRGBチャンネルを分解してRとBを1〜2ピクセルずらしています。色ズレは水平方向なので大気による色分散ではなくて光学系の問題だと思います。
土星のベストはこちら。
こちらは等倍だと小さくて見づらいので2倍に拡大しています。他の画像処理は木星と同様。
カッシーニの間隙がなんとか見えています。表面の縞模様はほとんど見えませんね。衛星は、土星の左下がディオネ、右がテティス、右上がレア、さらに右上がタイタンです。
エンケラドゥスは写っていません。というか土星に近すぎて露出を上げると輪の光のにじみに紛れてしまい判別できなくなっています。一度だけギリギリ写っていたことがあったのですが、それっきりです。
2016年といえば火星接近の年でしたので火星も撮りました。
これも元の画像を2倍に拡大しています。右下の黒い部分が大シルチス、だと思います。
ちなみに惑星写真の天地については南を上(北半球で見た場合の倒立像)にする流儀と、北を上(北半球で見た場合の正立像)にする流儀がありますが、個人的に正立像の方がしっくりくるのと探査機などが撮った写真の多くが北を上にしていることから、僕は北を上にしています。ちなみに眼視でもわざわざ正立プリズムを使って見ています。
もっとも火星は北の向きがこれで合ってるのかよくわかりません…
どんなものでしょう? 8cm F6 ではこれ以上拡大してもしょうがないかなぁと思っています。色ズレのこともあるし。スタックもこんな小さな像をスタックしても意味あるのかなぁと思うのですが…
でも、カメラのライブビューで見るともっとくっきりしてるんですよね。なぜだかよくわかりませんが、これは画像処理次第でもっと写りがよくなることを意味するのでしょうか。
来年は火星が大接近するのでそれまでに色々考えてみたいと思います。