Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

PHD2 で QHY5L-IIM の映像が止まる件、解決したかも?

色々積み残し満載ですがこれは忘れないうちに記録しておこうと思って速攻で書きます。

以前 Let's Note に繋いだ QHY5L-IIM からの映像が PHD2 に流れてこないトラブルがあったと書きました。

極軸合わせは PHD2 の Polar drift alignment を使う予定だったのですが、PHD2 がガイドカメラ(QHY5L-IIM)から映像を取得できないトラブルが。結局極軸は極軸望遠鏡でアバウトに合わせて(使い方忘れた)、オートガイドも諦めました。このトラブルでばたばたしていて撮影開始が遅れてしまいました。

(中略)

PHD2 のトラブルですが、後で調査したものの原因がわからず、結局今後は ASI290MM を使うことにしました。ノートパソコンは Panasonic Let's Note CF-SZ6 で、最近天体撮影用に買った中古品です。事前のテストでは問題なかったのですが…

前夜の撮影でも同様のトラブルがあったのですが、ケーブルをつなぎ直したりしているうちに直ったのでケーブルの接触が悪かったのかと思っていたのですが、その状況でも SharpCap では普通にプレビューできるし、同じケーブルでデスクトップPCに繋いだら PHD2 でも問題ありません。

レッツノート本体の Wi-Fi のスイッチを OFF/ON すると復帰して10秒くらい映像が流れてくるのですが、また止まってしまうのも謎です。QHYのドライバーを再インストールしたりインテルのオプションのドライバを更新したり、デスクトップで使っている古いドライバに入れ替えたりと色々試したのですが症状は変わりませんでした。
C/2021 A1 レナード彗星 (2021/12/2)

実際その後は ASI290MM を使うようにしていたのですが、ASI290MM は惑星カメラと兼用で、頻繁に付け外ししているとセンサーにゴミが落ちてクリーニングが面倒ということもあって、なるべくなら QHY5L-IIM を使いたいと思っていました。

QHYCCD miniGuideScope + QHY5L-II-M
QHYCCD miniGuideScope + QHY5L-II-M

で、先日ふと燐さん(id:Rin0724)のブログを見ていると Pole Master がノートPCでまともに動かないという話が出てきました。

紹介動画では、カメラが動作してる時は「動画」で導入及びセッティングが出来る様に見えるのですが凄く読み込みが遅いのです。低スペックPCで動画を再生してる時の様な「カクカク」した動きどころか一度読んだら次の更新まで30秒待ちとかザラ。下手すると1分は待ちます。
Pole Master始めました。 - 自己満万歳

QHYのカメラからの映像が届かなくなるという現象。これ、ひょっとしてうちの QHY5L-IIM の件と同じでは?と思いつつ、続報を待つと、どうも解決法があるそうです。

先日導入したPole Masterがマトモに動作しない点でHIROPON (id:hp2)様からコメント頂いたり、KYOEI大阪さんからも対処方法を頂きました。で、そのKYOEI大阪さんからの話が普通は思いつかない様な話で、「動画プレイヤーを立ち上げて動画を再生しつつPole Masterを使えばいける「かも」しれない」との事。思わず「・・・はぃ?」って聞いてしまいましたよ。
Pole Master一応解決 - 自己満万歳

…はぃ?

KYOEI大阪さんの説明では省電力モードに落ちないために動画を再生するとのことでしたが、USBの省電力関係の設定も切ってるし、燐さんと同様うちでもAC電源に繋いだ状態でも再現するので変な話だなと思ったのですが、なんと燐さんの問題はこれで解決したとのこと。マジか。

コメント欄にて HIROPON さん(id:hp2)曰く、だいぶ前に知られていた裏技だそうで、天文ハウスTOMITAさんが注意喚起の動画を上げていたとのこと。

起動後すぐキャプチャが止まる → マウスカーソルを動かし続けるとキャプチャされる(ダルすぎる) → 横で動画を再生するとキャプチャが正常に継続する → 動画の再生を止めるとまたキャプチャが止まる、という内容。

うーん、にわかには信じがたいのですが、こうして動画で見ると… というわけで、QHY5L-IIM でも試してみました。PC は前回同様 Let's Note CF-SZ6 です。

結果は… マジで直ったぽい。えええ… 上の動画と同様で、動画再生中は PHD2 の露出ループが正常に継続します。動画再生を止めるとまた止まります。

色々試してみたのですが、CPU負荷がある程度連続でかかるなら動画再生じゃなくても効果があるようで、Webブラウザベンチマーク Octane 2.0 JavaScript Benchmark の実行、あるいはブラウザの JavaScript コンソールから JavaScript のビジーループを回しても効きました。

しかしさすがにベンチマークやビジーループではCPU使用率が100%になってしまうので、ある程度間引きしないと、と思って JavaScript の setTimeout() メソッドでCPU使用率を落とそうとしたのですが、これがあまり上手くいきません。どうも間欠的な負荷では効かないようでもっと連続的に負荷がかからないとダメっぽいです。結局一番楽なのは動画か音楽の再生というところに落ち着きそうです。

テスト環境では Windows 標準の Windows Madia Player での動画(mp4)再生、Grooveミュージックでの音楽再生(mp3)共に効果がありました。VLC による mp4, mp3 再生でもOKでした。面白いところでは Intel のグラフィック設定画面にある動画の設定画面(プレビューでドライバ同梱のwmv動画をループ再生しているようです)を開きっぱなしにしても効果がありました。

しかし Pole Master なら極軸合わせ中だけのことですが、オートガイド中に負荷をかけ続けないといけないとなるとバッテリーの減りが大きくなるのは避けられずどうしたものか… と思いましたが、実際に PHD2 で露出ループと同時にGrooveミュージックで mp3 をループ再生して放置したところ、2時間でLバッテリー(70Wh)の減りが10%程度でした。このくらいなら実用上問題なさそうです。

このテスト、最初は露出時間0.01秒でループさせていてCPU使用率は常に20%ぐらいでしたが、後半からより現実的な露出時間2秒の設定にしたところCPU使用率は10%以下に落ちました。なので、実際はもっと減りが遅いと思います。

ということで未解決の問題が一つ解決したようです。燐さん、HIROPON さん、どうもありがとうございました。