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Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

M81 + M82, M108 + M97 (2016/12/29)

昨年12月29日深夜、かねてから撮りたかったおおぐま座の二つの銀河 M81 と M82 を撮ろうといつもの駐車場に出撃しました。が、駐車場は取り壊されて工事現場に… でも今更他に場所を探すのも大変なので結局工事現場の隅っこで撮影。後に建物が建ち、ここで撮るはこれが最後になりました。

目当ての M81 と M82 はフルサイズ換算 1000mm くらいの画角ならツーショットで撮れます。この日はおおぐま座のもうひと組のツーショット M108 と M97 も撮りました。M108 銀河、M97 は惑星状星雲で通称「ふくろう星雲」。北天の天体はなかなか撮れなくてどれもこの日が初めてでした。

星像の歪みを嫌って光害カットフィルターは使わず 180 秒露出。*1 時折強めの風が吹き望遠鏡が揺れてガイドが荒れ気味だったのですが、予備のカットを多めに撮ってなんとか 8 枚使えるカットを確保。やや像が甘いですがそこそこ満足できる結果になりました。

この日撮った M81 と M82 の写真はこちら。

M82, M81 (2016/12/30 02:13)
M82, M81 (2016/12/30 02:13)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 200, 180s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC, FlatAidePro 1.0 で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M81 の渦巻きっぷりも好きなのですが、この日一番の目当ては不規則銀河の M82 です。普通の銀河と違って形がモコモコしているのが不規則と呼ばれる所以です。

子供の頃に読んだ藤井旭『全天 星雲星団ガイドブック』では M82 は「爆発小宇宙」などと呼ばれていて、銀河中心で大爆発が起こっているのだとされていました。銀河規模の爆発というだけでもアツいものがありますが、滅びゆく銀河の姿というのもロマンチックで、子供の頃からずっと見たかった天体でした。

今回撮った写真でも中心に爆炎のような模様がうっすら浮き上がっているのが見えます。なのですが、今では爆発のように見えるのは「爆発的に星が生成されている」ためと考えられていて、「スターバースト銀河」と呼ばれています。

M82 から Hα 線が噴き出す原因は、1960 年代の初頭には銀河の中心部で起こった巨大な爆発によると考えられていた。その後、M82 の中心部には巨大な分子雲や多くの超新星の残骸が発見され、また国立天文台野辺山宇宙電波観測所の 45m ミリ波望遠鏡による電波観測では、M82 の中心部から外側に向かって分子ガスが流出していることが分かってきた。そこで現在では、銀河中心部における活発な星生成 (スターバーストと呼ぶ) や超新星爆発により、高温の電離した水素ガスが銀河の外側まで噴出し Hα 線として見えている、と解釈されている。このような現象は「スーパーウィンド」と呼ばれており、銀河内の物質を銀河の外側へ運び出し、銀河間空間を加熱する重要な役割を持っている。
観測成果 - 銀河から噴出す真紅の光 (M82, NGC 3034) - すばる望遠鏡

爆発してなくなってしまうというわけではないみたいです。残念…!? 「スーパーウィンド」で広がった赤いガスは今回撮った写真ではほとんど写りませんでした。Hα 線なので改造デジカメじゃないと写らないでしょうか。そういえば M81 の渦巻きの腕の中にも Hα 線を出す赤い星雲が点在しているはずなのですが写っていません。

M81 と M82 のツーショットは偶然ではなく実際にお隣同士の銀河です。M82 のスターバーストは M81 とすれ違った時に受けた重力の影響だと言われるくらいです。

続いて M108 と M97 の写真はこちら。

M108, M97 (2016/12/30 03:05)
M108, M97 (2016/12/30 03:05)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 200, 180s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC, FlatAidePro 1.0 で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M108 も妙にモコモコ感があって M82 と雰囲気が似ていますが、これは不規則銀河ではなくて普通の渦巻銀河です。M97 は「ふくろう星雲」の名の通りふくろうの正面顔のような形が特徴です。

なんだかかわいらしいツーショットですが、こちらは偶然同じ方向に見えているもので、地球からの距離は M108 が 4600 万光年、M97 が 2000 光年です。*2

*1:参照:「LPS-D1 QRO について

*2:Stellarium 0.15.2 のデータより。