6月21日の木星のベストショットがいまいち物足りないので、WinJUPOS の De-rotation of images 機能で前後のショットをスタックしてみました。
de-rotation するメリットは、スタックのコマ数を増やしてノイズを減らしてその分強調処理で攻めた調整ができるようになることです。単純に動画の撮影時間を伸ばしてコマ数を増やすと、木星の自転で模様が動いてしまったコマをスタックすることになるためブレた画像になってしまいます。
そこで短時間で撮影した動画からスタックした画像を複数枚用意して、動いてしまった模様を de-rotation で補正してスタックすることで実質のスタックコマ数を増やします。
まずは de-rotaion する前の before 画像。
3000コマ中1000コマをスタックしたものです。これと、その前後に撮影した画像(RegiStax で wavelet 処理する前のもの)を、WinJUPOS で処理します。
やり方は途中まで「WinJUPOS で De-rotaion して LRGB 合成」と同じです。まず Image measurment を3枚分実行して .ims ファイルを3つ作成します。そしてメインメニューの [Tools - De-rotation of images...] を選択して「De-rotation of images」画面を開いて [Image measurements to be used] の [Edit] ドロップダウンから [Add] を選んで、ファイル選択ダイアログで作成した .ims ファイルを選択します(複数選択可)。
De-rotation of R/G/B frames の時と同様に、必要に応じて Quadratic image size ゃ Image type を設定して [Compile image] を押せば de-rotation スタックした画像が出力されます。
そして出力された画像を RegiStax で wavelet 処理します。Denoise 弱め、Sharpen 強めの処理をかけつつ、ノイズ感が before 画像と同じくらいになるよう調整しました。
de-rotation 処理の副作用で木星の西端のすぐ外の空間に白いノイズが少し出ています。Denoise 強めにすれば消えますが、ディテールが潰れてもったいないので後でレタッチで消すことにします。
最終的に Lightroom で色調や階調を before 画像と同じに揃えた after 画像がこちらです。
どうでしょう?大赤斑の左(西)のもやもやした部分など、解像感が増していると思うのですが。
ちなみに同じ wavlet 処理を before 画像にかけたものがこれです。
解像感は同じくらいですが、ノイズがかなり浮いています。離れて見ると目立たないですが…
実際のところ de-rotation が有効な局面はF値が大きくてゲインを上げてノイズが増えたり、シャッタースピードを落としてコマ数が減ったりした場合です。今回の写真は口径18cm、合成F値F28という条件なので本来 de-rotation が必要なほどでもないと思うのですが、練習も兼ねてやってみました。