Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

NGC253 ちょうこくしつ座銀河、M74 (2020/11/13)

このところばたばたしていてブログを書くのが遅れてしまいましたが、11月13日の夜にちょうこくしつ座銀河(NGC253)と M74 を撮りました。ちょうこくしつ座銀河も M74 も過去に2回撮っていますが、今回は惑星用のCMOSカメラ ASI290MC でアップで撮ってみようというものです。

と言っても、最初からちょうこくしつ座銀河を狙っていたわけではなくて、本当は M33 を撮るつもりでいました。南向きベランダからではギリギリなので何分くらい露出できるだろうかと思いつつ機材を組み立てて自動導入してから極軸を回していってガイドカメラで写野を確認していったのですが、ずっとベランダの天井しか写らないことが判明…

念のため極軸を合わせてからもう一度確認してみましたが、やっぱりダメでした。M33 はスカイメモS時代に一度ベランダから撮っていたはずなのに、と思ったら当時はカメラ三脚の脚を一本ベランダの縁に乗り上げる形で無理やり設置して撮っていたのですね…

SX2 で同じことをやる勇気はちょっと… それに三脚の大きさもカメラ三脚より一回り大きいので、そこまでしても M33 は見えないかもしれません。ベランダ天体撮影のこういう問題を解決するためにバランスウェイトを使って鏡筒を赤緯軸からオフセットさせる変態的な工夫をしている人もいるそうですが…

それはともかく、ちょうこくしつ座銀河。Gain 100、3分露出で19:30頃から撮っていたのですが光害カブリがひどかったので結局21時より前に撮ったコマは捨てることにして予定を延長して23:00頃まで撮影。

最後の方は西に傾いて撮り始めより低い高度でしたがカブリはずっと少なかったです。光害地で早い時間帯に低空の対象は厳しいというのと、横浜の市街地が東の方にあるのも大きな要因かもしれません。

NGC253 ちょうこくしつ座銀河 (2020/11/13 20:57)
NGC253 ちょうこくしつ座銀河 (2020/11/13 20:57)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ ASI290MC (ゲイン100) / 露出 3分 x 32コマ 総露出時間 1時間36分 / DeepSkyStacker 4.2.2, Lightroom Classic で画像処理

前回 E-M5 で撮ったものよりはよく解像しているとは思うのですが…

やはり銀河外周部の淡い部分の写りが厳しいですね。明るい銀河でエッジオンに近い向きのものなら光害地でもそこそこ写るものですが、南中高度が20度台ということもあってこのくらいが限界かもしれません。この先は赤外で撮るくらいかなぁ…

M74 の方はちょうこくしつ座銀河の撮影が押して撮影開始が遅れ、予定コマ数が撮れませんでした。24:15頃にベランダの天井にぶつかって撮影終了です。一応仕上げたものがこれです。

M74 (2020/11/13 23:00)
M74 (2020/11/13 23:00)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ ASI290MC (ゲイン100) / 露出 4分 x 17コマ 総露出時間 1時間36分 / DeepSkyStacker 4.2.2, Lightroom Classic で画像処理

今までで一番よく撮れているというか、今までとあまり変わりないというか…

M74 は高度が高いので少し長めの4分露出で24コマ撮る予定でした。ベランダの天井の限界と、途中USBケーブルがハーフピラーに接触してガイドが大きく乱れたコマを捨てたことでコマ数が足りなくなりました。

露出時間については、この頃ちょうど長時間露出 + 低ゲイン vs 短時間露出 + 高ゲインでどちらがノイズ的に有利かみたいな議論があったので、長時間露出 + 低ゲイン派としてはがんばりたかったのですが、うちの SX2 は赤緯ガイドに自信がないので日和りました…

結果的にはケーブル絡みのトラブルを除けばオートガイドは好調で、前半は赤経/赤緯RMSエラーは ±1.0"/±1.3" 程度、後半は ±1.0"/±1.0" 程度で絶好調でした。

気になったのは M74 で星像が丸くならなかったこと。この時は赤緯ガイドエラーが赤経よりだいぶ小さかったので横に伸びたのだと思ったのですが、最後の方の赤緯赤経のエラーが同じくらいになったコマでも伸びていたので光学的な問題かも?ちょうこくしつ座銀河の方では問題なかったので謎なのですが…

この日は M74 が予定通り撮れなかったのがショックでうっかりフラットを撮る前にカメラを取り外すというミスをやってしまい、フラットを撮ることができませんでした。

カメラは2インチスリーブに取り付けていたので、一度外してしまうとカメラの傾きを同じにすることがほぼ不可能です。なので上の写真はフラットなしで仕上げています。1/2.8インチの小型センサーなのであまり目立ちませんがそれでも若干中央部が明るくなってしまっていますね…

ちなみにこの日の撮影は SB-10 の接続ケーブルに汎用の RS-232C ケーブル(ストレート全結線)を使うテストでもありました。使用したのはサンワサプライの KR-M2 というケーブルです。

別途7mmのフェライトコアを2個取り付けて使用。

特に問題なく使用できたので予備のケーブルとしてとっておこうと思います。一応大丈夫でしたが、何かあったら赤道儀の本体ごと保証が効かなくなると思われるのでお勧めはしません…