Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

木星、土星、火星 (2020/6/9)

6月9日の深夜に久々に惑星を撮りました。今期はまだ昼の金星以外に惑星を撮っていません。というか木星土星はもう一年ほど撮っていません。この日は薄雲の漂う怪しい天気でしたが、前の日の深夜の関東は最高のシーイングだったそうで、Twitter に東京荻窪天文台③が素晴らしい木星の写真を撮影されていたので、ひょっとして今日も?と思い、無理を押して撮影しました。

結果から言うと、シーイングはダメでした… 最初に木星を撮ったのですが、合焦位置から僅かにずれたところでは激しい川の流れのような気流の乱れが見える状況で、木星面の細部が見えずピント合わせに苦労しました。

結局土星の輪の方がピントを合わせやすいと考えて先に土星を撮り、それから木星を撮り直しました。そして最後に火星を撮りました。どれも薄雲越しかそれに近い状況でゲインは上げ気味、ノイズが多いので5000コマ撮影して3000コマをスタックしています。

撮った順番とは前後しますが木星から。

木星 (2020/6/10 02:32)
木星 (2020/6/10 02:32)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 340) / 露出 1/60s x 3000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

ひどいですね… 最初は3000コマで撮影して de-rotation するつもりで何本も撮っていましたが、処理してみるとあまりにひどすぎて WinJUPOS で手間を掛ける気になれず、5000コマで撮ることにしました。露出時間は約1分半で木星の自転によるブレが少し心配になるのですが、ここまでボケボケなら関係ないだろうと思って。

シーイングがまともなら北赤道縞のうねりやそこから伸びるフェストーン、南半球には白斑も写ってそうなのですが、何もかも曖昧にしか写っていません。

次は土星

土星 (2020/6/10 01:53)
土星 (2020/6/10 01:53)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 402) / 露出 1/30s x 3000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

これもひどいですね。カッシーニの間隙は全周は写らず、輪の描写自体も曖昧です。一応カッシーニの間隙でピントを合わせたのですが、隙間がちゃんと見えていたわけではなく、揺れる像の中に段差のようなものを見出すのが精一杯でした。

なお、写真の向きは「木星の北極が上」です。木星でカメラの向きを合わせたままで撮って、撮ったままの向きで仕上げています。

最後に火星。

火星 (2020/6/10 03:20)
火星 (2020/6/10 03:20)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 280) / 露出 1/60s x 3000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

これは意外と悪くない?でも、そう見えるのは2年前の大黄雲下の曖昧な模様しか見たことがないからかもしれません。視直径はまだ9.8秒で、10月6日の最接近時の半分に満たない小さな姿ですが、南極冠の広がりがくっきりと見えています。中央の黒い帯はキンメリア人の海でしょうか?

というわけで久々の三惑星でしたがかなり残念な結果になってしまいました。そろそろ梅雨入りなので当分おあずけかもしれませんが、撮り続けないと好シーイングにも出会えないのでなるべくがんばろうと思います。

ところで、けむけむさん主催の天下一画像処理会:惑星の部に応募しました。

常々、他の人の撮った素晴らしい惑星写真と自分の残念な惑星写真を比較しても、シーイング、筒内気流、ピント、ADCの設定、スタックパラメータ、waveletパラメータ等々、要因が多すぎて何が悪いのかよくわからなくて歯がゆいなと思っていたのですが、天下一画像処理会では元データはみんな一緒で画像処理だけに要因が絞られるため、比較検討が捗るのが素晴らしいと思って応募しました。

提出した画像処理手順は画面一枚分という制約があり書けなかった事が多々あるので、手順やパラメータの詳細を13日の発表後にエントリにまとめてアップしたいと思います。