先日のエントリで触れた馬頭星雲の撮影に失敗した件、忘れないうちに記録に残しておきます。
11月15日は 8cm F6 直焦点で馬頭星雲を撮影するつもりでした。PHD2 のガイドアルゴリズムの設定は以下の通り。
赤経:
赤緯:
- アルゴリズム: レジストスイッチ
- 積極性: 100
- 最小移動検知量: 0.20 ピクセル
- 大きな変位に対する高速切り替え: ON
- Use backlash comp: OFF
- 赤緯ガイドモード: Auto
月を撮影した後だったのですか STARBOOK 10 は一度電源を切って「極軸を合わせた赤道儀」に設定してから撮影しています。
この日は15分露出で8枚撮影する予定でしたが、1枚目の撮影で12分を過ぎた頃、突然赤緯方向のガイドが怪しくなりました。ガイド星がマイナス側(南側)にズレていって、大きなガイドパルスが出ているにも関わらずガイド星が戻りません。我慢して最後まで露光しましたが結果は…
ガイドグラフを PHD2 Log Viewer で見てみました。
縦軸の目盛間隔2.5秒です。赤緯方向のブレは7.5秒近くまで達しています。当時は気づかなかったのですが、赤経方向もおかしいですね。マイナス側(西側?)に引っ張られている感じです。
ケーブルが引っかかったのかと思いましたが、撮影完了後に確認したところ特に異常は見当たりませんでした。風もほぼ無風で突風が吹くような天候ではなく、風のせいでもなさそうです。
ガイド鏡にも異常がないことを確認して結局原因はよくわからないのですが、たぶんケーブルだろう、ベランダに出た時は既に引っかかりが解消した後だったのかもしれないと思いつつ、そのまま撮影を続行することにしました。
が、赤緯のガイドが大暴れ。1分周期ぐらいでプラス側マイナス側を行ったり来たりしてしかも振れ幅がだんだん大きくなり、3分後には10秒を超えたのでガイドを中止しました。PHD2 側の不調かもしれないと思い、もう一度ガイドを開始しましたが振れ幅の発散はないものの±5秒を超える大きな揺れが続いてまた中止。
ギアの不調かもと思い、試しにコントローラーのボタンで赤緯軸を南北に回してみてからガイドを開始すると最初こそ揺れたもののその後は安定。そのまま2枚目の撮影を開始。今度は15分間ほぼパーフェクトにガイドしてくれました。RMSは赤経±1.24秒、赤緯±1.15秒。最初の揺れも含めてなので実際はもっと良かったはずです。
が、念の為撮影した画像を確認すると…
なんで!?わけがわかりません。
冷静に考えるとガイド鏡か撮影鏡のどちらかが撓んだのでしょうが、ガイド鏡は十分小型軽量でそれ自体が撓むようなことはありません。ガイド鏡は撮影鏡の接眼部にあるファインダー台座に取り付けられていますが、取り付け部分はしっかり固定されているのを確認しました。
不安なのは撮影鏡の BLANCA-80EDT の特徴である鏡筒直付けの三脚座の撓みですが、ここが撓むとガイド鏡と鏡筒が一緒になって揺れるはずなので撮影した像が揺れるならガイドも揺れるはずです。やはり特徴的な回転式の接眼部も、回転する側にファインダー台座があるため、やはりここが揺れるならガイド鏡も一緒に揺れるはずです。
原因がさっぱりわからないのでここで心が折れてこの日の撮影は中止して撤収しました。
後から色々考えましたが、正直よくわかりません。理屈の上では問題発生後確認しそびれた接眼部のドローチューブか直焦アダプタの接続周りが怪しいのですが、撤収してバラした後では真相は闇の中です。
こんなことは今までなかったのでどうしたらいいのか困っています。一時的な現象ならいいのですが、13日のウィルタネン彗星の撮影でもガイドが安定しなかったし… しかし SX2 にしてから DSO 撮影はトラブル続きです。つらい。