Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

木星 (2021/7/16)

7月16日、関東地方はやっと梅雨が明けました。今夜は晴れるんだろうなと思いつつ体調が悪くて23時頃まで寝てました。目がさめてからやはり外が気になってベランダに出ると少し雲が出てはいますが、木星土星、そして空高くアルタイルが見えています。Sky&Telescopeの木星アプリJupiterMoonsを見ると深夜1:30頃には大赤斑が正面に来るとのこと。

というわけで頑張ってベランダに機材を出して途中雲に邪魔されつつ極軸を合わせて、その間に鏡筒の温度順応も済ませて1:00頃から撮影。え、なんかシーイングむっちゃ良くない?と思って夢中で撮影して、これまた途中で雲に邪魔されつつも3:00頃まで撮影。もう少し撮れそうでしたが、動画データが500GBに達したし、夜明け前だからか少しシーイングも乱れてきたのでそこで撤収しました。

ちなみに大赤斑が正面に来たのは2:20頃で予報よりだいぶ遅れていましたが、おかげでいいタイミングで撮れました。

とりあえず寝落ちする前に AS!3 のスタックとスタック画像の仮 wavelet 処理まで一通りやったのですが、どれも昨年ベストコンディションだった8月1日に匹敵しそうなヤバそうな写り。急いで3セットだけ処理したのですが、昼前に見直すと「こってり」し過ぎだなと思ってL画像の「あっさり」バージョンを作って再処理。昼寝して夕方起きて見直すと今度はあっさりし過ぎなような… と思って昨年8月1日の画像の階調を参照しつつ「こってり」のブレンドを増やしてみたり。

というわけでできたのがこれです。*1

木星 (2021/7/17 1:44) (A+60%K)
木星 (2021/7/17 1:44) (A+60%K)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 276), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 360) / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x6 (L:3, RGB:3) をLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 12.0.7, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2021, Lightroom Classic で画像処理

木星の左側にポツポツとある光点はイオの軌跡です。イオは、ちょうど撮り始めの1:40に木星の後ろから顔を出してきました。3セットの derotation なので3つ写っています。WinJUPOS って衛星の位置は表示するけど derotation はしないんですね。

ていうか、かなりキてるような!?複雑な模様の細部がかなり詳細まで写っています。先日「元気がない」とか言ってましたが、やっぱりそんなことはないですね。でも、なんか大赤斑の色が薄くなっているような… 気のせい?画像処理の加減でそう見えるだけ?

リング状の縁と中心部はそこそこ赤いのですが、その間の部分の色がずいぶん淡くて、逆にひときわ色付いている北赤道縞の南側の褐色の濃い部分と同じくらいの色合いになっているように見えます。比較のために昨年のベストショットを以下に。

木星 (2020/8/1 21:45) (A + K 10%)
木星 (2020/8/1 21:45) (A + K 10%)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 298), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 335) / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x8 (L:4, RGB:4) を de-rotation してLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 11.1.5, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

やっぱりもっと赤いですよね、例年は… ちょっと心配です。

まだ大量に未処理のデータがあるのですが、これからちまちま WinJUPOS に入力して処理していきます。今回は途中雲に邪魔されましたが、その後はベストシーイングに近い状態がずっと続いたので、1時間半くらいぶっ続けで撮りました。十分なデータがあるので木星の自転のタイムラプスムービーも作るかも。

ちなみにモノクロカメラ、カラーカメラ共にセンサーにゴミが乗ってる部分があってそれを避けるためカメラ切り替えの度に木星の位置をずらさないといけなくて大変でした。その時うっかり木星を写野外に飛ばしてしまって再導入のために一度カラーカメラを外さなくてはならなくなったり。モノクロカメラの方は先日自己流のクリーニングをしたのですが、かえってゴミが増えているという… 翌朝とりあえず定評のあるペンタ棒を注文しましたが、うまくいくかどうか。

*1:タイトルの A は「あっさり」 K は「こってり」で、「あっさり」バージョンに「こってり」バージョンを60%ブレンドという意味です。