Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

撮影用PCの新調とテスト撮影 (追記あり)

ベランダ撮影や画像処理用に使ってきたデスクトップPCを3月2日に新しいPCにリプレイスしました。詳しくは日記ブログの方に書きました。

メインのPC(この記事を書いたりしてるPC)は Linux (Ubuntu)環境で、こちらはサブPCという位置付けです。天文用のソフトは Windows 専用のものが多いので撮影や画像処理はもっぱらサブPCでやってきました。

サブPCの CPU とマザーボードは10年近く替えていなかったのですが、さすがに性能が見劣りするようになってきて、Linux 用が実用的に使える PixiInsight については2021年にリプレイスして性能を追い越したメインPCの方で使っていました。

新サブPCが一通り動くようになってから軽くテスト撮影を行いました。USB に接続する機材が正常に動作するかの確認のためです。

が、昼間に接続テストをしていた段階でCMOSカメラを認識しないポートがあるとか、接続しても USB2 で認識されることがあるとか怪しい雲行き。テスト撮影中もカメラとの接続が切れるトラブルも発生し、翌朝以降原因調査に追われていました。

切り分けをしていくうちに以下のことがわかりました。

使えないUSBポートがある

初期不良なのかなんなのかわからないのですが、新しいマザーボード(ASRock B650 Pro RS)のリアパネルのUSBポートのうち2箇所が機器を接続しても Windows が認識してくれない状態でした。

問題のポートは、リアパネルのLANポート下にある2つの USB Type-A (USB3.2 Gen1)のうちの下の方(USB32_3)と、その隣の列にある2つの USB3.2 Gen2 のうち下の Type-C の方(USB32_TC_1)です。どちらも USB キーボードやマウスも認識せず。Type-C の方は電源だけは来ているらしく、iPhone 15 Pro を繋ぐと充電は始まりました。しかし Windows 側は認識せず。

USB3 のポートでは、リアパネルの USB32_2 と USB32_1 とフロント用の USB32_4,5 USB32_TC_2(Type-C)は大丈夫でした。

BIOS(UEFI)設定で全ポートを明示的に Enabled にしても(デフォルトは Auto)症状は変わらず。何か他のポートと排他条件があるのかと思いましたがマニュアルにもネットの情報でもそれらしき話は見当たらず…

BIOS はバージョン 2.00 で、ASRock のサイトには新しいバージョンがいくつかあり、2.02 では「Optimize USB port compatibility.」との記載もあったので、BIOS アップデートを試みましたが、アップデートに失敗BIOS の Instant Flash 機能でアップデートが開始するものの、プログレスバーが0%表示の状態でいきなり再起動してしまいます。再起動と言っても起動はしなくて BIOS 画面も出ません。リセットキーを押すと正常に再起動するのですが、BIOS バージョンは元の 2.00 のまま。

BIOSTPM 関係の設定を切ったりして5回くらい試しましたが全部同じ。いきなり再起動のたびに HDD がカチャン!と鳴るので電源強制切断みたいな状態になっているらしく、機器にダメージが行きそうなので BIOS アップデートは諦めました。

ということでこの件は未解決のままです…

リピーターケーブルの問題

使えない USB ポートのことは棚上げして、使える方の USB32_2 と USB32_1 で動作確認を進めたのですが、こちらもトラブルがありました。

カメラをポートに直結する分には問題なかったのですが、5m のアクティブリピーターケーブル経由でカメラを繋ぐと Windows がカメラを認識しなかったり、認識しても不安定だったり、一度アクティブリピーターケーブルからカメラを抜き差しするとPCを再起動するまでカメラを認識しなくなったり、という様々な症状が…

使用していたリピーターケーブルはサンワサプライの 500-USB046 です。

居室のレイアウトの関係上ベランダまで USB ポートを引き出すために 5m 以上の延長ケーブルが必要なのですが、USB3 の規格上はケーブル長は 3m が上限です。そこでIC内蔵で信号を増幅して減衰を防ぐアクティブリピーターケーブルを使っていました。

信号は増幅できても電力が足りなくなるケースがあるため、このケーブルにはACアダプターをケーブルの機器側端子に繋いで給電する機能もありますが、今まではACアダプターなしでも問題なく使用できていました。

しかし新サブPCではどうも給電しないと安定しないようです。しかもPCが起動してから給電を始めてもダメらしく、一度給電を止めると後から再度給電してもカメラを認識してくれませんでした。

かといって常時給電するわけにもいかないのです。というのは、ACアダプターのケーブルが1.5mしかなく、コンセントが届かないのです。ベランダ撮影時にはテーブルタップで引っ張ってくるのですが、その際は通路や布団の上をAC100Vの線が横切る形になり、常にその状態で生活するのは厳しいです。天体撮影時に電源を接続してからPCを再起動というのも避けたいところ。

ケーブルの相性の問題もあるかもしれないということで、他のケーブルも探しました。この手の製品はあまりないのですが、UGREEN の「USB 延長ケーブル 5m USB3.0 延長 ロング USB リピーターケーブル アクティブ式 信号強化 Micro USB給電ポート付き」という製品を試してみました。

ACアダプターではなくUSB給電ならUSB2の5mのケーブルで給電できるかも、という考えです。

結果は、このケーブルなら問題なくカメラを認識しました!念の為PC側のUSB2ポートから給電するようにしましたが、給電なしでも認識しました。

なおサンワのケーブルの方も色々試した結果使えるようにする方法を見つけました。その方法というのは「ACアダプターのDCコネクタを常にケーブルに挿しておく」です。カメラ使用時には給電が必要ですが(そうしないとカメラを認識しても動作が不安定になる)、使わない時は給電しなくても大丈夫。

つまり、テーブルタップからACアダプターを外してもDCコネクタが挿さっていればカメラは認識されるようです(意味がわからない)。一度でもDCコネクタを抜くと認識しなくなります。こうなると、PC側からリピーターケーブルを抜き差しするか、PCを再起動するしかなくなります。リアパネルにケーブルを繋いで机の下にPCを入れてしまうと前者は無理なので後者になってしまいます。

ということでサンワのリピーターケーブルの方はACアダプターのDCコネクタ挿して、ACアダプターのケーブルとリピーターケーブルを束ねて養生テープを巻き付けて固定して、うっかり外れないようにしておきました。

リピーターケーブルは惑星のL/RGB撮影のために2本必要なのでとりあえずこれでなんとかなります。とはいえ、サンワのケーブルの挙動は怪しすぎるので UGREEN のケーブルをもう一本発注しておきました…

おまけ

テスト撮影で撮ったばら星雲としし座の三つ子銀河を貼っておきます。

ばら星雲 (Hα) (2024/3/3/ 22:44)
ばら星雲 (Hα) (2024/3/3/ 22:44)
高橋 FS-60CBX (D60mm f355mm F5.9 屈折), FC/FSマルチフラットナー1.04×(合成F6.2), ZWO Ha Filter 31mm / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.13 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (46Megapixel, Gain 300, -10℃), SharpCap 4.1.11817.0, 3分 x 5 コマ / PixInsight 1.8.9-2, Lightroom Classic で画像処理

しし座の三つ子銀河 (R) (2024/3/4 0:38)
しし座の三つ子銀河 (R) (2024/3/4 0:38)
高橋 FS-60CBX (D60mm f355mm F5.9 屈折), FC/FSマルチフラットナー1.04×(合成F6.2), ZWO R Filter 31mm / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.13 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (46Megapixel, Gain 300, -10℃), SharpCap 4.1.11817.0, 2分 x 20 コマ / PixInsight 1.8.9-2, Lightroom Classic で画像処理

FC-60CBX での撮影ですが、この鏡筒、テスト撮影ばかりで未だに実戦投入できてません。この春こそ… と思ったら、なんと Star Adventurer GTi が故障してしまいました。赤経方向の操作が不能になり、モーターは回っているものの(音がする)軸が回りません。赤緯方向は問題なし。

3月4日のテスト撮影では問題なかったのに9日のテスト撮影の際にそうなっていました。それまでリュックに保管していただけで壊れるようなことは何もしてないはずなのですが…

シュミットさんに問い合わせてみましたが、修理には保証書が必要とのこと。でも保証書、元箱やらなにやらをいくら探しても見当たらず… 開封時の写真にもそれらしきものが写っていなかったので同梱されていなかったのではないかとも思うのですが、どうしたものか…

追記(2024/3/14): Star Adventurer GTi の故障の件

シュミットさんに保証書見当たらないのだけどと返信したところ、展示品の特価販売なので保証はない、有償修理になるとのこと… マジか。購入時になんか書いてあったかな?うーむ… 修理費用によっては普通に新品買ったほうがマシだったってことになりかねない…

この開封の儀の記事でも書きましたが、届いた時の状態も結構微妙だったんですよね。なぜか電池入ってて電源スイッチ入ったままだったり、本来外さないはずのネジが外れてたり。今後は展示品は少々安くても手を出さない方がいいかなぁ…