1月8日未明に自宅からアトラス彗星を撮影しました。大彗星になるかもと期待されつつも、太陽からの離角が小さく、しかも北半球では高度が低くて観測条件が悪いという、落ち着かない状況ですが、日本からだと1月8日から1月10日あたりがラストチャンス。
Twitter では1月7日未明にギリギリ写ったとの報告もあり、横浜は深夜から快晴との予報だったので、早寝して夜中に起きてベランダで撮影準備を始めました。深夜1時過ぎから始めたのですが、結構雲が広がっていました。朝方までには晴れ上がることを祈りつつ準備を勧めます。
尾はそれほど伸びてないだろうし、薄明下では淡い尾は写らないだろうと思って、撮影機材には RedCat 51 と Star Adventurer GTi と ASI294MC Pro を選択。外が寒すぎるので室内からPCとスマホでコントロールできるようにしました。
極めて低い高度が勝負どころになるので、地上の建物や電柱の位置が問題になります。彗星が出てくる方位を確認して、iPhone の方位磁石が指す方向に障害物がない位置に機材を設置したのですが、極軸を合わせてアライメントを取って赤緯を彗星の出の時刻の彗星の座標に合わせて地上が見えるところまで極軸を回していくと、近くの電柱が邪魔になることが判明。
電柱は回避したつもりだったのですが、磁石の方位の誤差から読み違えてしまいました。危険ですが、機材をバラさずに丸ごと平行移動して電柱が写野外になるようにしました。電線はどうしても入ってしまうのですが、三脚の脚を伸ばすぐらいでは調整しきれそうになかったのでこれは諦めました。
結局準備が整ったのは3時過ぎ。高度2度付近の彗星の通り道を写野のセンターに入れて追尾を切って彗星を待ちます。この頃までには低空まで雲ひとつない快晴になり、プレビューでは高度1.5度付近の7等星まで見えていました。
5:40に水星が写野に入ってきたので試し撮り。既に薄明の空がどんどん明るくなっていて、Rチャンネルの露出が飛ばないようにゲインを下げていくと結局ゲイン0でも露出オーバーに。露光時間を変化させていかなくてはならなくなりました。露光時間を一定にしてタイムラプス動画を作るつもりでしたが、諦めました。
水星が通り過ぎ、彗星が写野に入る(ただし地上の木立に隠れて見えない)6:04に撮影開始。6:10あたりから追尾を開始。
6:07あたりでプレビューに彗星の存在を確認しましたが、背景が明るすぎるというか赤すぎて尾が出ているかどうかもよくわかりませんでした。背景が飛ばないように露光時間を調整しながら連続撮影しましたが、朝焼けが強すぎて露光時間が155msになり、彗星の姿がほとんど見えなくなったところで撮影を終了しました。
というわけで結果です。尾が見えてきたのはこのあたりから。
1枚撮りで処理したものです。半分くらいのサイズにクロップしたのでフルサイズ換算で950mmくらいの画角です。
カラーバランスは、とにかく彗星がよく見えるように調整しました。どうするのが正しいのかさっぱりわからないし、プレビューでも PI のオートストレッチでも朝焼けで空が真っ赤でしたが、それだと彗星の形がよく見えなかったので。リアルタイムで露出時間調整するためにPCのモニターに張り付いていたので、眼視ではどんな色だったのかはわかりません…
尾が出ているのははっきりわかりますが、背景が明るすぎてどこまで伸びているのかよくわかりません。
刻一刻と背景が明るくなっていくのでスタックしてもあまり意味がなさそうでしたが、一応スタックしてみました。
薄明のグラデーションの傾斜がキツくなってきたので Lightroom Classic で線形グラデーションフィルターをかけてレベル補正しています。最初の一枚撮りよりは尾が長く伸びている気がしますが、気のせいかも…
やはり尾が伸びているような… 画像上では 200 pixel くらいまで伸びてるように見えます。RedCat 51 と ASI294MC Pro の組み合わせだとピクセルサイズあたりの画角は 3.8028" なので、尾の長さは 200 pixel = 760.56" = 12.676' = 0.211° といったところでしょうか。条件がよければこの何倍かの長さの尾が見えそうですが…
ということで、一応撮れました。明日は太陽との離角がさらに縮まるので条件はさらに悪くなるのですが、明るさは1等近く明るくなるかもしれないので悩ましいところ。可能ならチャレンジしてみようと思います…