11月8日は皆既月食&天王星食でした。天王星食の撮影結果(動画)は前回のエントリに書いた通りですが、
並行して撮っていた皆既月食の撮影結果と撮影記をこちらに。
まず結果から。皆既前の部分食の状態から月食後の満月の状態までを flickr のアルバムにまとめました。いずれもデジカメのワンショットを現像したもので概ね10分毎に撮っています。
いつもは単純に「適正露出」に仕上げていましたが、今回は地球の影に入った側に露出を合わせた写真については現像の際の露出補正で全て同じ露出(ISO400/F5.3/1.3s相当)に合わせたので実際の明るさの変化が反映されているはずです。また、カラーバランスも最後の満月の写真で調整した値に全て合わせました。
構図は天球上の北が上です。普段の月の写真では月の北極が真上になるようにしていますが、今回は天王星との位置関係(= 月の天球上での運動)の表現も兼ねているのでこうしています。
今回の月食では皆既が1時間半近く続いたのですが、その間にも月の明るさが随分変化しているのがわかります。皆既最大の一番暗い月がこちらです。
まさに赤銅色の月です。月の左側に見える青っぽい星は天王星です。PC でご覧の方はクリックして flickr の写真ページに飛んで拡大機能(写真のクリックで2段階まで拡大可能)で見てください。天王星が青緑色で他の恒星とは違う色なのがわかります。
それぞれの写真は連写したものからセレクトしたものです。連射したコマを stack & wavelet 処理で月面のディテールを復元した画像も作成しました。これもアルバムにまとめました。
こちらはカラーバランスは揃えてありますが、露出は撮影時のままです。またスタックすると何故か発色があっさりめになるので彩度を少し上げています。
皆既最大前後の画像がこちらです。
やはりディテールが見えると気持ちいいです。そのかわり天王星や恒星は流れてしまいますが… ワンショットの写真と合成しようかと思いましたが、妥当性のある位置合わせの方法が思いつかなかったのでそのままにしてあります。
今回 UHS-II の高速 SDXC カードを使ってスムースに連写できたのですが、皆既前後の月は連写中に欠け具合が変化するため、AS!3でいつも通りにスタックすると欠け際あたりで継ぎ目破綻が発生してしまいました。
試行錯誤した結果、欠け際の周りから通常サイズ(104にしました)のAPを取り除き、空いた部分に重なるように大きなサイズのAP(200にしました)を置くようにするとうまく行きました。欠け際の変化で明るさが大きく変わる部分は大きい方のAPの端の方に入るようにしてアライメントへの影響を小さくしたわけです。
ちなみに18枚目と19枚目のディテール描写が明らかに悪いのですが、これはピンぼけです… 20枚目の前にピントを合わせ直しました。実は皆既の後半あたりからピント位置がズレています。気温の変化のせいかな?と思ったのですが、天王星食を撮った μ-180C もたいして変わらないタイミングでピントを合わせたのに、そちらは問題なかったので、おそらくフレーミングの修正中にうっかり接眼部を動かしてしまったのだと思います。
今回はスカイメモSに微動装置のないジンバル雲台を取り付けて、そこに鏡筒を載せたので月の赤緯方向の移動による構図のズレを、雲台のクランプを緩めて鏡筒を支えて微調整していたので、その時にドローチューブに触ってしまったようです。微妙なピントのズレを恐れてドローチューブのストッパーを緩くしか締めてなかったのもマズかったかもしれません。
最後にターコイズフリンジについて。ターコイズフリンジというのは皆既月食の皆既の前後に欠け際が青っぽくなる現象です。地球の赤い影になぜ青い縁取りがあるのか不思議ですが、どうも地球の大気のオゾン層の性質が関係するそうです。詳しくは HIROPON (id:hp2)さんの解説をご覧ください。
2018年の皆既月食の撮影の後、初めてターコイズフリンジのことを知り、これが見えるように強調処理した写真を作成しました。
今回も同様に月食終了後の満月で調整したカラーバランスを適用してから彩度を上げてみたものをまとめました。前回より彩度の強調は弱めです。
皆既入り皆既明け共に欠け際が微妙に青っぽい色になっているのがわかります。
というわけで撮影した写真は一通り紹介しました。撮影機材や撮影方法にまつわる話についてはまた後日書きたいと思います。