Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

『月刊 星ナビ』6月号「ネットよ今夜もありがとう」に載りました!

天リフの先読み記事で既にご存知かもしれませんが、今日発売の『月刊 星ナビ』6月号の「ネットよ今夜もありがとう」に当ブログが掲載されました!

https://rna.sakura.ne.jp/share/hoshinavi-202106-p93.jpg

「ネットよ今夜もありがとう」は『星ナビ』の名物企画で、天文関係の個人や同好会のサイトをリレー形式で紹介していくコーナーです。選ばれた人は自分のサイトの自己紹介文を載せることができ、その際に次に紹介して欲しいサイトを編集さんに指定する、という形でリレーが続きます。

リレーは同時に2本走っていて毎月2つのサイトが紹介されます。2000年12月号(創刊号)から今まで紹介されたサイトの数を数えてみたら486件!サイトの一覧はこちら。

今回は、HIROPONさん(id:hp2) → だいこもんさん(id:snct-astro) という順でバトンが回ってきました。別にはてな民で談合してるわけじゃないですよ!

自己紹介文は250文字程度ということで光害地での撮影という点に絞ってアピールしてみました。ちなみに「アラフィフ」と書きましたが昨年ちょうど50歳になりました。まあ「アラサー」も34歳くらいまで自称してよいらしいので…

このブログを始めた2017年頃は光害地での天体撮影と言えばHIROPONさんが先駆者で、僕も大いに参考にさせていただいたのですが、最近はワンショットナローや赤外撮影などの撮影技法や電子観望の普及で光害地での撮影・観望もずいぶん身近になった印象です。とはいえ首都圏の人口を考えるとまだまだとも言えますね!

まあ、うちは横浜横浜言うてますが SQM 18.7 ぐらいって話からもわかるように横浜の中でも辺境の地ですから若干「盛ってる」部分もなきにしもあらずですが、アウトドアが苦手な人や自宅からでも宇宙を身近に感じたい人の希望になれたらなと思います。

星ナビ』に書ききれなかったことと言えばポタ赤*1 で直焦点撮影というアクロバット的な撮影方法で頑張ってた時期があって、天リフさんから「変態」認定されたこともありました。

惑星撮影用の鏡筒(μ-180C)を載せるために普通の赤道儀(SX2)を買ってからはすっかりやらなくなったのですが、天体撮影趣味の入り口としては今でもアリだと思っています。興味のある方は以下の記事から始まるシリーズを是非どうぞ。

そもそも「Deep Sky Memories」ってブログのタイトルも、なんとかして「Sky Memo」をタイトルに入れたいと思って決めたんですよね。

さて、「ネットよ今夜もありがとう」のお隣のレーンにはシベットさんの「浮気なぼくら」が掲載されていました。僕も天リフ経由でちょくちょく読んでいるブログです。謎の機材やら謎の改造やらが次から次へと繰り出されてきて楽しませてもらっています。あと漫画「天文動物」シリーズも!

なお、リレーのバトンの行方ですが… それは来月のお楽しみということで!

ということで天文誌初掲載!でした。

追記: で、どんな写真撮ってるの?って話ですが、最近年末に書いてる1年間のふりかえり記事を見ると一度に見れて便利です!


*1:星ナビ』的にはコンパクト赤道儀と言うべき?

M64 黒眼銀河 / マルチスターガイドのテスト (2021/5/3)

5月3日の夜は快晴の予報だったので、月が出る1:00前までに M64 と M83 を撮る計画を立てていたのですが、夕方に寝落ちしてしまって出遅れてしまい、結局 M64 だけ撮りました。前回に引き続き赤外域まで使ったノーフィルターのモノクロCMOSカメラでの撮影です。

夕方の薄明の終わる20:15頃から撮影開始の予定が21:40までずれ込んでしまいました。南中高度の高い M64 は途中でベランダの天井に隠れて撮れなくなるのですが、撮影開始が遅れたことで総露出時間2時間の予定が90分で限界に。そこから雲の通過でボツになった分を除いて80分露出(2分×40コマ)になりました。

結果はこちら。

M64 黒眼銀河 (2021/5/3 21:42)
M64 黒眼銀河 (2021/5/3 21:42)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折) / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ZWO ASI290MC + PHD2 2.6.9dev4 による自動ガイド/ ZWO ASI290MM (ゲイン80) / 露出 2分 x 40コマ 総露出時間 80分 / DeepSkyStacker 4.2.2, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic で画像処理

2x Drizzle でスタックしたものを軽く wavelet 処理しています。等倍だと結構ザラザラした仕上がりですが Full-HD 全画面ぐらいなら悪くない仕上がりではないかと。


M64 は2年前にデジカメで撮っていましたが、やはり赤外域まで露光しているせいか暗黒帯のコントラストが落ちる傾向はあります。


銀河周辺部の淡い部分の描写はほぼ同等でしょうか。もう少し写ると思っていたのですが、時折薄雲が出るような透明度の悪い空だったのでコントラストが落ちているせいもあるのかも。とはいえ、センサーの解像度が上がった分暗黒帯の構造が見えてきたのでよしとします。

さて、今回は次期 PHD2 の新機能「マルチスターガイド」を開発版(2.6.9dev4)でテストしました。マルチスターガイドは複数のガイド星を使ったオートガイドで、シンチレーションの影響によるガイドの乱れを抑える効果が期待できます。

脳みそアイコンからガイド設定で Use multiple stars にチェックを入れてガイド星を自動選択させると8個ぐらいの星に丸いマークが付いて選択されます。あとは普通にガイドを開始するだけです。雲の通過などで一部のガイド星が隠れても問題なくガイドが続くようです。

気になるガイド精度ですが、明らかに安定します!ガイドカメラの露出時間は2.5秒ですが、ガイドグラフのギザギザの振れ幅が半分くらいになって、RMSエラーも半分近くまで改善しました。RA/DEC共に±1.0秒以下になることは稀だったのですが、今回は±0.7秒前後に。

今までDECのガイドエラーが気になっていたのですが、極軸が追い込んであればDECはほとんどブレません。DECの蛇行(ハンチング)もゼロではありませんが、振れ幅も小さく、すぐ収束して落ち着く感じです。むしろRAのピリオディックモーションの方が大きくて星像が東西方向に伸びて写ります。これはRAの MinMo を下げて Agr を上げると改善しました。

と言ってもガイドグラフ上だけのことなのでは?とも思ったのですが、撮影したフレームの星像も締まっているように見えます。今まではシンチレーションで揺れた星像に振り回されて余計な修正を行ってかえってガイドが乱れていたのではないかと思われます。

シンチレーションの影響はガイドカメラの露出を長くすることで抑えられるとされていますが、ピリオディックモーションに短周期の成分がある赤道儀だとRAの追尾精度が落ちてしまう可能性があります。マルチスターガイドで短い露出でもシンチレーションの影響を抑えられるならそれに越したことはありません。

ところで、ガイド精度が上がったためなのか、赤外域まで使った撮影法のせいなのか、あるいはその両方なのか、今回撮った写真ではいつもより暗い星まで写っているようです。

写真のこの部分を切り出して、

https://rna.sakura.ne.jp/share/M64-20210503-16bit-stretch-wavelet-3-2-crop-area-800.jpg

17等より暗い星に印を付けてみました(等級はwikisky.org調べ)。

https://rna.sakura.ne.jp/share/M64-20210503-16bit-stretch-wavelet-3-2-cut.jpg

前回の撮影では17等台が限界でしたが、今回は18等台まで写っています。19等は流石に写っていませんでしたが、18.8等までは写っています。

等級は可視光での明るさなので、赤外まで含めて撮るのはある意味チートなのですが、SQM 18.7 ぐらい(Light pollution map 調べ)の光害地でここまで写るとは思っていませんでした。

春の銀河祭りもそろそろ終わりですが、もう少しモノクロで色々撮るか、カラーで撮り足してLRGB合成するか… あるいはオフアキとフラットナーレデューサーともっと大きなCMOSカメラを買って μ-180C で銀河を、というのはさすがに間に合わないかな…

月齢20.6 / 継ぎ目破綻の恐怖 (2021/5/3)

5月3日未明、久しぶりに月を撮りました。連休中ですが家に篭っているだけなの疲れが溜まっていて SX2 をベランダに出す気力もなかったので久々にスカイメモSと BLANCA-80EDT で撮りました。

下弦に近い月齢で、南中までには空が明るくなってしまうので、2:30 頃に撮り始めました。最近の月は南中高度も低く、この時の月の高度は20度弱。シーイングも良くなく薄雲越しでもあり最高の月面など望むべくもない状況ですが、久しぶりなので肩慣らし程度に考えて撮りました。

今回もここ数年やっているデジカメの静音モードで連射したものをスタック & wavelet という撮り方です。2000万画素を数百枚スタックするための画像処理はCPU的にもストレージ的にも負担の重い処理ですが、やるだけの価値はあると思っていたのですが…

最初に出てきたのがこれでした。なんじゃこりゃー!?

AS!3スタック失敗(Surface, AP Size 104)
AS!3スタック失敗(Surface, AP Size 104)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / ケンコー スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II (ISO400, RAW) 露出 1/60s x 125/513コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14 で画像処理(スタック、シャープ化)

月面がギザギザの歯の生えた怪物の顔みたいになっています。もちろん AS!3 のスタック処理の失敗で発生した「継ぎ目破綻」なのですが、ここまでブチ壊れた出力を見たのは初めてです。なんでこんなことに…

拡大するとこう。

AS!3スタック失敗(Surface, AP Size 104) (拡大)
AS!3スタック失敗(Surface, AP Size 104) (拡大)

こわっ!

Image Stabilization は「Surface」にしていました。月や金星のように欠けた天体は、COG (Center Of Gravity)で stabilize すると天体の中心が画像の中心からズレてしまって後でトリミングする時に余裕がなくなることがあるので「Surface」でやっています。

今回は極軸をまともに合わせていない状態で、間欠的に連射しているので(SDカードへの書き込み待ちのため)月が写野中心からズレていくため、途中で月を導入しなおしています。それで月の位置が飛んでいる部分があるため AS!3 の天体のトラッキングに支障が生じたように見えます。

そこで Image Stabilization を「Planet (COG)」にしてやり直したのがこちら。

AS!3スタック失敗(COG, AP Size 104)
AS!3スタック失敗(COG, AP Size 104)

一見して激しい破綻はなくなったのでホッとしていたのですがよく見ると破綻が…

AS!3スタック失敗(COG, AP Size 104) (拡大)
AS!3スタック失敗(COG, AP Size 104) (拡大)

ところどころに縦線の継ぎ目が目立つだけでなく、月の左端の模様が二重化していて位置ズレが補正されないままスタックされているのがわかります。

まあ、AS!3 をもう3年以上使っている僕なので、こういう時は慌てず AP Size を大きくしてスタックしなおします。

AS!3スタック失敗(COG, AP Size 256) (拡大)
AS!3スタック失敗(COG, AP Size 256) (拡大)

ダメじゃん。むしろ二重化が激しくなってるし…

これについてはまだ原因がはっきりしません。薄雲が流れる中で撮っていて像のコントラストが変化しているので AP の追跡がうまくいってないのか、あるいは月の周囲の薄雲が照らされている部分の明るさの変化で画像の重心位置がブレて COG による stablization が上手くいってないのかもしれません。

とりあえず撮影した513コマのうち、月の位置が大きくジャンプする前の372コマだけ取り出し、念の為トリミングして位置が少しジャンプする部分の位置を戻した上でスタックし直すと無事スタック出来ました。それを最後まで仕上げた画像がこちら。

月齢20.6 (2021/5/3 02:36)
月齢20.6 (2021/5/3 02:36)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / ケンコー スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II (ISO400, RAW) 露出 1/60s x 125/372コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2021, WinJUPOS 1.2.0.6, Lightroom Classic で画像処理

まあ、なんとかなりました。解像が悪くて等倍で見ると今ひとつですが…

強い wavelet 処理による偽色の発生を避けるため、Lチャンネルを別処理してからLRGB合成する「疑似LRGB合成」をやっています。WinJUPOS は月の南北を垂直に合わせるためだけに使っています。

シーイングが良くてカリカリにシャープな結果が得られるならこのくらいの苦労は苦にならないのですが、ちょっと今回は疲れました…

今月は皆既月食がありますが、刻一刻と月面の様子が変わる月食では今回のような撮り方ではまともな結果が得られそうにないので、素直にワンショットで撮る予定です。

M8 (干潟星雲) と M20 (三裂星雲) (2021/4/18)

4月18日の深夜、M8 (干潟星雲) と M20 (三裂星雲) のツーショットを撮りました。久々に RedCat 51 出動です。定番の構図ですが、以前は手持ちの鏡筒で適当な画角のものが BLANCA-80EDT + 0.6x レデューサーしかなく、この組み合わせだとフォーサーズの画角でも周辺部の収差が目立って撮れませんでした。それを撮るのが RedCat 51 を買った理由の一つでした。

当日は月没が0:30頃、天文薄明開始が3:30頃で、あまり時間のない中での撮影でした。というか、夕方から寝落ちしてしまい出遅れて撮影開始が2:00過ぎてしまいました。当初は90分かけて多段階露出の予定でしたが、時間がなくて4分露出の16コマで64分露出になりました。

途中雲が出て中断したりで最後のコマは薄明開始にかかってしまいましたが、元々光害カブリの大きい低空からスタートの撮影で、最初のコマよりはずっとマシだったのでそのままコンポジットしちゃいました。

M8, M20, M21 (2021/4/19 02:22)
M8, M20, M21 (2021/4/19 02:22)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II (ISO200, RAW) / 露出 4分 x 16コマ 総露出時間 64分 / DeepSkyStacker 4.2.2, Lightroom Classic で画像処理

光害地で無改造デジカメでここまで撮れれば上等といったところでしょうか。

下のピンク色の大きな星雲が M8 (干潟星雲)、上の青とピンクの小さな花みたいな星雲が M20 (三裂星雲)、その左斜め上の青白い星が少し密になっているのが散開星団の M21 です。M8 の左斜め下の黄色っぽい小さな星の塊(拡大すると粒が見えます)は球状星団の NGC6544 で、左下隅の黄色っぽいモヤのようなものは天の川の一部です。

地球からの距離は近い順に M8 (4077.5光年)、M21 (4240.6光年)、M20 (5219.2光年)、NGC6544 (9786.0光年)です(いずれも Stellarium の表示より)。距離の違いを認識した上で写真を見ると、ちょっとだけ宇宙の奥行きが感じられます。

さて、RedCat 51 で淡い対象を撮るのは2度目ですが、前回は失敗しています。

この時問題になった右辺が白っぽくカブる現象は E-M5 のセンサーの問題だったのか、E-M1 Mark II では今の所出ていません。黄色いカブリについては、上の写真には出ていませんが、実は今回も確認しました。

今回はフラットの撮影で液晶版(iPad)が傾いてしまってフラットにグラデーションができてしまったので、最初はフラット補正なしで仕上げたのですが、この時どうしても中央部に黄色っぽいカブリがうっすら残ってしまい困りました。

その後フラット補正ありで処理したものをフラットのグラデーションに合わせて段階フィルターをかけて無理やり仕上げたのが上の写真です。こちらには黄色いカブリは見られませんでした。

前回はフラット補正してもカブってたのに… と思って調べたら、前回はテスト撮影の際に光害カットフィルターなしで撮ったフラットで補正していました!ということは黄色いカブリはやはりフィルターのせい?

LPS-D1 は対物側から見ると黄色い反射光が出るのでそれが後玉に反射して戻ってきてカブリになっているのでしょうか?BLANCA-80EDT ではそんなことはなかったのですが、RedCat 51 は接眼部近くに対物レンズの後玉が迫る光学設計なので可能性はありそう?でも干渉フィルターの反射光が反射して戻ってきたところで、またフィルターに反射されてしまってほとんど影響ない気もするのですが…

ともあれ、適切なフラット補正で消せる類のもののようなので、今後は安心して撮れそうです。でも周辺減光が少なくてフォーサーズの画角ならフラットなしでも撮れる!と思っていたのでちょっとがっかり。まあ、センサーやフィルター上のゴミの影とかもあってフラットなしで撮り続けるのも厳しいものがあるので元々無理な期待でしたね。

RedCat 51 の有効活用は昨年の「やり残したこと」の一つでしたから、まずは一歩進んだ形です。

まだまだこの鏡筒で撮りたいものはあるので頑張っていこうと思います。

エウロパによるガニメデの掩蔽 (2021/4/6)

4月6日の明け方にエウロパによるガニメデの掩蔽があったので撮影しました。ガリレオ衛星同士の相互食/掩蔽は昨年末から見られるようになり来年春までは頻繁に起こるようです。*1

久しぶりの μ-180C 出動ですが、衛星と木星が無理なくフレームに入るようにバローレンズの拡大率はいつもより抑えめにしました。2倍バローにADCを付けてフリップミラーなしで2.16倍(F25.9, fl=4662mm)です。*2

4:00頃に先に昇ってきた月でピントを合わせたのですが、低空でしかも朝方大気が冷え込んでいるからか、シーイングは相当に悪くピントをあまり追い込めませんでした。土星の輪で追い込もうとするもカッシーニの間隙も全く見えない状況。

これは無理かもと思いつつ勘でピントを合わせて4:10頃に木星を導入してADCの調整。プリズムの開き角を全開にしてなんとか色分散がキャンセルできました。テスト撮影で衛星は一応写りましたが木星の縞模様は極めて曖昧でこれは無理かなと思いつつ4:30から撮影開始。

5分ごとに3000フレーム、露出はゲイン260で1/30秒。大気減光が大きいのでこれでも木星面が飛ばない範囲です。後半は明るくなってきたので1/60秒くらいまで落としています。

プレビュー映像ではエウロパとガニメデは最初は分離して見えていましたが、4:48にはほぼ一つに。またシーイングが徐々に改善するにつれ木星面にイオの影が見えるようになりました。天文年鑑の予報では掩蔽の開始が4:52:24、終了が4:59:42でしたが、5:05ぐらいになってやっと再び分離して見えるようになりました。

画像処理はAS!3でAPは木星に1点のみ。「木星と土星の接近(最接近) (2020/12/21)」の時にAPを増やすと背景に継ぎ目ができてしまう現象があったのでそうしています。

ということで、掩蔽の真ん中あたりに撮った4:55の写真はこうなりました。

エウロパによるガニメデの掩蔽(2021-04-06 04:55:56)
エウロパによるガニメデの掩蔽(2021-04-06 04:55:56)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F25.9), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2, ZWO ASI290MC (Gain 260) / 露出 1/30s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2021, Lightroom Classic で画像処理

画面左上がエウロパとガニメデです。重なって一つに見えています。木星のすぐ左はイオ。イオの影が木星面の左側の赤道あたりに見えています。

連続写真は Flickr のアルバムで見てください。

エウロパによるガニメデの掩蔽(2021-04-06)
エウロパによるガニメデの掩蔽(2021-04-06 04:35-05:30)

位置合わせは木星面とにらめっこして手動で合わせています。

動画も作ってみました。

エウロパによるガニメデの掩蔽(2021-04-06)
エウロパによるガニメデの掩蔽(2021-04-06) (動画)

Flickr の調子が悪いと動画再生でエラーが出るのでその時はリロードしてみてください。

TMPGEnc Mastering Works 5 のスライドショー作成でトランジションクロスフェードを指定したのですが、妙にヌルヌル動いてます。単にフェードイン/アウトするんじゃなくて中割しているのでしょうか?正確なフレームはタイムスタンプ(JST表記)が表示された瞬間のものだけです。あくまで観賞用ということで。

ということで、一応撮れました。シーイングが悪くて解像度的には不満の残る写りでしたが、一応掩蔽の様子はわかるのでよしとします。

ところで薄明がだんだん明るくなる状況で撮った動画を AutoStakkert!3 で処理するとクオリティの評価が機能してないように見えるのですが…

https://rna.sakura.ne.jp/share/as3-20210406-01.jpg

このようにバックグラウンドが明るさでクォリティがほぼ決まってしまうような状況でまともに選別できてないように見えます。これはなんとかならないんですかね…

*1:「食」は二つの天体と太陽の位置関係が一直線になり太陽から見て手前の天体の影に奥の天体が入る現象、「掩蔽」は二つの天体と観測者の位置関係が一直線になり観測者から見て手前の天体が奥の天体を隠す現象を指します。「日食」や「星食」は厳密には掩蔽です。参照:暦Wiki/食、掩蔽、経過 - 国立天文台暦計算室

*2:WinJUPOS で計測した結果がピクセルサイズ 2.9μm で 0.1283"/pixel でした。

しし座4重銀河(NGC3190 + NGC3193 + NGC3187 + NGC3185)、NGC4302 + NGC4298、M83 (2021/3/14)

3月14日の夜は、またベランダで春の銀河祭りを開催しました。夜から強風との予報もありましたが、北からの風なので南向きベランダなら大丈夫かと思って。今回も 8cm F6 屈折 + モノクロCMOSカメラ(ASI290MM) での撮影ですが、前回とは異なり赤外撮影ではなくノーフィルターで赤外と可視光を合わせた波長で撮りました。

というのは、前回のエントリで、赤外(IR Pass 850nm)で撮ると銀河の暗黒帯の写りが悪いという話をしましたが、コメント欄で「もりのせいかつ」の k さんから光害地での銀河撮影ではクリアフィルターを使うよ、と教えてもらったからです。

はじめまして。
銀河の暗黒帯描出の件ですが、岡野邦彦さんが「光害地での銀河はSN確保優先の為、赤外カット無しのクリアフィルターで(但し、甚だしい赤外収差が発生しない光学系である場合)」を実践なさっていましたが、
http://www.asahi-net.or.jp/~rt6k-okn/event.htm
同時に、御著書で「暗黒帯のコントラストが若干薄まる」とも書かれていますので、近赤外フィルターをお使いの場合、この傾向が更に強まるのは必至と思います。
解像への短波長の貢献につきましては、UTOさんも書かれていますので、
http://oozoradigital.web.fc2.com/sakugo/Blue/Blue.htm
その兼ね合いの見極めが必要かもしれません。
私はSQM19程度の場所で撮影しておりますが、銀河はクリアフィルターです。
M60 + NGC4647 + M59 + NGC4638、M83 (2021/2/19)」コメント欄の k さんのコメント

光害はカットしないが光害の少ない赤外も一緒に撮ればSN比は上がる、という発想ですね。

ただし屈折望遠鏡だと赤外のピント位置が可視光とはズレたり収差が残ったりする場合があるので要注意。うちは3枚玉アポですが、果たして大丈夫なのか… と思いつつ、とにかく試してみたくて撮ってみることに。LRGB 撮影をするわけではないのでクリアフィルターではなく単にフィルターなしで撮りました。

ターゲットは、実験としては前回と同じにするべきでしょうが、それじゃつまらないので M83 だけは再撮影することにして、それとは別にしし座4重銀河(NGC3190 + NGC3193 + NGC3187 + NGC3185)と、かみのけ座の NGC4302 + NGC4298 のペアを撮ることにしました。

19:00前から準備して最初のしし座4重銀河を撮り始めたのが20:45、総露出時間2時間で3対象を撮って撤収完了は4:00過ぎということで9時間以上撮り続けていました。途中布団に入って寝落ちしてたりもしてましたが…

露出は Gain 75 で2分。ダイナミックレンジ優先でこのくらいにしました。センサーのDRはこのあたりが最大だし、3分だと背景濃度が50%を越えるので。さすがにノーフィルターだと明るいですね。

ガイドはまあまあ好調でした。RMSエラーは RA, DEC 共に ±1.0" 前後。DEC は一時乱れてガイドグラフ上では ±1.4" くらいになっていましたが、変化は緩やかで2分露出だとあまり影響はない感じでした。風の影響と思われるブレは時々ありましたがほぼ問題なし。

画像処理は最初はスタックして Lightroom で調整しただけで Twitter に上げたりしてたのですが、だいこもんさん(id:snct-astro)のブログ*1 に触発されて wavelet 処理など色々やってみました(後述。でも Pixinsight はまだ敬遠…)。

まずは結果から。横位置で撮りましたが横長の画像はスマホで見た時「映え」ないので正方形にトリミングしたものを貼ります。写真のリンク先から前後を辿ると横長サイズ(オリジナルサイズは4K)の写真もあるのでPCのデスクトップに貼りたい場合はそちらを。

撮影順では最後の対象なのですが赤外との比較が気になるので M83 から。

M83 (2021/3/15 01:10)
M83 (2021/3/15 01:10)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折) / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MC + PHD2 2.6.9 による自動ガイド/ ASI290MM (ゲイン75) / 露出 2分 x 60コマ 総露出時間 2時間 / DeepSkyStacker 4.2.2, Photoshop 2021, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic で画像処理

前回の赤外のやつとは全然違うのですが… もっとも微光星の写りを比べると前回はシーイングもしくはピントにも問題がありそうです。当日は深夜から冷え込んだのでピントがズレたのかも…

今回は途中で一度ピントを再調整しましたが、実際バーティノフマスクの星像をひと目見てわかるくらいにはズレていました。調整後この写真を撮るまでにさらに冷え込んでいたのでまだ改善の余地はあるかも。

暗黒帯の写りは以前デジカメで撮ったものに比べると若干薄い気はしましたが、軽い wavelet 処理で改善しました。総露出時間は前回と同じですが、実際に受光した光量が全然違って低ゲインで撮れたのもあってノイズも比較的少なく、軽い wavelet 処理ならそれぼと荒れずに済みました。

フェイスオン銀河はこのくらいの解像すると楽しいですね。光害カブリで元の写りは淡かったのですが、ダイナミックレンジが良かったからか、画像処理で淡い部分もそこそこ出ています。

次は最初に撮ったしし座4重銀河。

しし座4重銀河(NGC3190, NGC3193, NGC3187, NGC3185) (2021/3/14 20:45)
しし座4重銀河(NGC3190, NGC3193, NGC3187, NGC3185) (2021/3/14 20:45)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折) / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MC + PHD2 2.6.9 による自動ガイド/ ASI290MM (ゲイン75) / 露出 2分 x 60コマ 総露出時間 2時間 / DeepSkyStacker 4.2.2, Photoshop 2021, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic で画像処理

中央の暗黒帯の見える銀河が NGC3190、左上の楕円銀河が NGC3193、右上の両端から腕が出てカギ型になっている棒渦巻銀河が NGC3187、右下の少し離れたところにある楕円形の棒渦巻銀河が NGC3185 です。

10.9等から13.4等と、メシエナンバーのついた銀河と比べるとやや暗い銀河の集まりで、特に13.4等の NGC3187 は両端に直角に曲がって伸びる淡い腕があり、横浜の空でこれは写らないのではと思っていたのですがギリギリ写りました。腕の先端部は写りませんでしたが腕の形の雰囲気は伝わるかな…

ちなみに NGC3190 は Stellarium では NGC3189 と表示されるのですが、NGC3190 の暗黒帯で分割された南西部分を別の銀河と誤認したもののようです。*2

「しし座4重銀河」という名称も Stellarium の表示に出てくるものですが、あまりメジャーな呼び方ではないようです。コンパクト銀河群のカタログのナンバーで HCG44 (Hickson Compact Group 44)と呼ぶのが正式のようです。

最後は NGC4302 と NGC4298 です。

NGC4302, NGC4298 (2021/3/14 23:01)
NGC4302, NGC4298 (2021/3/14 23:01)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折) / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MC + PHD2 2.6.9 による自動ガイド / ASI290MM (ゲイン75) / 露出 2分 x 60コマ 総露出時間 2時間 / DeepSkyStacker 4.2.2, Photoshop 2021, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic で画像処理

左のエッジオン銀河が NGC4302、右の楕円状の渦巻銀河が NGC4298 です。NGC4302 の暗黒帯ははっきり写っていて、暗黒帯の構造もある程度見えています。NGC4298 の渦巻き腕の網目状の暗黒帯の構造はさすがに解像していませんが、モコモコした感じは見えています。

2017年にハッブル宇宙望遠鏡打ち上げ27周年記念に公開された写真がこの銀河のペアで、当時こちらの記事で紹介しました。

ちょうどこの頃 8cm F6 + 0.6x レデューサーとデジカメでこのペアを含む写真を撮っていたので記事にしたのでした。

NGC4302, NGC4298 (2017/3/5 02:13)
NGC4302, NGC4298 (2017/3/5 02:13)
笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー, IDAS LPS-D1 48mm / ケンコー スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.1 による自動ガイド / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO 200), 3分 x 10コマ 総露出時間 30分 / DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理

解像度は今回の写真が断然上ですが、褐色の NGC4302 と白い NGC4298 という色の対比が写っているのはいいですね。やはりこれはカラーで撮りたいところ。もう一夜頑張ってカラーで撮って LRGB 仕上げてみようかな…

画像処理についてですが、だいたいこんな手順で処理しました。

  • DeepSkyStakker の出力を Photoshop で軽くストレッチして 16bit モノクロTIFFで保存(stretch)
  • stretch を StarNet++ 処理した画像を PhotoshopTIFF のバイトオーダーを「IBM PC」に変更して再保存(starless)
    • StarNet++ のTIFFMAC形式で RegiStax 6 で読み込めないため。
  • stretch から starless を減算して星だけ画像作成(star)
  • star をぼかして軽くストレッチして反転して RegiStax 6 用のマスクを作成(wavelet-mask)
  • RegiStax 6 でマスクに wavelet-mask を適用して starless を軽く wavelet 処理(wavelet)
  • wavelet 画像の穴埋め部分のノイズを Photoshop の「コンテンツに応じた塗りつぶし」やガウスぼかしで平滑化(fixed-wavelet)
  • fixed-wavelet をストレッチ、段階フィルターによる傾斜カブリ補正、ノイズ軽減フィルター等で処理したものに、star を加算合成(wavelet+star)
  • wavelet+star を LR で調整して result に

ただし、しし座4重銀河については StarNet++ がうまく星を消してくれなくて、楕円銀河が半分残ったり、銀河の中心付近に目立つブロックノイズが出たりしたので、諦めて「明るさの最小値」でフィルターしたものを減算して作った星マスクで処理しました。

低ノイズの60枚コンポジットとはいえ、強い wavelet 処理ではノイズがバリバリ浮いてくるので、気持ち程度に軽くかけるだけにとどめました。それでもその後の本番ストレッチで見てわかる程度には解像感が上がりました。

というわけで、ノーフィルター(もしくはクリアフィルター)の銀河撮影はいいぞ、でもカラーも撮りたいな… やはりここは LRGB 撮影か?といった感じです。

ASI290MM/MC では感度低くて一晩で両方撮るのは厳しいですね。ていうかまともな冷却CMOS欲しい…

M60 + NGC4647 + M59 + NGC4638、M83 (2021/2/19)

2月19日の夜は春の銀河を撮りました。今回は最近流行り(?)のモノクロCMOSカメラとIRパスフィルターを使って赤外線で撮るテストです。赤外線で撮れば光害も平気、という噂なので、銀河ならモノクロでも楽しめるかなと思って試してみました。ターゲットはおとめ座の銀河 M60 + NGC4647 + M59 + NGC4638 の組と、うみへび座の銀河 M83 です。

カメラは惑星のL画像撮影用の ZWO ASI290MM、IRパスフィルターは2018年に火星のダストストームを透過するために使った850nm以上を通すものを使いました。

というかこれしか手元になかったので… Hαもカットしてしまうしセンサーの感度の低い部分を使うので像がかなり暗くなりますが大丈夫でしょうか…

今まで惑星撮影に使っていた ASI290MM、センサーにゴミの影が乗っていたのをある時期から騙し騙し使っていたのですが、今回は惑星と違ってセンサー全面を使うので昼のうちに一度分解清掃しました。無水アルコールで拭くのが正式のようですが、コロナ禍のせいか薬局にも在庫がなかったので、綿棒とブロワーのみでセンサーとカバーガラスの両面をクリーニング。ゴミはFが明るいと目立たなくなるので、8cm F6 + 2.5xバロー(F15)で青空を撮ってゴミがないことを確認。惑星撮影の時のF40で大丈夫か気になりますが確認はまた後日。

昨夜の天気は快晴。19:30頃から機材の設置。今回は普段ガイドカメラとして使っている ASI290MM を撮像に使うので、ガイドカメラを ASI290MC に入れ替えました。PC に ASI290MM と ASI290MC を同時に接続していると PHD2, SharpCap 共に何故かカメラ名の表示と接続先が入れ替わることがあって混乱しましたが、PHD2 や ShapCap を再起動すると直りました。

PHD2 でプロファイルを作り直してダークライブラリの作成とゲインの調整をしてドリフトアライメント。カラーカメラでのガイドは初めてでしたが、特に問題なく使用できるようです。

その後、月明かりの下ではありますが先日撮った NGC2903 を導入して露出を決めました。

モノクロセンサーの感度をもってしてもやはり IR 860nm パスフィルターを通した像は暗く、総露出時間を倍くらいに伸ばしたいところですが、そうもいかないのでとりあえずゲインを少し上げて(250)、3分露出の40コマ(総露出時間2時間)で撮ることにしました。

月没は24:30頃でしたが、撮れるうちに撮っておこうと23:50頃から撮影開始。ガイドはまあまあ好調で、時折赤緯ガイドが若干乱れましたが、赤経赤緯共にほぼRMSエラーが±1.0秒前後に収まっていました。

53コマ撮りましたが24:08からの45コマから DeepSkyStacker で 89% を選別して40コマを 2x drizzle でスタック。結果はこうなりました。

M60, NGC4647, M59, NGC4638 (2021/2/20 00:08) (IR Pass 850nm)
M60, NGC4647, M59, NGC4638 (2021/2/20 00:08) (IR Pass 850nm)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), IR 850nm パスフィルター / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MC + PHD2 2.6.9 による自動ガイド/ ASI290MM (ゲイン250) / 露出 3分 x 40コマ 総露出時間 2時間 / DeepSkyStacker 4.2.2, Lightroom Classic で画像処理

左が M60 でその右上にくっついてるのが NGC4647、右がM59、中央下が NGC4638 です。地球からの距離は M60 が5700万光年、NGC4647 が6300万光年、M59 と NGC4638 は5000万光年です。*1 銀河のタイプは M60 と M59 は楕円銀河、NGC4647 は渦巻銀河、NGC4638 はレンズ状銀河です。

M60 と NGC4647 は親子銀河のように見えますが M51 に見られるような重力相互作用はないか、あってもわずかのようです。しかし、NGC4647 の渦巻き腕の暗黒帯が写るかと思ったのですがほとんど写っていませんね…

バックグラウンドは暗いものの結構ノイジーで、やはり総露出時間をもっと増やしたいところです。

画像処理する前のスタックのみの画像はこうでした。

M60, NGC4647, M59, NGC4638 (2021/2/20 00:08) (IR Pass 850nm) (no stretch)
M60, NGC4647, M59, NGC4638 (2021/2/20 00:08) (IR Pass 850nm) (no stretch)
撮影データは上に同じ。

光害のカブリが全くないというわけでもないようですが、撮って出しとしては今まで見たことのないレベルで天体が見えています。

2:30からは M83 です。赤緯ガイドが若干揺れ気味でしたがRMSエラー±1.1秒前後で許容範囲。総露出時間2時間で、結果はこうなりました。

M83 (2021/2/20 02:30) (IR Pass 850nm)
M83 (2021/2/20 02:30) (IR Pass 850nm)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), IR 850nm パスフィルター / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MC + PHD2 2.6.9 による自動ガイド/ ASI290MM (ゲイン250) / 露出 3分 x 40コマ 総露出時間 2時間 / DeepSkyStacker 4.2.2, Lightroom Classic で画像処理

M83 は地球からの距離が1500万光年の棒渦巻銀河。大きいのは近いからです。大好きなフェイスオン銀河なのですが、一昨年カラーで撮ったものと比べるとやはり暗黒帯が薄い、というかほとんど消えているような…

外周部の淡い部分の写りは良くなっているのですが、個人的には暗黒帯が薄いと魅力が半減です… うーむ、赤外だとこうなるんですかねぇ?

撮って出しはこうです。

M83 (2021/2/20 02:30) (IR Pass 850nm) (no stretch)
M83 (2021/2/20 02:30) (IR Pass 850nm) (no stretch)
撮影データは上に同じ。

赤外とはいえ、さすがに低空では結構カブリがでています。それでも撮って出しで M83 の腕がはっきり見えるのはさすがといったところでしょうか。

というわけで、赤外(850nm 以上)での撮影をまとめると、

  • 暗い。光害カットフィルター使用時と比べて露出時間は倍くらい欲しいかも。
  • 光害カブリの軽減にはかなり効く。ただし低空ではそれなりにカブる。
  • 銀河の暗黒帯の写りが悪くなる?

といったところでしょうか。

ちなみに、フラットの撮影で有機ELパネルのタブレット端末に白い画像を表示して使ったところ、最大輝度でも露出時間が15秒も必要でした。有機ELパネルは赤外線がほとんど出ていないのでしょうか?

あと、これは赤外撮影とは関係ないですが、DSS でモノクロカメラで撮った FITS を使う時は Raw/FITS DDP Settings で Monochrome 16 bit FIT Files are RAW files created by a DSLR or a color CCD camera のチェックボックスを OFF にしないとデベイヤーされてカラーTIFFが出力されてしまうので注意。

というわけで赤外撮影、今後どうしようかな… もっと低波長まで通すフィルターなら暗黒帯も暗くなってくれるのでしょうか?

*1:いずれも Wikipedia 英語版による。