ちょっと前のことですが、プロカメラマンの西嶋伸嘉さんのこんなツイートが話題になっていました。
(写真とアプリ 1/3)
— visual-material (@vm_nishijima) 2017年4月6日
特に若い女性の間で写真アプリ依存というか、現実との乖離が進行してるように思う。以前、どんな風に撮れているのか見せて欲しいと言われたので、デジカメ背面モニターで見せたところ、「違う!これは私の顔じゃない!写真撮るの下手ですね」と不機嫌さを露わにされた。
(写真とアプリ 2/3)
— visual-material (@vm_nishijima) 2017年4月6日
彼女は自分のスマホを取り出し、「これ。これが私の本当の顔なの。どうしてこういう風に可愛く撮れないの?」と見せてきたのは、アプリ(BeautyPlus)で修正されまくった画像だった…。
私は返答の言葉に詰まり、どうしたものかと思案を巡らせた。
(写真とアプリ 3/3)
— visual-material (@vm_nishijima) 2017年4月6日
原型を留めないほどの肌修正と輪郭補正、ドギついほどの彩度と強コントラスト、写真というより限りなく絵画に近い表現がもはや「普通」になりつつある時代。ある種の危機感を覚えるが、変化を受け入れつつも新しい映像表現を開拓しなければならない地点に来たように感じる。
天体写真やってるとこの女性を笑えないというか、天体写真も画像処理が前提で、どこまでやるのかって線引きは曖昧だし、光害地での撮影っていう無茶をやってるとかなりキツい強調処理は当たり前というか、そのままだとそれこそ「こんなの××星雲じゃない!」みたいな話になっちゃうわけで悩ましいところなのです。
先日の M101 回転花火銀河、撮って出しの状態だとこんなのです。
ISO 200, 360s
Lightroom CC のデフォルト設定で現像, フルサイズ換算1920mm相当にトリミング
カメラの液晶画面で見えたのがこんな感じでしたから、正直撮っている間ずっと今撮っているのが M101 だという確信が持てなかったくらいでした。
DeepSkyStacker でダーク、フラット、コンポジット(12枚)したものがこれ。基本的にノイズ軽減だけなのでまだ何も見えません。
これにレベル補正、傾斜カブリの補正、明瞭度の調整等をかけるとやっと姿が見えてきます。いつもは黒レベルをもっと下げて全体の光害カブリを消しているのですが、今回は少し残すように調整してみました。
どうせ光害地での撮影と開き直ってこのくらいに仕上げた方がいいんですかね。カブリが消えるまで補正すると天体の淡く広がった部分がボソボソになってノイズにしか見えなくなってしまうのですが、このくらいだとそういう部分もなんとか天体の一部として認識できる程度に見えてきます。
しかしせめて最初からこのくらいに見える空で撮ってみたいものですね。横浜の空でも大停電でも起こればこのくらいは… ってその状況で天体撮影するほどイカれてはいないつもりですが。いや、やってしまうかも…