Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

IC2177 かもめ星雲 (2022/1/1)

あらためましてあけましてどうもです。元日の夜は去年の積み残しを消化すべくブログ執筆を頑張ろうと思っていたのですが、夕方にベランダに出てみると快晴。まさかと思い SCW を見ると深夜まで雲ひとつない快晴が続きそう。新月期の休日に快晴、という状況をスルーできず正月早々ベランダ天体撮影に勤しみました。

ターゲットは今まで2回撮って2回とも満足できる結果が出せなかった IC2177 かもめ星雲です。


以前は「わし星雲」とも書きましたが、最近は M16 との名前かぶりを避けて海外の Seagull Nebula の訳で「かもめ星雲」と呼ばれることが多いのでそれに合わせます。

今まで無改造のデジカメ(OM-D E-M5)で撃沈してきたのは、ただでさえ Hαの感度が低いのに、かもめ星雲は馬頭星雲などと比べてもかなり淡く、しかも比較的低空で光害の影響を受けやすいため無理に強調処理するといろんなノイズを拾ってダメになってしまうからです。

そこで今回はモノクロ冷却カメラで Hα + LRGB という鉄板の布陣で臨みました。

22:00撮影開始の計画で20:30から準備を始めましたが、構図を追い込んでさあ撮ろうかという段階で巻き付けフードを付け忘れていることに気付いてフードの取り付け、構図の再調整、となって、撮影開始は5分ほど遅れました。

最初に Hα をたっぷり時間をかけて撮り、それから R, L, G, B の順番で撮りました。以前*1 Hαで合わせたピントのまま撮影したところ、B がかなりピンぼけになっていたことがあったのでHαの後は一度Lでピントを合わせ直しました。

構図をずらさずに写野内の星で合わせようとしたのですが、SharpCap のバーティノフマスク支援機能がなかなか反応せず、ゲインを調整して反応しても、数値だけ見て追い込んだつもりが撮って見ると実際にはボケボケで、慌てて再調整という一幕も。ちゃんと回折像を目視で確認しないとダメですね。

RedCat のピントリングはスムースには程遠い出来なので苦労しました。普通に回すと微調整のつもりが「カクッ」て動いてダメなんですよね。うちの個体だけなのかな?両手の手のひらでリングを包み込むように握り込んで、握力で微妙にズラすようにすると微調整できます。

というわけでまたロスタイムがありましたが、なんとかLRGBも予定枚数撮れて1時過ぎに撮影終了。足りないダークだけ撮ってフラットは12月30日のものを流用しました。

結果は…

IC2177 かもめ星雲 (2022/1/2 00:20:19)
IC2177 かもめ星雲 (2022/1/2 00:20:19)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO LRGB Filter & ZWO Ha Filter / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro(Binning 2, Hα:Gain 300 LRGB:Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 Hα: 4分 x 16コマ, L: 2分 x 12コマ, RGB: 2分 x 各8コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

カラーバランスは再考の余地ありですが、とりあえずこれで。これなら撮れたと言っていいのではないでしょうか。RとLにHαをブレンド、というかどちらもHαメインでR,Lを50%加算しています。

星雲のディテール描写はもちろん Hα のおかげです。たっぷり1時間露出をかけた甲斐がありました。冬の天の川の微光星たちもクッキリ写っていて賑やかです。ガイドが終盤を除き絶好調(RMSエラー DEC/RA 共に±1秒以下)だったのが効いていると思います。


しかし「かもめ」の頭、意外とイカつくてかっこいいですよね。仮面ライダーのマスクみたいな… というか、撮影中横位置で見ていたせいで、鳥というよりはなんだかヒーローっぽく見えてしまって。ガッチャマンみたいな?

EAシリーズα 科学忍者隊ガッチャマン FILE(NEKO MOOK) (NEKO MOOK EAシリーズα)
科学忍者隊ガッチャマンのリーダー「大鷲の健
(『EAシリーズα 科学忍者隊ガッチャマン FILE』表紙より)

って、あれ?やっぱりカモメじゃなくてワシのイメージ?

*1:まだ記事を上げていませんが、12月30日の夜の勾玉星雲の撮影です。