火星の大接近まであとわずかなのにまだ悩んでいるのですが、候補の一つミューロン180C (μ-180C)のレビュー記事が『月刊 天文ガイド』2017年2月号に載っているのを知って Kindle 版を購入してチェックしました。
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2017/01/05
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西條善弘「TG Telescope Review タカハシ ミューロン180C」という記事です。鏡筒の作りや実写テスト、さらにはスポットダイアグラムや収差図など貴重なデータが載っています。
で、心配だったコマ収差ですが、余計心配になりました… 本文には、
さて,ドール・カーカム式という反射望遠鏡の光学系は「視界中心は球面収差も色収差もないので申し分なく,比較的大きなコマ収差と像面湾曲が良好な視界の広さを制限する」という性質のものである
と控えめな表現なのですが、純正フラットナーレデューサーの写真のキャプションでは、
0.8倍なのでレデューサーとしての効果は小さいが,ドール・カーカム式の猛烈なコマ収差が大幅に補正されて良像範囲はぐんと広がるのでフラットナーとしての効果は大きい.
と書いていて不安になります。「猛烈な」て…
そのココロはスポットダイアグラムを見るとはっきりします。中心では無収差と言ってよい結像なのに対し、像高13.5mm (APS-C サイズの四隅に相当)で高さ・幅共に約180μmまで広がるコマ収差が出ています。像高21.6mm (フルサイズの四隅に相当)では300μm近い広がりです。
とはいえ実写ではどうなんだろうと思ったら、なんと補正レンズなしの直焦点の作例がありません。DSO の作例は純正のμフラットナーレデューサーを使用したもののみ。あとは2倍バローレンズを使った木星の写真のみ。木星は季節外れのため高度17度での撮影で微妙な写りです。
なので素のμ-180Cがどのくらい「猛烈」なのかいまいち実感できず。まあ、F12でDSOは撮らないのですが、問題は月面撮影でどのくらい使えるかです。
非点収差図を見た感じではフォーサーズの四隅相当の像高10.8mmでも厳しそう。CMOSカメラだと ASI290MM/MC の四隅は像高3.23mm、ASI178MM/MC だと像高4.47mmで、このくらいだとあまり問題なさそうな気がするのですが…
そんなわけでもう少し悩みそうです。