Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

PHD2のドリフトアライメントについて

先日のM83の撮影の時に、PHD2 のガイドグラフの南北が入れ替わっててドリフトアライメントの際の極軸の調整方向が逆になってしまったという話について。

原因はわからないのですが、ガイドグラフの北(赤緯の+側)と南(赤緯の−側)が入れ替わっているっぽいのです。ガイドカメラを変えたせいでしょうか?それとも PHD2 のバージョンを上げたせい?深く追求している時間がないのでとにかくいつもとは逆方向に調整することにしました。
1年ぶりの M83 (2019/3/8)

あの後PHD2のマニュアルを確認したところ、v2.6.5 のマニュアルには v2.6.1 のマニュアルにはなかった記述が出てきます。

初めて方位の調整を行う場合、東に向けるべきか西に向けるべきかが分からないでしょう。PHD2 の側でも分からないので推測になりますが、1/2 の確率で正しい方向に調整できるはずです。調整した方向が正しければトレンドラインはフラットになり(傾きが小さくなって水平に近づく)、間違っていればドリフト速度は増加します(上の例ではより急激に下がります)。
『PHD2 日本語マニュアル(v2.6.5)』 p115

v2.6.1 のマニュアルにはトレンドラインの傾きと極軸の調整方向の関係は書かれてなかったのですが、v2.6.5 のマニュアルでは「PHD2 の側でも分からない」と明記されてしまいました。それってどういうこと?

グラフ表示の説明を見ると以下のような記述がありました。これも v2.6.1 のマニュアルにはなかった記述です。

「マウント」や「Aux マウント」において ASCOM 接続を使用している場合、上の例に示すように、ガイドコマンドの方向(GuideNorth, GuideEast)が表示されます。これは、全体的なドリフトの傾向を見て赤緯側ガイドを一方向に限定したい場合、役に立ちます。このグラフで使われる上下の表記は、カメラの向きや視野内における東西南北の動きとは関係ありません。
『PHD2 日本語マニュアル(v2.6.5)』 p35

グラフの上下が東西南北と関係ないってどういうこと?この部分の記述は v2.6.5dev7 のマニュアルでは、こうなっていました。

For various mount and hardware reasons, these directions may not correspond to actual directions in the sky, particularly for Dec.
Graphical Display - PHD2 v2.6.5dev7

架台やハードウェアが理由らしいですが… このあたり何か議論になっていないかと思い github の issue を探していたらこんな記述がありました。

We do not always know if the GuideNorth command is actually moving the scope
North. For example with an ST-4 connection, GuideNorth will move the scope
South after a pier flip. Also, some ASCOM mounts behave differently after a
pier flip. Some will move North, others will move South.
Request to display directions N/S/E/W on Target · Issue #347 · OpenPHDGuiding/phd2

ガイド信号の「北」が実際に望遠鏡を北に向けるとは限らなくて、ST-4 互換のガイダーだと子午線越えで鏡筒を反転させたら南北が逆転する、ASCOM 接続しても逆転するやつとしないやつがある、ということのようです。

それはわかるんですが、どっちがどっちかはキャリブレーションの時にわかるのでは… それともわからない場合があるのでしょうか?

なんだか納得行かないのですが、「ドリフト法による極軸調整」のページは赤緯のトレンドラインの傾きと調整方向の関係が逆になることがあるとの注釈を追加しておきました。

ソースコードの修正履歴のこのあたりを見ると単純にプロットの上下が逆になってるようなので、PHD2 v2.6.2 以降は逆、という話で済ませていい気もするのですが、ちょっと判断が付きませんでした。

このあたりわかる方がいらっしゃいましたら是非コメント欄で教えていただけると助かります…