Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

アニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』に登場する望遠鏡について

先月から始まったプリキュア新シリーズ『スター☆トゥインクルプリキュア』は宇宙をテーマとしたシリーズで、主人公は「星座と宇宙が大好きな中学二年生」*1 ということで一部の天文&アニメファンからは放送前から注目されていた作品です。

現在第5話まで放送されメインキャラクターが一通り揃ったところですが、天体観測のシーンは第1話冒頭だけ。でも主人公と親しい天文台のおじいさんも登場しているので今後に期待したいところ。また、望遠鏡をイメージしたアイテムも登場予定で、本編ではまだなのですがエンディングには既に登場しています。

ということで主人公の使用する望遠鏡と登場予定のアイテム「リズムスコープ」について見ていきます。

星奈ひかるの望遠鏡

本作の主人公・星奈ひかる(キュアスター)は「星座と宇宙が大好きな中学二年生」という設定です。ということはいわゆる天文ファン的なキャラクターなのか?と思っていたのですが、実は望遠鏡で見た星々の並びからオリジナルの星座を作るという一風変わった趣味の持ち主でした。

そもそもひかるの宇宙への興味はオカルト趣味と渾然一体となっているようで、部屋にはグレイの人形や、幼稚園の頃に描いたと思われる宇宙人の絵、UFOマップといった怪しげなアイテムがあふれ、オリジナルの星座も「グレイ座」「UFO座」「ビッグフット座」… あと飼い犬の名前がイエティです。

そんなひかるの愛用の望遠鏡がこれです(第1話より)。

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https://rna.sakura.ne.jp/share/STPrecure/stprecure-20190203-02.jpg
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どうやらスコープテックのラプトルシリーズのような初心者向けの望遠鏡のようです。正直これには安心しました。というのは、アニメや漫画で望遠鏡が登場する際に赤道儀式の望遠鏡を出てきて奇妙な描かれ方をしていることがよくあるからです。

たとえば同じプリキュアシリーズ『ふたりはプリキュア Splash Star』のこんな描写が典型的です(第34話より)。

https://rna.sakura.ne.jp/share/STPrecure/precuress-34-01.jpg

そう、みんなやたらと北極星を見たがるんですよ!というか、もそも極軸を合わせて軸を回転させて使うという発想がないらしく、この回でもシーン毎に極軸の向きが違っています。どうもこの種の望遠鏡は見たい方向に極軸を向けて見るものと思って描いているようです。

望遠鏡のカタログや販売店に展示されている望遠鏡が決まってこの姿勢になっているので、それをよくわからずにそのまま描いてしまったのでしょうか?

あるいは軸を回した姿勢をとった望遠鏡を見慣れず違和感を感じてしまう一般視聴者に配慮して記号的な表現として敢えてこのように描いているのかもしれません。そもそも赤道儀は機構が複雑で天文をやってない普通のアニメーターが描くのは難しいから、という理由もありそうです。

しかしそれなら経緯台式の望遠鏡を出せばいいのに、と常々思っていたわけですが、*2 本作ではちゃんと経緯台を出してくれました。

もっとも敢えて初心者向けの安価な望遠鏡を出してくるとは予想していませんでした。主人公の愛機ということでテレビを見た子供が同じものを欲しがった際に保護者の負担が軽いようにという配慮だったりするのでしょうか…

望遠鏡型アイテム「リズムスコープ」

宇宙がテーマのシリーズということで本作では望遠鏡型のアイテムが登場予定です。その名も「リズムスコープ」。屈折望遠鏡を模したアイテムで、本編ではまだですが既にオープニングやエンディングでは使用され、おもちゃも発売済みです。

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オープニングやエンディングダンスでリズムスコープを覗くポーズがあったのでもしや!?と思ったのですが、おもちゃの方には望遠鏡としての機能はないようです。残念。子どもたちが天文の道に入るきっかけになればと思ったのですが…

もっとも、番組の対象年齢が4〜6歳ということを考えると望遠鏡は早すぎる、というか太陽を見ると危険なので、子供に持たせっぱなしにするおもちゃとしてはあり得ないのかもしれません。

おまけ: エンディングに出てくる星座について

本作のエンディング、宇宙がテーマということで背景に星座が出てくるのですが、何故か全部裏返しなんですよね… たとえばこのカット、

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さそり座としし座が明らかに裏返しですね。これはどういうことなんでしょう?ひょっとしてひかるが望遠鏡で天頂ミラーを使って裏像で星空を眺めているので、それに合わせた、とか…!? まあ、単に星座のテクスチャを球の表面に貼ってカメラを球の中に入れたらこうなった、というのが一番ありそうですが…

そういえばひかるがノートに描いているオリジナル星座も裏像なんですかね?気になります。

星座と言えば設定では地球は「宇宙の端っこ、辺境の中の辺境」*3 という設定なのに、「地球からずっと遠く離れた宇宙」から宇宙を見守る「12星座のプリンセス」がいるというのも謎です。

「おうし座のプリンセス」とか言ってもそっちからは星座の形全然違うはずですよね。そもそもそこは銀河系内なのか?という疑問も。まあそのへんは『宇宙戦隊キュウレンジャー』でも宇宙の地域を「星座系」で区分してましたし、子供向けのフィクションとしてはお約束なのでしょうね。

それはともかく、星座が裏返しなのは教育上も問題ありそうなのでなんとかして欲しいところかな、と思います。

*1:スター☆トゥインクルプリキュア|ストーリー|キラやば~☆宇宙に輝くキュアスター誕生!|朝日放送テレビ より。

*2:もっとも Splash Star については、美翔家の父は天文学者、長男は宇宙飛行士を目指す高校生という設定なので、それに見合った本格的な望遠鏡を出したい、という事情もあったのかもしれません。

*3:第1話のプルンスのセリフより。