Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

CMOSカメラで月面撮影 (2017/11/1)

今日は体調不良で会社を休んで夕方まで寝ていました。外は快晴。17時頃から気晴らしにベランダから月を見ていました。先日うっかり買ってしまったバローレンズ(笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー)のファーストライトを兼ねて。

アイピースはセレストロン 8-24mm ズームアイピース。望遠鏡は 8cm F6 なので 8mm にセットすると150倍です。明るい像でよく見えます。コントラストの低下も感じません。いつも撮っている月の写真をモニターいっぱいに写したのを鑑賞距離で見るくらいの解像感です。

ビクセン NLV2.5mm (480倍)も試してみましたが、さすがに過剰倍率が過ぎて、暗いしぼやけてるし埃の影みたいなのがいっぱい見えるしで、なにがなにやらわからない感じで使い物になりませんでした。NLV2.5mm はバローレンズなしの192倍でもかなりコントラストが落ちるので期待はしていませんでしたが…

西の空の土星も見てみましたが150倍だと豆粒より小さい土星がぽつんと空に浮かんでいる感じでまだまだ小さいです。輪ははっきり見えますがカッシーニの間隙は見えません。480倍だとぼやけてやはり見えないのですが、像の大きさはこのくらいでやっと惑星を見てる気になれますね。やはり20cmクラスの望遠鏡が欲しくなります…

ひとしきり眼視観測を楽しんだ後は、いつものように2xテレコンで月を撮った後、これまでずっとやってこなかったCMOSカメラでの月面撮影にチャレンジしてみました。

カメラはいつもオートガイドに使っている QHY5L-II-M です。モノクロカメラですし、ピクセルサイズは3.75μmで、解像度的には E-M5 とほとんど変わりません。敢えてこのカメラで撮る意味はないのですが、今時主流の月・惑星撮影の手法を試してみたくてやってみました。

例の2.5倍バローレンズを、これもまた先日買ったばかりのビクセンのフリップミラーの直視側に付けて、バローレンズのスリーブに QHY5L-II-M を挿します。

が、カメラ本体がアイピースと同じ31.7mm径なのでどこまででも挿せてしまって、どの位置で留めていいのかわかりません。位置が違うとバローレンズの拡大率が変わるので困るのですが… まあ今回はお試しなので適当な位置で留めました。

キャプチャーソフトは最初 FireCapture 2.5 を使おうとしたのだけどカメラを認識しなかったので、SharpCap を使うことにしました。QHY は SharpCap 推しのようですし。QHY の公式サイトでは 2.9 を配布していますが、SharpCap の公式から 3.0 をダウンロードしてインストール。これは問題なくカメラを認識しました。

ピント合わせにはえらく苦労しました。ライブビューの映像はシンチレーションでものすごく揺れていてピントが合ってるのか合ってないのかよくわかりません。Focusing Tools から Contrast (Edge) Detection を使ってみましたが、スコアが安定せず使いこなせませんでした。

適当なところであきらめてとりあえずキャプチャを開始します。露出時間 0.5ms (1/2000s)にしてゲインを適正露出に見える60に設定。あとはデフォルトの設定。フレーム数を600フレームに設定して約20秒。

キャプチャーしたAVIを見るとものすごく像が揺れていて、こんなんで大丈夫かと思いつつ、AutoStakkert!2 で開きます。これも初めて使うソフトでよくわからないのだけど、一応 HIROPON さんのサイトで予習してたのでわかる範囲でなんとか使いました。

まず image stabilization anchor を適当なクレーターにセットして、Image Stabilization は Surfacfe, Cropped を選択、Quality Estimator は Global を選択して Analyse を実行。

Alignment Points は Auto AP で。設定はとりあえずデフォルトのまま。Stack Options では出力形式は TIF にして、Sharpend にチェックを入れて他はデフォルトのまま(フレームの50%をスタックする設定)で Stack を実行。

結果出てきた画像(Sharpend の方)がこれです。

月面 (2017/11/1 19:23)
月面 (2017/11/1 19:23)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15?) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.50ms x 300コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8 で画像処理

月面 (2017/11/1 19:53)
月面 (2017/11/1 19:53)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15?) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.50ms x 300コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8 で画像処理

想像以上にそれっぽい写真になってびっくり。もっと不自然な仕上がりになるかと思ってました。しかし、横縞のノイズ?が画面全体に乗っています。これはなんなんでしょう?AVI上でも見えるのでカメラの設定の問題でしょうか?

RegiStax による強調処理はまた今度。でも縞ノイズが邪魔になりそう…

ちなみに E-M5 でワンショットで撮った写真はこちら。

月齢12.6 (2017/11/1 18:24)
月齢12.6 (2017/11/1 18:24)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO320, RAW) / 露出 1/125s / Lightroom CC で画像処理

この写真を等倍表示で見たほうが綺麗に見える気がします。が、実際にはワンショットで撮った画像はシンチレーションであちこち歪んでいたり、一部の小さいクレーターは潰れて見えなくなっていたりするので、スタックした画像の方が本来の姿に近いはず、ですかね?

これからも色々試してみたいと思います。惑星も試してみたいけどさすがに小さすぎて無理かな?