Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

月面 (2018/9/28)

昨夜は帰宅後疲れて寝てしまって、目がさめたのが深夜。火星はもう撮れない時間だったのでまた月面を撮りました。シーイングは時折大きく乱れるものの、落ち着いている時はそこそこいい感じで、27日よりはずっとマシでした。結構頻繁に雲が流れてきて、雲が出ている間にスタック処理をしたりして落ち着かない撮影でした。

今回もシステムCから ADC を外した構成で撮っています。写真は一応北が上ですがカメラが30度ほど右に傾いたまま撮ってしまったのでちょっと違和感あるかも…

以下、撮影順とは異なりますが、北から順に。

クレーター名に続くカッコ内はクレーターの直径です。位置関係を表す東西南北は月面上での方向です。写真上では右が東、左が西です。空の東西と逆なので混乱しますが、月面上に日本列島を置いた様子を思い浮かべるとわかりやすいと思います。

まずアリストテレス

アリストテレス (2018/9/29 02:01)
アリストテレス (2018/9/29 02:01)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

アリストテレス(87km)はアルプス谷の東にあるクレーター。東にある小さなクレーターミッチェル(30km)に少し重なる形で隣接しています。小さなクレーターの近くに後から大きなクレーターができると小さい方のクレーターは破壊されてしまうのが普通で、ミッチェルのように形がしっかり残っているのは珍しいそうです。*1

次はポシドニウス。

ポシドニウス (2018/9/29 00:50)
ポシドニウス (2018/9/29 00:50)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 11.5ms x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

ポシドニウス(95km)は晴れの海の東の縁にある二重構造のクレーターです。内部には引っかき傷のような谷が複数走っています。ポシドニウスの東に南北に弧を描いて走る比較的大きな谷は G.ボンド谷です。谷のすぐ東にあるクレーターが G.ボンド(20km)です。*2

次はアリアデウス谷。

アリアデウス谷 (2018/9/29 01:21)
アリアデウス谷 (2018/9/29 01:21)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

アリアデウス谷は静かの海の西の端から蒸気の海の南東の端を東西に走る長さ250km、幅4〜5kmの大きな谷です。谷の東の端の少し南にある双子のクレーターがアリアデウス(11km)です。谷の中央部では谷の幅の分ぐらい南北に谷が食い違っているのがわかります。谷の南西の大きなクレーターはアグリッパ(44km)です。

次はキリルスとテオフィルス。

キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53)
キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

神酒の海の北西の端にある二つの大きなクレーター。写真左がキリルス(98km)、右がティオフィルス(110km)です。重なり方からわかるようにキリルスの方が古いクレーターです。くたびれた感じのキリルスに対してティオフィルスはリムもクッキリしていて中央丘も立派です。

最後はアルタイの崖。写真は8枚のモザイク合成です。

アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク)
アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 x 8枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Image Composite Editor 2.0.3.0, Lightroom Classic CC で画像処理

アルタイの崖は高さ1〜3km、長さ480kmの長大な崖です。崖の北端の東にある大きなクレーターはカタリナ(104km)、崖の南端のすぐ南にあるクレーターはピッコロミニ(87km)です。

地形のデータについては、白尾元理『月の地形ウォッチングガイド』iOSアプリ Moon Globe を参考にしました。

さて、27日に比べればずっと良く撮れているし、今まで μ-180C で撮った月面の中でもベストに近い写りなのですが、まだ少しぼやけた感じですね… 8枚モザイクでもまだ少しブレた感じが残っています。もう少しキリッとした写りを期待しているのですが… 拡大しすぎなんでしょうか?それとももっと好シーイングに恵まれないとダメ?

あるいはピントが追い込めていないとか?ピント合わせは合焦機構の精度以前にピントの山がつかみづらくて苦労します。土星なんかだとカッシーニの隙間がクッキリ見えるかどうかが基準になるのですが、月面の地形は少々ピントがズレていてもなんとなくクッキリ見えてしまうので… 細かい地形まで頭に叩き込んでおかないとダメなのかも。

そういえば光軸調整を一度もやってないのですが、やったほうがいいのかな?μ-180C は光軸がズレにくいとは聞きますが。ちなみにファインダーも今まで一度も調整していませんが全然問題なく使えています。

そんなわけで月が出てる間は月面撮影またがんばろうと思います。火星もあと一回くらいは撮りたいかな… でも台風でまたしばらく天体撮影はお休み。今年は台風多すぎ!

*1:参考: 白尾元理『月の地形ウォッチングガイド』p20

*2:月の谷の名前はたいてい近くにあるクレーターの名前に由来します。