Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

M8 (干潟星雲) と M20 (三裂星雲) (2021/4/18)

4月18日の深夜、M8 (干潟星雲) と M20 (三裂星雲) のツーショットを撮りました。久々に RedCat 51 出動です。定番の構図ですが、以前は手持ちの鏡筒で適当な画角のものが BLANCA-80EDT + 0.6x レデューサーしかなく、この組み合わせだとフォーサーズの画角でも周辺部の収差が目立って撮れませんでした。それを撮るのが RedCat 51 を買った理由の一つでした。

当日は月没が0:30頃、天文薄明開始が3:30頃で、あまり時間のない中での撮影でした。というか、夕方から寝落ちしてしまい出遅れて撮影開始が2:00過ぎてしまいました。当初は90分かけて多段階露出の予定でしたが、時間がなくて4分露出の16コマで64分露出になりました。

途中雲が出て中断したりで最後のコマは薄明開始にかかってしまいましたが、元々光害カブリの大きい低空からスタートの撮影で、最初のコマよりはずっとマシだったのでそのままコンポジットしちゃいました。

M8, M20, M21 (2021/4/19 02:22)
M8, M20, M21 (2021/4/19 02:22)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II (ISO200, RAW) / 露出 4分 x 16コマ 総露出時間 64分 / DeepSkyStacker 4.2.2, Lightroom Classic で画像処理

光害地で無改造デジカメでここまで撮れれば上等といったところでしょうか。

下のピンク色の大きな星雲が M8 (干潟星雲)、上の青とピンクの小さな花みたいな星雲が M20 (三裂星雲)、その左斜め上の青白い星が少し密になっているのが散開星団の M21 です。M8 の左斜め下の黄色っぽい小さな星の塊(拡大すると粒が見えます)は球状星団の NGC6544 で、左下隅の黄色っぽいモヤのようなものは天の川の一部です。

地球からの距離は近い順に M8 (4077.5光年)、M21 (4240.6光年)、M20 (5219.2光年)、NGC6544 (9786.0光年)です(いずれも Stellarium の表示より)。距離の違いを認識した上で写真を見ると、ちょっとだけ宇宙の奥行きが感じられます。

さて、RedCat 51 で淡い対象を撮るのは2度目ですが、前回は失敗しています。

この時問題になった右辺が白っぽくカブる現象は E-M5 のセンサーの問題だったのか、E-M1 Mark II では今の所出ていません。黄色いカブリについては、上の写真には出ていませんが、実は今回も確認しました。

今回はフラットの撮影で液晶版(iPad)が傾いてしまってフラットにグラデーションができてしまったので、最初はフラット補正なしで仕上げたのですが、この時どうしても中央部に黄色っぽいカブリがうっすら残ってしまい困りました。

その後フラット補正ありで処理したものをフラットのグラデーションに合わせて段階フィルターをかけて無理やり仕上げたのが上の写真です。こちらには黄色いカブリは見られませんでした。

前回はフラット補正してもカブってたのに… と思って調べたら、前回はテスト撮影の際に光害カットフィルターなしで撮ったフラットで補正していました!ということは黄色いカブリはやはりフィルターのせい?

LPS-D1 は対物側から見ると黄色い反射光が出るのでそれが後玉に反射して戻ってきてカブリになっているのでしょうか?BLANCA-80EDT ではそんなことはなかったのですが、RedCat 51 は接眼部近くに対物レンズの後玉が迫る光学設計なので可能性はありそう?でも干渉フィルターの反射光が反射して戻ってきたところで、またフィルターに反射されてしまってほとんど影響ない気もするのですが…

ともあれ、適切なフラット補正で消せる類のもののようなので、今後は安心して撮れそうです。でも周辺減光が少なくてフォーサーズの画角ならフラットなしでも撮れる!と思っていたのでちょっとがっかり。まあ、センサーやフィルター上のゴミの影とかもあってフラットなしで撮り続けるのも厳しいものがあるので元々無理な期待でしたね。

RedCat 51 の有効活用は昨年の「やり残したこと」の一つでしたから、まずは一歩進んだ形です。

まだまだこの鏡筒で撮りたいものはあるので頑張っていこうと思います。