昨夜は夜中からベランダで天体撮影。せっかくの晴天ですが、上弦の月が沈むのが 00:50 頃、天文薄明が 2:50 頃ということで月のない夜空は2時間しかありません。月明かりがあってもなんとかなりそうな天体ということで月没前から散開星団を撮っていました。
さそり座のしっぽの先にある M6 と M7、そしてたて座の M11 です。本命は月没後に撮る M11 です。月没前に撮った M6 と M7 は南中高度が20度と低く光害に埋もれそうで敬遠してきた天体ですが、ダメ元で撮ってみました。
M6 は白っぽい大粒の星が散らばった星団ですが、1個だけオレンジ色の明るい星が混ざっているのがおしゃれです。が、この星(BM Sco)は距離が約788光年*1 と M6 の1600光年よりずっと近い星なので散開星団の一員ではない別の星のようです。
M7 は M6 よりもさらに星の粒が明るく大きく散らばった星団です。藤井旭『全天 星雲星団ガイドブック』では「最も美しい星団の一つ」として激推しされています。
夏休みにはあちこちで天体観望会が開かれますが,星のことをぜんぜん知らない人には25倍くらいの低倍率でこの星団を見せるにかぎります.視野の中で点滅する無数の星の美しさに思わず声も出ないほど感激されることうけあいです.
藤井旭『全天 星雲星団ガイドブック』p130
うーん、写真だとそこまでには見えないような… 眼視だとまた違うのでしょうか。そういえばオートガイダーの映像では散らばった星たちの瞬く様子が綺麗でした。
M6 も M7 も、本当は背景に天の川の星がもっとあるはずなのですが、光害のカブリを画像処理で消すと光害に埋もれた天の川の淡い部分も一緒に消えてしまって少し寂しい感じになってしまいました。特に M7 は向かいのマンションの部屋の灯りが迷光になってカブリがひどかったので…*2
M11 も天の川の中の星団ですが、こちらは十分高度があってそこそこにぎやかな絵になりました。
同じ散開星団でも M11 は粒の小さな星が密集していて見ごたえがあります。散開星団の中では最も密集度が高く、星団内の恒星の間隔は1光年以下だそうです。*3
ちなみにコンポジットが6枚ですが、これは途中で飛行機が横切って使えないカットが出たからです。こんなふうに。
厚木基地方面から飛んできたような… 米軍機でしょうか?こんな深夜になんなんでしょうね…
*1:1600光年とする資料もあるのですが、Universe Guide「BM Scorpii - HD160371 - HIP86527」によるとヒッパルコス星表の2007年版で年周視差のデータが改定されてそれまで約1530光年だったのが約788光年になったとのこと。
*2:M7 の撮影では途中で向かいのマンションの屋上の避雷針に隠れてしまい撮影を中断するトラブルもありました。市街地で低空の天体を撮るのは色々大変です。
*3:AstroArts「メシエ天体ガイド:M10」