Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

月面 (2019/5/23)

5月23日の明け方、木星土星を撮った後に機材構成を変えずにそのまま月面を撮影しました。この構成で撮った月面はすっきりしない写りが続いていたのですが、今回はそこそこの写り。やはりシーイングが違うと全然違うということなんでしょうか…

アルキメデス、アリスティルス、オートリクス (2019/5/24 03:17)
アルキメデス、アリスティルス、オートリクス (2019/5/24 03:17)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

アリアデウス谷 (2019/5/24 03:18)
アリアデウス谷 (2019/5/24 03:18)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

アルプス山脈、アルプス谷 (2019/5/24 03:03-03:05)
アルプス山脈、アルプス谷 (2019/5/24 03:03-03:05)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/2000コマをスタック処理 x 3枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Image Composite Editor 2.0.3.0, Lightroom Classic CC で画像処理

プラトー (2019/5/24 03:06-03:08)
プラトー (2019/5/24 03:06-03:08)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/2000コマをスタック処理 x 4枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Image Composite Editor 2.0.3.0, Lightroom Classic CC で画像処理

カッシニ (2019/5/24 03:10-03:11)
カッシニ (2019/5/24 03:10-03:11)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/2000コマをスタック処理 x 2枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Image Composite Editor 2.0.3.0, Lightroom Classic CC で画像処理

直線山列 (2019/5/24 03:13-03:15)
直線山列 (2019/5/24 03:13-03:15)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/2000コマをスタック処理 x 3枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Image Composite Editor 2.0.3.0, Lightroom Classic CC で画像処理

アルプス谷の真ん中を走る細い谷は写りませんでした。クレーター列はかすかに見えるんですが。プラトーの内部の小クレーターは6つ数えることができますが、かなりぼやけています。

どちらも月齢的に日の当たる角度が良くないせいもあるのでしょうが、この様子だとどちらにせよクッキリとは写らない感じ。口径18cmとはいえもう少しは頑張れるんじゃないかと思うんですが… シーイングの問題なのか、画像処理が足りないのか、光学系に問題があるのか、それともやっぱり18cmではこんなものなのか。

月面の微妙な色合いが楽しめる月齢なのでカラーカメラで撮ったのですが、ここまで拡大して撮ってしまうと意味なかったですね… スタック処理は重いし wavelet 処理でカラーノイズが出るしであまりいいことなさそう。

木星、土星 (2019/5/23)

5月23日は月の出の前まで M104 を撮って、それから木星を撮るつもりだったのですが、20:30 頃から撮影開始した M104 は途中から雲が出てきて1カット撮っただけで撮影不能になってしまいました。

赤道儀はそのままにして深夜に μ-180C を載せて木星を狙ったのですがなかなか雲が晴れず、イオとイオの影が一瞬見えたものの雲に隠れてしまい、1:30 頃になってやっと雲が切れて撮影できました。

木星 (2019/5/24 01:29)
木星 (2019/5/24 01:29)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

イオの影をちゃんと追いたかったのですが雲に邪魔されてそうもいかず。その後2:00頃からすっきり晴れてきてシーイングもだんだん良くなってきました。

木星 (2019/5/24 02:08)
木星 (2019/5/24 02:08)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 x 4 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

木星 (2019/5/24 02:12)
木星 (2019/5/24 02:12)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 x 4 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

イオの影はよく見えていますがイオ本体は識別できません。残念。

この後土星も撮りました。プレビュー映像でもカッシーニの間隙がかなりクッキリと見えていたので期待していたところ、期待通りの写りになりました。

土星 (2019/5/24 02:32)
土星 (2019/5/24 02:32)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/30s x 2500/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

今回は M104 を撮るつもりで極軸をしっかり合わせていたので、一時間経っても木星が写野から逃げていかず、快適に撮影できました。

この後、惑星用の光学系で月面を撮りましたが、それについてはまた後ほど。

木星、土星 (2019/5/21)

横浜では大雨警報が出た5月21日ですが、夜中から晴れてきて雲の隙間から月と木星が見えていて、シーイングも悪くなさそうな気がしたので深夜から木星を撮りました。

度々雲に邪魔されて、シーイングが乱れることもありましたが、雲が流れていってからはそこそこ良いシーイングになり、今シーズンのベストの木星が撮れました。と言っても今までがひどかっただけですが…

木星とガニメデ (2019/5/22 01:29)
木星とガニメデ (2019/5/22 01:29)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

ちょうどガニメデが木星面を通過するところでした。ガニメデの影もよく見えています。

木星とガニメデ (2019/5/22 02:31)
木星とガニメデ (2019/5/22 02:31)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

木星とガニメデ (2019/5/22 02:47)
木星とガニメデ (2019/5/22 02:47)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

2:30 頃から大赤斑が出てきました。もう少し待って大赤斑をいい位置で撮りたかったのですが、3:00 過ぎから薄雲が広がってきてこれが限界でした。

木星 (2019/5/22 03:12)
木星 (2019/5/22 03:12)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

最後に土星も撮りました。

土星 (2019/5/22 03:23)
土星 (2019/5/22 03:23)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/30s x 2000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 11.0.2, Lightroom Classic CC で画像処理

薄雲越しの撮影ということもあっていまいちなのですが、前回に比べればずっといいです。

今シーズンに入ってから今まで木星がまともに撮れなかったのが、シーイングのせいなのか光学系の不調のせいなのかわからなくて、ずっともやもやしていたのですが、今回の結果を見ると、結局今まではシーイングが悪かったということなんでしょうね。

μ-180C を買ってからまだ一年経っていなくて、季節によってシーイングが変化して写りがこれだけ違ってくるというのがわかっていませんでした。梅雨入りも間近でしばらくは撮影できないと思いますが、梅雨明け後は期待していいのかな?

M64 黒眼銀河 再処理

2月1日深夜に撮った M64 の写真を再処理しました。

M64 黒眼銀河 (2019/2/2 01:10) (+wavelet)
M64 黒眼銀河 (2019/2/2 01:10) (+wavelet)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 15分 x 8コマ 総露出時間 2時間 / RStacker 0.6.4, DeepSkyStacker 4.1.1, Photoshop CC, Lightroom CC, RegiStax 6.1.0.8 で画像処理, フルサイズ換算 1915mm 相当にトリミング

最初の写真との違いは、星マスクを使ったことと、「黒眼」を強調するため銀河の部分だけ RegiStax で wavelet 処理したものを比較暗で合成したことです。

wavelet 処理画像の合成は「黒眼銀河を wavelet 処理」でもやりましたが、今回は wavelet 処理画像に「ダスト&スクラッチ」をかけて銀河周辺部に浮いたノイズを軽減しました。

ちょっと嘘くさい気もしますが、こういうのもアリかなと思っています。

M8 干潟星雲 再処理

5月11日撮影の M8 ですが、やっぱり物足りなさがあるので再処理しました。同じ機材で撮ったばら星雲より地味なのはちょっとどうかと思ったので…

M8 (2019/5/12 01:02) (HDR) (3)
M8 (2019/5/12 01:02) (HDR) (3)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 2分 x 8コマ, 4分 x 8コマ, 8分 x 7コマ 総露出時間 1時間44分 / DeepSkyStacker 4.1.1, Photoshop CC, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1100mm 相当にトリミング

前回の写真は DSS の出力を Lightroom のみで調整しただけでした。今回は Photoshop で星マスクを使って、その分強めの強調をかけてガスの流れがくっきり見えるようにしています。このくらいの方がいいかな?インスタ映えしそう?

ノイズ軽減はディテールを大きく増やして、コントラストを少し増やしておくと眠くならないようです。あと、Photoshop の CameraRaw フィルターの調整と Lightroom の調整の2段階に分けて処理すると微調整しやすい気が。

相変わらず Photoshop だけでは調整が追い込めず、最後に Lightroom で仕上げの調整をしています。というか Photoshop で画像全体が見えるように縮小表示するとトーンジャンプしまくったグズグズの表示になるのなんででしょう?100%表示だと大丈夫なのですが、全体のバランスが見えなくて困ります。

M8 干潟星雲 (2019/5/11)

5月11日土曜日は深夜から晴れの予報ということで20:30頃からベランダに機材を設置。薄雲に邪魔されながらドリフトアライメントで極軸を合わせ。今回のターゲットは M8 干潟星雲。定番ですが 8cm F6 直焦では撮ったことがなかったので。

一昨年にレデューサー使用(フルサイズ換算 f576mm)で撮ったことがあったのですが、その時は中心部が白飛びしていたので、今回は多段階露光 + HDR で撮影です。

2分露出8コマ、4分露出8コマ、後は12分露出で撮れるだけ撮る、という計画でしたが、23:30に撮った2分露出の試し撮りでは低空の光害カブリがひどく背景輝度が50%に。これでは12分どころか4分でも真っ白になってしまうのですが、この時はまだ M8 の高度が15度ということで、高度が上がるのを待ちます。

0:00 に高度が20度近くに上がったところで撮影開始。4分8コマの撮影が完了した0:50頃には4分露出で背景輝度50%に。この分だと12分は厳しいと思い、さらに高度が上がるのを持って1:00から8分露出で撮影開始。

8分露出の背景輝度は67.5%で許容範囲。そこから8分露出を撮れるだけ撮りました。薄明の始まる3:00までに12コマは撮れる予定でしたが、後述するようにオートガイドの不調で結局7枚しか使えるコマがなく、結果はちょっとザラザラの仕上がりになってしまいました。

M8 (2019/5/12 01:02) (HDR) (2)
M8 (2019/5/12 01:02) (HDR) (2)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 2分 x 8コマ, 4分 x 8コマ, 8分 x 7コマ 総露出時間 1時間44分 / DeepSkyStacker 4.1.1, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1100mm 相当にトリミング

干潟模様はもうすこしコントラストを上げた方がよかったでしょうか。ハイライトを飛ばさないように仕上げたら若干眠い仕上がりに。HDR 合成は以前の M42 と同様に DeepSkyStacker の Entropy Weighted Average(HDR) コンポジットの出力をトーンカーブ調整したものです。

低空の対象ということで背景のカブリがキツくてレベル補正でコントラストを上げると暗部のノイズが目立ってしまうんですよね。淡い部分ももっとあぶり出したかったのですが背景が汚くなるのでやめました。光害地で無改造デジカメでの撮影だとこんなものですかねぇ。縛りプレイの結果としてはまあ満足かな…

今回もガイドに悩まされました。

まず、キャリブレーション時に South Step が動かない件。ガイドケーブルもガイドカメラも替えて、端子も綿棒でよく掃除したのですがダメです。が、オートガイド中に SB-10 の矢印ボタンの LED を確認するとちゃんと南側も点滅しています。なので Guide South 信号線の断線とかじゃなさそうです。だとしたらやっぱり赤緯軸駆動系のバックラッシュがひどいとか?でも前々回まではキャリブレーションは普通にできていたので謎です。

オートガイドは前半は好調だったのですが後半は赤緯ガイドの蛇行運転がひどくて長時間露出に耐えず、8分露出は12コマの予定が7コマしか使えませんでした。と言ってもRMSエラー2秒前後なので、いつもなら許容範囲なのですが、今回はシンチレーションが小さかったせいか赤経RMSエラーが1秒弱に収まって、結果星像が縦長になってしまってボツにせざるを得ませんでした。

一方向赤緯ガイドに切り替えようかとも思ったのですが、ドリフト方向がよくわからず Auto のままで振動がおさまるのを待っていたのですが結局時間切れ。前半が好調だっただけに何が悪いんだかよくわかりません。

撮影前の待ち時間にも色々試したのですが、

  • ガイドカメラが悪いのでは?
    • 高解像度低ノイズの ASI290MM だとガイド精度は上がるが、蛇行する時は蛇行する。
  • シンチレーションの影響では?
    • ガイドカメラの露出時間を伸ばしてもガイドエラーは減らず、蛇行する時は蛇行する。
  • 「積極性」が高すぎるのでは?
    • 赤緯が大きくズレる時は数秒で大きくズレるので積極性を落とすと手遅れになりそうで怖い。
  • バックラッシュ補正をかけるのは?
    • あまり効いてないような…

ということでよくわかりません。

シンチレーションと言えば、この夜はかなりシーイングがよかったようで、ドリフトアライメント中のガイド星のゆらぎが極端に少なくて、ターゲット表示が半径1秒角におさまるほどでした。時間があれば惑星撮影もしたかったのですが、結局薄明まで M8 を撮影していたのでできませんでした。もったいなかったかなー…

2740, 2741黒点群 (2019/5/8)

先月撮った2738黒点群ですが、

なんと、消えずに一周して戻ってきました。そんなに元気そうに見えなかったので意外。新たに番号が振られて2740黒点群と命名されています。

また、西の端*1からは新しい黒点、2741黒点群が出現しました。というわけで午前中会社休んで撮りました。

【注意!】 太陽の観察・撮影には専用の機材が必要です。専用の機材があっても些細なミスや不注意が失明や火災などの重大な事故につながる危険性があります。未経験の方は専門家の指導の元で観察・撮影してください。

2740, 2741黒点群 (2019/5/8 10:31)
2740, 2741黒点群 (2019/5/8 10:31)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F??), Kenko PRO ND-100000 77mm, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 0.7ms x 1000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

いい感じです。RegiStax のパラメータは前回と同じなのですがディテールがくっきり出てきました。プレビュー映像でも明らかにシーイングが良かったのでそのおかげでしょう。半暗部に出る放射状の模様も微妙に写っているような。

2740黒点群は前回に比べるとだいぶ小さくなっているようですが活動は活発だそうです。可視光ではわかりませんが… 2741黒点群の西には白斑が広がっているのが見えます。

この後、試しに赤外(850nm)でも撮ってみたのですが、うっかりカラーカメラで撮ってしまいました。このフィルターはASI290MCでBayerパターンをデコードせずに処理してOKとのことだったのですが、グレースケールでスタックして RegiStax にかけると格子状のパターンが出てしまってダメでした。

そこでカラー画像として処理したのですが、可視光の写真を少し淡くしたような結果にしかなりませんでした。

2740, 2741黒点群 (2019/5/8 10:50) (IR850)
2740, 2741黒点群 (2019/5/8 10:50) (IR850)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F??), Kenko PRO ND-100000 77mm, ZWO IR850nmパスフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 2ms x 2000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

どうも太陽を赤外で撮っても意味がないみたいです。

*1:太陽面上に立った時に太陽の自転に伴って星が昇ってくる方向を東、沈む方を西としています。天空上では東側の端になります。