Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

NGC4216 と超新星 SN 2024gy (2024/1/22)

1月22日の横浜は午前中悪天候でしたが午後から晴れてきて夜は快晴でした。この機会に月齢的にもうチャンスはないかもと思っていた NGC4216 で発見された超新星 SN 2024gy を撮影しました。

ここ数年毎年超新星を撮っていて、しかも何故か全部板垣公一さんが発見した超新星なのですが、まだ μ-180C では撮ったことがなかったので思い切って μ-180C + フラットナーレデューサーで撮ってみました。2022年5月以来ごぶさただったオフアキシスガイダー(オフアキ)でのオートガイド撮影です。

そういえばこのテスト撮影の前に SN 2022hrs を後で μ-180C で撮りたいと言ってて結局撮れませんでした。今回はある意味そのリベンジです。

前回はモノクロカメラ(ASI294MM Pro)での撮影でしたが、超新星の色にも興味があるので今回は ASI294MC Pro で撮影しました。鏡筒への接続は前回同様です。本フィルターホイールは余計なんですが、オフアキを入れると 48mm の UV/IR Cut Filter を取り付ける場所がなくて… 手持ちのパーツではうまい組み合わせがなく、結局は前回と同じ構成でカメラだけ差し替える形にして、フィルターホイールのLフィルターを使うことにしました。

…と思っていたのですが、後からよく見るとフラットナーレデューサーの2インチ差し込み部分の先端が 48mm フィルターネジになっていました。今試してみたら、ZWO の 48mm Duo-Band Filter を取り付けた状態でも μ-180C の2インチスリーブの奥まで差し込むことができ、普通のフィルターならまず大丈夫そうです。ただし、ここにフィルターを付けるとオフアキに入る光にもフィルターがかかるので、ナローバンドフィルターを使う場合は十分明るいガイド星がみつからなくおそれがあります。

閑話休題

さて、まずは結果から。

NGC4216 + SN 2024gy (2024/1/22 04:05)
NGC4216 + SN 2024gy (2024/1/22 04:05)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), 高橋 Mフラットナーレデューサー (合成F9.8), ZWO L Filter / Vixen SX2, ZWO OAG + ZWO ASI290MM + PHD2 2.6.13 による自動ガイド / ZWO ASI294MC Pro (Gain 300, -10℃), SharpCap 4.0.9538.0, 露出 30秒 x 64コマ + 1分 x 41コマ (総露出時間73分) / PixInsight 1.8.9-1, Photoshop 2024, Lightroom Classic で画像処理

NGC4216 + SN 2024gy (2024/1/22 04:05) (アノテーション付き)
NGC4216 + SN 2024gy (2024/1/22 04:05) (アノテーション付き)
GalaxyAnnotatorアノテーション*1

なかなか迫力のある写りになりました。超新星 SN 2024gy もバッチリ写っています。少し青みがかった色で、光度は他の恒星と比べた感じでは13等台後半ぐらいでしょうか?

HIROPON さんの記事を参考に「すばる画像解析ソフト Makali`i(マカリ)」で測光してみました。

30秒露出のスタック済みリニア画像から ChannelExtraction で G チャンネルだけ取り出し、32bit unsigned int の FITS で保存したものをマカリに読み込ませて [測光 - 開口測光] で測光します。*2

比較対象の星は適当に選びましたが、光度がわからないものや対数曲線の近似から大きく外れるものは外しました。[テキストに出力...] で CSV に保存して、wikisky.org で調べた光度との関係を LibreOffice Calc でグラフにして対数曲線で近似するとこんな感じになりました。

https://rna.sakura.ne.jp/share/SN2024gy-mag-graph.png

なんか近似曲線があまりフィットしませんが… とりあえず計算したところ13.59等となりました。まあだいたい目分量と同じですね。HIROPON さんの1月13日の測定が13.13等なのでもうピークは過ぎたのでしょうか?

ちなみに恒星は18等台まで写っていました。横浜の空では17等くらいが限界だと思っていたのでびっくり。

結果はまあ成功と言っていいと思いますが、せっかく18cmで撮ったのでもう少し解像して欲しいというのが正直なところ…

オフアキシスガイドの精度がもう一つというのが問題でしょうか。RMSエラーが0.6〜1.2秒角ぐらい精度自体はf130mmのガイド鏡と大きく変わりません。やはり SX2 ではガイドの応答性に問題があり、特に赤緯ガイドはハンチングが発生しやすいです。

また、PHD2 のキャリブレーションがなかなかうまくいきませんでした。これだけ焦点距離が長いとキャリブレーション中の追尾誤差が邪魔するのか Backlash Clearing Step が終わらずキャリブレーションがいつまでたっても完了しませんでした。

ガイドカメラの露出時間を上げて2,3回やりなおしたら完了しましたが、キャリブレーション精度が悪いとかなんとか警告が出ていました。

ピントが追い込めていないのでは?というのもあります。最初 SharpCap のFWHM測定でピント合わせしたのですが、その後輝星の光条*3を見ると3本の光条が重なっておらず、どうしたものか悩みましたが、光条を重ねるように調整しました。

調整自体は正解だったようですが目分量での調整になったので、どこまで追い込めたかわかりません。処理した画像を見ると左上の輝星の光条が少しズレているのですが… 星像も伸びているので収差のせいかもしれませんが。やはりデカいバーティノフマスク用意しなきゃダメ?

ともあれ、μ-180C で10等級の銀河がこれだけ写り、13.86等の NGC4222 (画像左上)、12.15等の NGC4206 もそこそこ写るとなると、夢が広がります。春になったら色々撮ってみたいと思います。

*1:GalaxyAnnotator v0.9.1 を使用しましたが、スタイル指定の扱いにバグがみつかって、修正したものを使用しました。修正版は明日リリースします。

*2:PI から FITS 保存の際に Embedded Data の「Properties」のチェックを外さないとマカリが読み込んでくれません。また、デフォルトの 32bit float だと何故か測光がうまくいきません(カウントが0になる)。

*3:3本の副鏡スパイダーによる3本(6方向)の回折像。

Shioli クレーターってここですか? (追記あり)

1月19日深夜、小型月着陸実証機SLIMの月面着陸がありました。僕は主にロケット系 Vtuber 宇推くりあさんのライブ配信で着陸を見守っていました。


www.youtube.com

SLIM の着陸は成功、しかし太陽電池が発電していない状況ということで、着陸後のエクストラミッションの達成は困難な見通しとのこと。2:10の記者会見の時点でバッテリーは数時間しかもたないとのことでしたので、現在既に活動停止しているものと思われます。

着陸地点は月面の朝を迎えたところなので太陽電池のトラブルが着陸時の姿勢の問題であれば2週間の昼の間に太陽の角度が変化することで復活する可能性もあります。

さて、その着陸地点ですが、静かの海と神酒の海の間の未開の入江の西側にキュリッロス*1 とテオフィルスという団子のように連なった大きなクレーターがあり、キュリッロスの内部のテオフィルス寄りの縁の近くにある小さなクレーター「シオリ(Shioli)」付近ということです。

直径270mの小さなクレーターで元々名前がなかったのですが、SLIM の着陸目標地点にちなんで JAXAIAU に名前を提案して認定されました。


SLIMで実証を目指す高精度着陸技術は、月探査の新時代を切り開くことが期待されています。SLIMが、歴史のターニングポイントに挟まれる「栞(しおり)」となるよう願いを込めました。
SLIMの着陸目標地点のクレーターの名称について | 宇宙科学研究所

なるほど、素敵な名前ですね。

…なのですが、「IAUにより制定されたルールでは、「月面上にある小型のクレーターについては、一般的な個人名(ファーストネーム)」とする旨が宣言されています。」との注釈もあり、これは例外的に認められたということなんでしょうか?ていうか、なぜ SHIORI じゃなくて SHIOLI なんでしょうか?

…と思ったら、IAU の公式サイトIAU の公式データを掲載しているアメリカ地質調査所(USGS)のサイトを見たら謎は全て解けました。


Reference [536] - “‘Deadpool 2’ Sets Actress Shioli Kutsuna In A Key Role”: https://deadline.com/2017/06/deadpool-2-shioli-kutsuna-ryan-reynolds-fox-1202111974/
Approval Status Adopted by IAU
Approval Date Aug 12, 2019
Origin Japanese female first name.

Planetary Names

おい。これ、女優の忽那汐里さんの名前じゃねーかよ!オーストラリア生まれの忽那さんの英語名が Shioli Kutsuna だから Shiori じゃなくて Shioli なんですな。

追記: 誤解を招く書き方になっていましたが、このことをもって Shiori クレーターが忽那汐里さんに「由来する」と言うのは語弊がありました。詳しくは記事末の追記を参照してください。

さて、この Shioli クレーターですが、小さすぎて20cmくらいの望遠鏡ではとても写りそうにないのですが、「月世界への招待」の東田守生さんが昨年8月5日の撮影日記に25cm反射(μ-250)で撮った Shioli が掲載されていました。

NASA の月周回衛星 Lunar Reconnaissance Orbiter (LRO)や、JAXA の月周回衛星「かぐや」の撮影画像を見るとクレーターとその周辺が白く輝いているのがわかります。

これだけ輝いていればクレーターの形は解像できなくても日の当たる角度によっては光の点として写るはず、実際25cmで写ったよ、というのが東田さんの報告でした。

僕の望遠鏡は μ-250 の弟分というか末っ子の μ-180C ですが、写るでしょうか?残念ながら昨夜の横浜は曇りで撮影は無理でしたが、過去の画像にそれらしきものが写っていました。2022年3月12日に撮影した月面モザイクのデータです。

キュリッロスとテオフィルスの位置 (2022/3/12 18:26-19:33)
キュリッロスとテオフィルスの位置 (2022/3/12 18:26-19:33)

今回新たに1.5倍 Drizzle で再処理してみました。

キュリッロスとテオフィルス (2022/3/12 18:51)
キュリッロスとテオフィルス (2022/3/12 18:51)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Bin 1, Gain 150, 10℃), SharpCap 4.0.8667.0, 露出 1/250s x 500/1000コマをスタック処理(Drizzle 1.5x) / AutoStakkert!4 4.0.10, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2024, Lightroom Classic

シオリ(Shiori)クレーターはここ ?
シオリ(Shiori)クレーターはここ ?

なんか結構はっきりと写っているのですが… キュリッロス内部に光点として見える他のクレーターも LRO やかぐやの画像と一致するので、おそらくこれが Shioli なんだと思いますが、どうなんでしょう?

追記: Shioli Kutsuna は「由来」とは言えない?

Twitter の方でこんなご指摘が。

うっかりしていましたが、IAU の登録の Origin の方はあくまで「Japanese female first name.」と書かれているので「由来」ではないですね…

月のクレーターだと例えばコペルニクスなら Origin 欄に「Nicholas; Polish astronomer (1473-1543).」と個人を特定する形で書いてあって、一般に「クレーターの名前の由来」と言うならそうなってなくてはなりません。

とはいえ、日本人の名前で「しおり」を英語で Shioli と表記する例は稀、というか忽那汐里さん以外で見たことないですし、普通は Shiori 表記でしょうから、やはりそのあたりは思うところあっての選択と見るのが妥当ですかね、と…

あるいは先に Shiroi ではなく Shioli にしたい理由が何かあって、そのために Shioli Kutsuna を参照した可能性もありますが、その理由が何かと言われると謎ですね。Twitter の方で「謎は全て解けた!」とか言っちゃいましたが、むしろ謎は深まってしまいました…

*1:Cyrillus. 日本語ではキュリロス、キリルス等の表記がありますが、天文年鑑の巻末の月面図の表記を採用しました。

オリオン座、ばら星雲周辺 の再処理

1月9日の夜に Micro-NIKKOR 55mm F2.8 で撮ったオリオン座とばら星雲周辺の写真がフラット撮影の失敗で十分な画像処理ができなかった件の続きです。

あの後フラットに何故格子状の模様が出てしまうのかを調査し、回避方法を見つけてフラットを撮り直して再処理しました。

オリオン座 (2024/1/9 23:25) (再処理)
オリオン座 (2024/1/9 23:25) (再処理)
Micro NIKKOR 55mm F2.8 (開放) + ZWO 2" Duo-Band Filter / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MC Pro (Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.9538.0, 露出: 2分 x 16コマ / PixInsight 1.8.9-1, Lightroom Classic で画像処理

バーナードループの淡い部分をかなり炙り出せるようになりました。ただ、左下隅の赤い部分は他の人の写真を見てもそれらしきものが見当たらないのでたぶん ABE の失敗だと思います。ABE を2度がけ3度がけすると周辺部の背景処理が怪しくなりがちなので…

ばら星雲とその周辺 (2024/1/10 1:00) (再処理)
ばら星雲とその周辺 (2024/1/10 1:00) (再処理)
Micro NIKKOR 55mm F2.8 (開放) + ZWO 2" Duo-Band Filter / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MC Pro (Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.9538.0, 露出: 2分 x 16コマ / PixInsight 1.8.9-1, Lightroom Classic で画像処理

クリスマスツリー星団の周りの赤い星雲がかなりはっきり見えるようになりました。星団の北西方向に広がる暗黒星雲の存在もわかります。四隅の赤いところはやっぱり怪しい気が…

そもそも撮り直したフラットは日中に撮影したのでピントは正確に無限遠を出せていませんし、パーツを一度バラしているのでリングのねじ込み具合とかで微妙に合ってないところもあるのかもしれません。

さて、前回のフラットの何が問題なのかですが、どうも iPad の液晶画面をそのまま光源にしたのがいけなかったようです。画面の上にコピー用紙を1枚敷いて撮影すると格子状の模様が消えました。

前回同様、iPad の画面の上にレンズを立てる形でフラットを撮影し、PixInsight の MLT で強調処理をして格子模様を確認します。MLT のパラメータは Starlet transform の Dyadic のレイヤー 8〜10 を使っています。

iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8) の強調処理
iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8) の強調処理

前回絞りとか間違えたかもと思ってちゃんと絞りが開放なのを確認して撮影しましたが、しっかり格子模様が再現しました。

iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8)
iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8)

格子模様が何に由来するのかわからなかったので、試しにカメラを光軸を軸に少し回転して撮影したところ、格子模様も回転しました。

iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8) (カメラの角度を変えたもの)
iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8) (カメラの角度を変えたもの)

ということは画面のピクセルの配列と何か関係がある?

iPad の画面表示の際のスキャンラインが見えている可能性を考えましたが、前回とはシャッタースピードが異なるのに格子模様のピッチは変わらないように見えますし、そもそも縞模様ならともかく格子模様になるのはわけがわかりません。

ということは、センサーのピクセル配列と液晶のピクセル配列の間で発生するモアレ的な現象なのでしょうか?でもこれだけピンぼけ状態でも?

あるいはセンサーもしくはフィルターから反射した光がさらに液晶画面で反射したものが干渉を起こして… みたいなことも考えましたが、こんな模様になるのかどうかさっぱりわかりません。

とにかく液晶表示をぼかし、かつ、反射光を拡散すればなんとかなるのでは?と思って液晶画面の上に紙を敷いてフラットを撮ると格子模様は消えました。

iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8) (液晶の上に紙を敷いたもの)
iPadを光源としたフラット (Micro-NIKKOR 55mm F2.8) (液晶の上に紙を敷いたもの)

今まで RedCat 51 のフラットとかは同じように撮っていてこんな問題は出なかったのですが、焦点距離の短いカメラレンズだと顕在化するのかもしれません。とりあえずこれでカメラレンズでもまともなフラットが撮れそうです。でも液晶画面じゃなくて EL パネルとかでフラット光源作った方がいいのかなぁ…

バーナードループを撮ってみた (2024/1/9)

1月9日の夜に ZWO Duo-Band Filter でバーナードループを撮ってみました。ZWO Duo-Band Filter は昨年末にうっかり買ってしまったやつです。ワンショットナローは初めてですがどんなもんでしょうか。横浜の空でもバーナードループは撮れるでしょうか?

オリオン座 (2024/1/9 23:25)
オリオン座 (2024/1/9 23:25)
Micro NIKKOR 55mm F2.8 (開放) + ZWO 2" Duo-Band Filter / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MC Pro (Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.9538.0, 露出: 2分 x 16コマ / PixInsight 1.8.9-1, Lightroom Classic で画像処理

撮れました!2018年に光害カットフィルター(IDAS LPS-D1)を使って M78 を撮った時にバーナードループが一部写り込んでいたので写るというのはわかっていたのですが、こうやって全体を撮ってみると気持ちいいものです。

でも本当はもっと撮れたはずで… 実はフラット撮影に失敗してフラットなしでスタックして ABE で頑張って補正したもののムラを取り切れなくてあまり強いストレッチがかけられませんでした。普通にフラット補正したものがこちら。

フラット補正ありで処理した画像(PCC -> ABE -> HT)
フラット補正ありで処理した画像(PCC -> ABE -> HT)

なぜか格子状のカブリが出てしまって ABE でも補正しきれませんでした。カブリさえなければこのくらいストレッチできるんですが…

なんで!?と思って色々調べたところ、どうもフラットが腐っていたようです。最初デベイヤーしたフラットを MLT でレイヤー10個作って上の方をいじってローカルコントラストを上げるとこんなふうになりました。*1

失敗したフラットを MLT で処理してローカルコントラストを強調したもの
失敗したフラットを MLT で処理してローカルコントラストを強調したもの

カブリの形を白黒反転したパターンが出ています。フラットはライトボックスアプリの画面を開いた iPad の上にレンズを立てて撮ったのですが、なんでこんなパターンが出たのか… フィルターに反射した光が iPad の画面に反射して、とかそういう系?でもそれでこんな格子状の模様になるんですかね?

オリオン座を撮った後はついでにばら星雲周辺も撮りました。これもフラットなしで処理しました。

ばら星雲とその周辺 (2024/1/10 1:00)
ばら星雲とその周辺 (2024/1/10 1:00)
Micro NIKKOR 55mm F2.8 (開放) + ZWO 2" Duo-Band Filter / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MC Pro (Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.9538.0, 露出: 2分 x 16コマ / PixInsight 1.8.9-1, Lightroom Classic で画像処理

クリスマスツリー星団も目当てでこの構図なんですが、結構淡いですね… というか、こうして見るとばら星雲や馬頭星雲って相当明るい部類なんですね。デジカメで天体写真を撮り始めた頃は苦労した対象なんですが。

今までカメラレンズによる星野撮影は横浜の空だと光害のカブリのグラデーションがひどくてなかなか厳しいものがありましたが、ワンショットナローだと気軽にカラーで撮れますね。心配だったカラーバランスも PCC をかければそれほど不自然ない仕上がりになりました。

撮影中はプレビューのカラーバランスの関係で赤い星雲があまりよく見えなくて光害カットフィルターに比べてあまりアドバンテージないのでは?と思っていたのですがそうでもなかったです。

輝星のゴーストは赤っぽい星だけ目立ちます。ということはセンサーの保護ガラスで反射した光がフィルターの裏に反射してゴーストになっている?フィルターは ZWO EOS-EFマウントアダプターII の内部に取り付けたのですが、もっといい取り付け方法ないですかね…

*1:単純にストレッチしても周辺減光の方が強烈なのでよくわかりませんでした。

2023年8月18日撮影の太陽の画像について(Linked Wavelets 事故調査委員会報告 第2報)

年末から年明けにかけて Linked Wavelets 事故調査委員会(LW事故調) の調査をやっていました。LW事故調とはなんぞや?という方がほとんどだと思いますが、第1報となるこちらの記事を参照。

要は太陽写真(白色光)で、RegiStax 6 で Linked Wavelets を有効にして処理すると出てくる粒状班のような模様はどうやら画像処理が生み出した偽の模様(アーティファクト)らしいということで調査を行っている組織です。いや、組織というのは嘘で、一人でメンバーは今のところ僕一人ですが…

さて、今回は2023年8月18日撮影の画像を検証していきます。結論から言うとアーティファクトではないが極端な強調処理で妥当性に欠ける」と考えます。

wavelet パラメータ

8月18日撮影の画像は翌日こちらのエントリで公開しました。

この画像で使用した wavelet パラメータ(以下 original と呼びます)はこんな感じです。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/wavelet-params/wavelet-original-settings.png

rwv ファイル: Sun-FSQ-85EDP+2.5x-20230818.rwv

例によって Linked Wavelets は ON です。今見ると一見して Layer 1 の Denose 少ないなーという印象が…

ASI290MM のフラットの特性

8月18日の撮影で使用したカメラは ASI290MM です。第1報とは異なるカメラですのであらためてフラット画像から調査しました。今回はフラットを wavelet 処理すると発生するノイズが何に由来するのかを探るため様々な条件で撮影・スタックしたフラットを比較してみました。

ここで言うフラット画像はフラット補正のために撮影時の状態の光学系で撮った画像ではなく、単に明るさが一様の光をセンサーに当てて撮影した画像という意味です。今回はカメラに Micro-NIKKOR 55mm F2.8 を取り付けて、雲のない空にレンズを向けて、ピント位置は最大マクロにしてピンぼけ状態で撮影しました。

撮影ソフトは SharpCap 4 です。16bit MONO の SER で保存して、AutoStakkert! 3 のマスターフレーム作成機能(Create Master Frame)でアラインメントなしでスタックしました。8月18日の撮影画像と同じコマ数(1000フレーム)をスタックしたものがこちらです。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/SkyFlat/wavelet-none-SkyFlat-ASI290MM-45C-1000frames.png

冷却機構のないカメラなのでセンサー温度は一定ではありませんが、約37℃〜45℃でした。8月18日の太陽撮影時には約46℃〜48℃でしたので少し低めですが、後述するように問題のノイズには温度依存性はあまりなさそうです。

スタックフレーム数との関係

同じ SER から使用フレーム数を変えて作成したマスターフレームのノイズの出方の変化を見てみました。画像は以下のリンク先で確認できます。*1

250コマ〜3000コマまで変化させましたが wavelet original で処理した際のノイズパターンはほとんど変わりません。輝度の低いピクセルと輝度の高いピクセルの位置はほとんど変わらず、中間輝度のピクセルの輝度にわずかにゆらぎがある程度です。

露出時間との関係

スタックフレーム数を1000コマに固定して露光時間を変えたものを比べてみました。

0.5ms〜50ms まで変化させました。輝度がなるべく一定になるように露光時間毎にレンズの絞りを調節しています。50ms では F22 前後まで絞り込んでいるためセンサーの保護ガラスの汚れと思われる影がノイズパターンに重なる形で見えています。

ノイズパターンの違いはスタックフレーム数を変えた場合と同様です。中間輝度のピクセル以外はどれもほとんど同じパターンです。

ゲインとの関係

スタックフレーム数を1000コマ、露光時間を 0.5ms に固定して(ただしゲイン0は 0.5ms では露出不足になったので露光時間を 1.4ms にしています)ゲインを変えたものを比べてみました。

ゲインは0〜400まで変化させました。やはり輝度が一定になるように絞りを調節しています。ノイズパターンはゲインを上げるほどコントラストが上がりますが、パターン自体はほとんど変わりません。やはり中間輝度ピクセル以外はほぼ固定ノイズです。

ただし、ゲイン400だけはパターンに若干変化が見られ、より大きなスケールのパターンが重なっているように見えます。wavelet なし(none)の画像を見ると(x4 に拡大するとよくわかります)、ゲイン200以下では見られない輝度ムラが見えるので、それに由来するものと思われます。

センサー温度との関係/ダークノイズの影響

スタックフレーム数を1000コマ、露光時間を 0.5ms、ゲインを100に固定してセンサー温度の異なるフラットを比べてみました。また、近い温度で作成したダークを減算したものも確認しています。

フラットは自然に温度が上昇する流れで撮ったので温度差は8℃程度ですが、ノイズパターンに顕著な変化は見られません。やはり中間輝度のピクセルの輝度のゆらぎを除けば同じパターンのようです。

リンク先には温度違いの画像の他に、比較用にほぼ同じ条件で撮ったダークを wavelet 処理した「dark 42.1℃ (stretched)」*2 と、ダークに輝度 123/256 のグレー画像を加算してから wavelet 処理した「dark 42.1℃ + 123/256」と、「42.3℃」からダーク減算してから wavelet 処理した「42.3℃ - dark 42.1℃」の3つの画像を追加してあります。

こうして見るとフラット画像のノイズパターンにはダークノイズ(というか、露光時間が非常に短いのでほぼほぼバイアスノイズ)はほとんど寄与していないように見えます。ダークフレームのノイズの輝度は小さく、そのパターンもフラット画像のノイズとほとんど相関していません。

ASI290MM のダークの特性

念のためダークフレームについても露光時間やゲイン毎のノイズの出方を確認してみました。

露光時間については露光時間を伸ばすとザラザラしたノイズが激減します。さらに伸ばすとホットピクセルが目立つようになりますが、本調査が問題にしているようなスケールのノイズは消えています。

ゲインについてはゲイン0と600以外はノイズパターンはあまり変わりません。ゲイン0では100〜400での中間輝度ピクセルの輝度が上がって全体的なザラつきが増える感じです。ゲイン600は中間輝度ピクセルだった部分の輝度や輝度がさらにアップして元のパターンを上書きしている感じになっています。

妥当な wavelet パラメータの探索

フラットを original で処理した際に出るノイズが目立たないような wavelet パラメータを試行錯誤して探索しました。地上風景の画像に適用して不自然にならないかもチェックしました。

探し当てたパラメータがこちら。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/wavelet-params/wavelet-5-settings.png

rwv ファイル: Sun-FSQ-85EDP+2.5x-20230818-5-20231229.rwv

これをフラット(ゲイン100、0.5ms、45℃、1000コマ)に適用した画像がこちら。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/SkyFlat/wavelet-5-20231229-SkyFlat-ASI290MM-45C-1000frames.png

original のパラメータだとこうです。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/SkyFlat/wavelet-original-SkyFlat-ASI290MM-45C-1000frames.png

これを地上風景で比べてみます。

まず wavelet なしの画像。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/Landscape/15_16_24_l5_ap10666-wavelet-none.png

これを AutoStackert! 3 で 1000/3000 コマスタック(Surface モードで AP 自動配置)して、新しいパラメータで処理したものがこちら。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/Landscape/15_16_24_l5_ap10666-wavelet-5.png

original のパラメータで処理したものはこちら。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/Landscape/15_16_24_l5_ap10666-wavelet-original.png

いや、これはひどいですね… しかし、空に出ているノイズは元の太陽の画像のノイズとはスケールが違うように感じます。また、フラット画像と比べるとノイズのザラつきが若干和らいでいる気もします。

妥当な wavelet パラメータでの再処理

3411黒点群、3405黒点群、3404黒点群 (2023/8/18 10:32)(再処理)
3411黒点群、3405黒点群、3404黒点群 (2023/8/18 10:32)(再処理)
高橋 FSQ-85EDP (D85mm f450mm F5.3 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー, バーダープラネタリウム アストロソーラーフィルターフィルム, ZWO UV/IR Cut Filter / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM (Gain 100), SharpCap 4.0.9268.0, 露出 1/2000s x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic で画像処理

3403黒点群、3409黒点群 (2023/8/18 10:33)(再処理)
3403黒点群、3409黒点群 (2023/8/18 10:33)(再処理)
撮影データは同上

3404黒点群、3407黒点群 (2023/8/18 10:36)(再処理)
3404黒点群、3407黒点群 (2023/8/18 10:36)(再処理)
撮影データは同上

こちらの方が自然な仕上がりになっている気がします。黒点の構造も見やすくなっていて、解像が良くなっているようにも感じます。

前回失敗したモザイク撮影データの方ですが、アーティファクトが原因で繋がらないのなら今回はイケるかも?と思って試してみました。が、今回も MS ICE、Photomerge 共にダメでした。試しに手動でモザイク合成してみたのがこちら。

太陽 (2023/8/18 10:37-10:50)
太陽 (2023/8/18 10:37-10:50)
高橋 FSQ-85EDP (D85mm f450mm F5.3 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー, バーダープラネタリウム アストロソーラーフィルターフィルム, ZWO UV/IR Cut Filter / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM (Gain 100), SharpCap 4.0.9268.0, 露出 1/2000s x 1000/3000コマをスタック処理 x 12枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2024, Lightroom Classic で画像処理

2箇所欠けているのはともかくとして、結構継ぎ目が目立ってしまっています。拡大して見るとわかりますが、単に輝度が揃ってないというだけでなく、粒状班に由来すると思われる表面の模様も綺麗に繋がっていないように見えます。やはり模様の変化が速すぎるのでしょうか?

考察1: 粒状班はアーティファクトだったのか?

さて、妥当な処理画像はできたのですが、original の処理で出ていた粒状班様の模様はフラットに浮いてくるようなノイズパターンによるアーティファクトだったのでしょうか?

waveletなし、新しいパラメータで処理したもの、original で処理したもの、フラットを original で処理したもの、の4枚を重ね合わせて2倍に拡大し、アニメーション GIF にしたものを見てみます(2.5秒毎にフレームが切り替わります)。

https://rna.sakura.ne.jp/share/LWAIC-20240108/Sun-20230818/10_33_09_l4_ap880-crop-s-animation.gif

よく見ると original の粒状班様の模様は妥当に処理した画像でも見えている模様と無相関なパターンではなく、元々の模様のパターンとよく相関しているように見えます。一方で original のパターンとフラットのノイズパターンとはノイズのスケールも異なるようで相関していないように見えます。

なので、これは元々疑っていたようなアーティファクトではなく、単なる強調のし過ぎなのではないかと思います。

考察2: フラットのノイズは何に由来するのか?

幸い8月18日の太陽の画像にはフラットを wavelet 処理すると浮いてくるノイズの影響はなかったようですが、フラットには何らかのノイズがあり、強い wavelet 処理で強調されてしまうようです。このノイズは何に由来するのでしょうか?

最初に考えたのがダークノイズまたはバイアスノイズですが、以下の観察結果から考えると、それらのノイズではフラットのノイズパターンは説明できないようです。

  • ダークフレームのノイズパターンはフラットフレームのノイズパターンとほとんど一致しないように見える。
  • フラットフレームに対してダーク減算を行ってもフラットフレームのノイズパターンに大きな変化は見られない(元のパターンの特徴がはっきり残っている)。
  • ダークフレームのノイズは露光時間を伸ばすと激減するが、フラットフレームのノイズは露光時間を伸ばしても減らないしノイズパターンもほとんど変化しない。

では、フラットの光源から届いた光子の数のバラつきによるショットノイズはどうでしょう?しかしこれもなさそうです。なぜならフラットフレームのノイズパターンは何度撮ってもほとんど変わらないからです。このことは、フラットフレームのノイズがセンサー上の位置に対応する何らかの特性に基づくノイズであることを示唆します。

センサー外の光学エレメント(保護ガラス等を含む)のゴミや気泡や透過率のムラ等にしてはノイズの空間周波数が高すぎます。ノイズパターンはほぼ1ピクセル単位で輝度が大きく異なるのです。

となると、これは個々のピクセル毎の何らかの特性に基づくノイズだと考えられます。モノクロCMOSセンサーにはオンチップフィルターはありませんので、考えられそうなのは、ピクセル毎の感度のバラつきぐらいでしょうか?そのような特性について知見がないのでよくわからないのですが、正直言って他に思い当たるものがありません。

ということて、ノイズの由来についてはまだ謎なのですが、少なくともダークノイズ、バイアスノイズ、ショットノイズ、光学系の何か、という線はなさそうで、消去法で考えるとピクセル毎の感度のバラつきなのではないかと思うのですが、他に消去できていない何かがある可能性もあるので、結論できない、というのが現在の状況です。

*1:ノイズでザラザラした画像なので JPEG 圧縮の影響を避けるために PNG 形式の画像を貼ってあります。

*2:stretched というのは RegiStax 6 はピーク輝度の低い画像(ピーク輝度が50%以下?)を読み込むと自動的にストレッチ(おそらくリニアな変換)してしまうからです。何故かストレッチをしないオプションが効きません。ダーク単体の wavelet 処理では都合が良いのでそのままにしてありますが、フラットの輝度に合わせる画像でピーク輝度が足りない場合はクロップエリア外に白い点を描いた画像を処理しています。

2023年の天文活動をふりかえる

あらためまして、あけましておめでとうございます。能登地方や日本海側のみなさん、ご無事でしょうか?石川県に住んでいる親族にしばらく連絡が取れなくなって心配していたのですが、無事が確認できてホッとしたらどっと疲れが出て、本当はこのエントリを元旦の夕方までに上げるつもりだったのですが、寝落ちしてました…

ていうか、あけるとかあけないとか、ずいぶんと地球の(そして太陽の)重力に魂を縛られた物言いですよね。天文家ともあろう者がそんなことでいいのか?いや、どうでもいいですね…

さて、2022年は忙しくてスルーしてしまった1年の振り返りエントリ、今年はちょっと時間もあるのでやってみたいと思います。

スライドショー

まずはスライドショーを。

マウスホイールでグリグリ拡大縮小できるので気になった写真は拡大して見てみてください。拡大に耐えるように原寸の画像をリンクしているので最初は少し画像表示が遅延するかもしれません。

ちなみに太陽の写真については画像処理に問題がある疑惑があり Linked Wavelets 事故調査委員会(LW事故調)の調査が終わっていないため、12月22日撮影分以外はスライドから除外してあります…


2023年ベストショット

昨年の天文活動は比較的低調でコレだ!というのがないのですが、ベスト5を選んでみます。

まずは1月28日未明のZTF彗星。あえて白黒反転バージョンで。

ZDF彗星 (C/2022 E3) (2023/1/28 04:54) (白黒反転)
ZDF彗星 (C/2022 E3) (2023/1/28 04:54) (白黒反転)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折), ZWO LRGB Filter / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (11 Megapixel, Gain 300, -10℃), N.I.N.A 2.1 / LRGB: 30秒 x 20コマ, 総露出時間 40分 / PixInsight 1.8.9-1, Photoshop 2023, Lightroom Classic で画像処理

横浜の空では限界もありましたが、二股に分かれたイオンテイルとアンチテイルとして見えているダストテイル、どちらも初めて見るもので興奮しました。アンチテイルってなんぞ?という話ですが、図にするとこういうことらしいです。

彗星の尾の見え方(アンチテイル)
彗星の尾の見え方(アンチテイル)

天体の位置関係の正確性にやや疑問がありお蔵入りにしていた図ですが、せっかくなので。あくまで模式的なものとして参考にしてください。

ZTF彗星は2時間半連続で撮ったので本当はタイムラプス動画にしようと思っていたのですが、画像処理に苦戦してるうちに仕事が忙しくなったりして放置状態になっています… 今年はなんとかしたいところ。

次は5月24日の超新星 SN 2023ixf です。動画でどうぞ。

M101 and SN2023ixf
M101 and SN2023ixf
[2023-05-24 撮影分]
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折), ZWO LRGB Filter / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (46 Megapixel, -10℃, Gain 150), N.I.N.A 2.1.0.9001, 露出 L:1分 x 30コマ, RGB:各2分 x 10コマ 総露出時間 90分 / PixInsight 1.8.9-1, Photoshop 2023, Lightroom Classic で画像処理

[2017-04-19 撮影分]
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折) / ケンコー スカイメモS, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO 200), 6分 x 15コマ 総露出時間 90分 / PixInsight 1.8.9-1, Lightroom Classic で画像処理

口径5cmの望遠鏡での撮影ですし、空が若干霞んでいましたし、フレーム毎の露出時間もあまりかけなかった(超新星の色を出したくて)ので、銀河の写真としてはもう一つという感じですが、青い超新星がしっかり写って個人的には満足です。同じ夜に色んな人が撮影していてネットで繋がっていたのも楽しい体験でした。

ちなみにこの超新星、まだ見えてるそうです。びっくり。

II型超新星の中には長期間一定の光度を保つものがあるそうですが、こんなに長く続くことがあるんですね。15等台なら横浜からでも写りそうです。光度曲線を見ると今年もまだチャンスはありそうです。

横軸はユリウス日でしょうか。今月には16等台になりそうです。自宅からだと17等前後が限界なので今月いっぱいくらいがラストチャンスでしょうか。

次は7月29日深夜に撮った木星と衛星のタイムラプスです。

木星の自転、ガニメデとイオの公転 (2023/7/30 03:49-04:02)
木星の自転、ガニメデとイオの公転 (2023/7/30 03:49-04:02)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 285), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 325), SharpCap 4.0.9268.0 / 露出 L: 12ms x 1500/3000コマをスタック処理 x5, RGB: 16.7ms x 1500/3000コマをスタック処理 x4 をLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 12.2.5, RegiStax 6.1.0.8, ffmpeg で画像処理

150倍速で動きはゆっくりですし、たった5秒の短い動画なのですが、個人的にはお気に入りです。

次は8月29日に撮った土星と8つの衛星(確定番号Ⅰ〜Ⅷ)です。土星の適正露出で撮ったものと衛星の適正露出で撮ったものを動画にまとめました。

Saturn and Moons (2023-08-29)
Saturn and Moons (2023-08-29)

[土星]
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO ADC 1.25", ZWO L Filter / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (46 Megapixel, Gain 250, 0℃), SharpCap 4.0.9268.0, 露出 1/60s x 250/500コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic で画像処理

[衛星]
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO ADC 1.25", ZWO L Filter / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (46 Megapixel, Gain 250, 0℃), SharpCap 4.0.9268.0, 露出 1/2s x 50/100コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Photoshop 2023, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic で画像処理

前々から撮りたかった写真です。普通に土星を撮っているとヒペリオンとイアペトゥスは写野に入ってこないので、この二つの衛星はこの時初めて撮りました。この写野で撮れる手持ちのカメラがモノクロカメラ(ASI294MM Pro)しかなくてモノクロになってしまいましたが、これはこれで味があると個人的には思っています。

最後は11月1日に撮った木星とイオです。

木星とイオ (2023/11/1 22:35)
木星とイオ (2023/11/1 22:35)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 265), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 325), SharpCap 4.0.9268.0 / 露出 1/60s x 500/1000 コマをスタック処理 x 27 (L:15, RGB:12) をLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.1.4, WinJUPOS 12.2.7, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2024, Lightroom Classic で画像処理 で画像処理

イオの模様が写った!?というのがポイントなんですが、本当にイオの模様なのが正直自信がないです… シミュレーションとよく一致するのでたぶん本物だと思うんですが、違うアングルからの写真でも一致するのを確認するまでは審議中というところでしょうか。

というわけで、超新星以外太陽系天体ばかりになりました。もっと満遍なく選ぼうかとも思ったのですが、自分で見返してアガるというその一点で選んだのでこうなりました。今年も自己満足・自己中心でやっていきたいと思います。

2023年の天体撮影

2021年のふりかえりでは使用機材や撮影時期等を集計していました。

これを2023年についてもやってみました。なお、テスト撮影分に関しては、カメラや鏡筒のテストのための撮影は集計に含めていますが、架台のテスト(ガイド精度等)のための撮影は含めていません。

撮影対象別集計

まずは撮影回数を撮影対象の種類別に集計したチャートを。

一位が散光星雲なんですが、あんまり撮った気がしてません。10月の M42 中心部と12月のばら星雲はテスト撮影ですし、8月のわし星雲もついでで撮った感じなので… 真面目に撮ったのは1月の M42 と8月の三裂星雲ぐらいでしょうか。

実質的には惑星が1位ですが、出撃回数では3夜だけなので正直あまり撮ってませんね… 土星のシーズンは仕事が忙しくて、木星はシーズンが晩秋から冬になってシーイングが期待できなくてあまり気が乗りませんでした。が、今年は異常気象のせいなのか、11月に入ってからも最高に近いシーイングの日があってびっくりしました。

春の銀河祭りも参加できず全体的に低調でしたが、機会が少ない中で満遍なく色々撮っていたとも言えるかも(ものは言いよう)。

使用鏡筒/レンズ別集計

次は、機材関連。まず、使用鏡筒/レンズ別の集計です。

RedCat 51 と M-180C (ミューロン180C)が同率首位。M-180C のうち2回はテスト撮影なので、本番撮影としては RedCat 51 が首位です。

実際いい鏡筒ですが、野外での撮影が現状 RedCat 51 しか使えない中で、天文復帰8年目で撮りたい対象があまり撮ったことのない北天の対象に偏ってきているということもあり、出番が増えているという面はあります。

とはいえ、250mm (フルサイズ換算500mm)では物足りない対象も多く、来年は年末に導入した FS-60CBX に期待です。

いつのまにかタカハシの鏡筒が3本に。「いつかはタカハシ」が「いつでもタカハシ」になりつつあります。

タカハシと言えば M-180C で DSO を撮りたくて2022年に導入したオフアキがテスト撮影以来全然使えていません。これも来年は活用していきたいところです。

使用カメラ別集計

続いて使用カメラ別の集計です。

2022年に導入した ASI294MM Pro が首位。今やメインカメラとなっていますが、2023年は新たに ASI294MC Pro を導入しました。理由は色々ありますが、まとめると、

  • 3色フィルターでカラーを撮るのが露光時間的にも画像処理的にもなかなか辛くて惑星撮影の時みたいにモノクロカメラと対になるカラーカメラを使って LRGB(L+RGB) 撮影したい。
    • 街中撮影では SN 比を上げるにはより長時間露光する必要があるのでカラー撮影にあまり時間を取られたくない。
    • 刻一刻と光害のカブリ具合が変わる都会の空では R/G/B それぞれカブリが異なってしまい画像処理が厳しい。昨年の例だと三裂星雲が厳しくて、ちょっと発色のよいモニターで見ると背景の色ムラがバレバレに…
  • 彗星のように動きの速い対象を3色フィルターで撮るのは難しい。
    • ZTF彗星の撮影は N.I.N.A の自動撮影でなんとか撮れたけど、本当はもっと時間解像度を上げたかった。
    • 流星の動画もデジカメより柔軟に撮れそう。
  • 何故今?という点では、ZWO 製品の値上げ前の駆け込み購入という要素が大きいです…
    • 7%値上げはさすがにキツい。海外のインフレと円安が続くとまだまだ値上げもありうるし…

使用架台別集計

機材系の最後は使用架台別の集計です。

主力はやはり SX2 ですが、昨年は新たに Star Adventurer GTi (SA GTi)を導入して、野外撮影は Sky Memo S を置き換えて全部これになりました。

天文復帰の最初の赤道儀にして当ブログの名前の由来でもある Sky Memo S ですが、冷却CMOSカメラを使うようになって耐荷重的に鏡筒の選択肢が厳しくなったのと、1軸ガイドもそろそろ辛いし、都会の空では自動導入がないと辛い対象も結構あるし…

ということで、前から小型軽量な自動導入付き赤道儀は欲しかったのですが、波動歯車赤道儀は値段があまりに… という事情で SA GTi の導入となりました。そもそも Sky Memo S は Sky-Watcher の Star Adventurer の OEM なので、その上位機種なら愛着もわきやすいかな、という情緒的な理由もあります。実際あちこちに Sky Memo S の面影がありますからね。

今年は SA GTi を使う機会が増えると思います。ある意味 Sky Memo 再び、という。ガイドの調子も軽めの機材なら下手すると SX2 よりいいですしね。ていうか SX2 どうしたものか…

なお、GM100 というのは2022年の皆既月食・天王星食の撮影の際に導入した Neewer のカーボンジンバル雲台です。微動装置はありませんが、フリーストップ経緯台としても使えるので、カメラレンズを使った流星撮影(正確にはそのテストですが)で使いました。K型微動マウントでもよかったのですが、アルカスイスプレートをそのまま使えるのが便利だったので。

撮影場所別集計

次は撮影場所別の集計。

あいかわらずメインは自宅ベランダですが、公園への「近征」も増えています。もっとも撮影対象毎に1カウントしてるので、実際の出撃は2回だけです。先に書いたように SA GTi が調子いいので今年はもっと出撃するかもしれません。

撮影月所別集計

続いて撮影日時にまつわる集計。まず、撮影月別の集計。

12月が圧倒的ですね。昨年は春先から秋まで仕事が忙しく体力温存のために夜は天体撮影を自粛することが多かったです。いい天気なのに撮れなかったりすると精神が病んできますが、12月はその反動ですかね…

撮影時刻別集計

最後に撮影時刻別の集計。基本的に撮影開始の時刻です(木星等は de-rotation 時の基準時刻)。

まあ、普通に夜撮っています。明け方が少ないのは体力的な問題も… 昨年はアストロソーラーフィルターを導入して FSQ-85EDP で太陽を撮れるようになったのですが、今年は休日出勤も結構あったし、そうでなければ休みの日は昼まで寝てるし、ということもあって、あまり回数は撮れませんでした…

2023年の自作ソフト開発

2023年に新たに書いた、またはバージョンアップ等でメンテナンス作業を行った自作ソフトについて見ていきます。

BocchiGRB

アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』(略称:ぼざろ)の主人公が歌う「何億光年」先の「一番星」がガンマ線バースト(GRB)である可能性について検証するために書いたスクリプトです。

Simbad のデータベースにある過去の全ての GRB について、それが仮に1億光年先で発生していたらどれだけ明るいかを計算します。

全く実用性はありませんが、一部のぼざろファンの方が喜んでくれたので良しとします…!

ConstellationLines-Generator

PixInsight の AnnotateImage が描く星座線が気に入らなくて星座線定義ファイルを書き換えるために書いたスクリプトです。

星座線には国際標準のようなものがなく、たとえばかに座だとザリガニだと思ってる文化とカニだと思ってる文化が併存していて、星座線の繋ぎ方も違ってくるのですが、AnnotateImage にはそのあたりをローカライズ、あるいはカスタマイズする機能がありません。

カスタマイズするには AnnotateImage の星座線定義ファイルを無理やり書き換えるしかないのですが、このファイルのフォーマットがかなり煩雑で、直接手で書き換えるのは困難でした。そこで単純な記法で書いた定義ファイルを変換して本来の定義ファイルにマージするスクリプトを書きました。

ていうかこれは AnnotateImage の作者に要望出した方がいいやつかなぁ。

Galaxy Annotator

これは2021年に作った系外銀河専用のアノテーションツールです。ずっとほったらかしでしたが8月にバグ修正版を出しました。

なお、ライブラリの相性関係でエラーが出る環境があることが報告されています。詳細はこちらをご確認ください。

天文関係の自作ソフトは全部フリーソフトとして公開していますが、基本自分用に作ったもので使ってるのは自分だけというのがほとんどです。が、Galaxy Annotator は自分以外にもユーザーがいる数少ない自作ソフトです。僕が把握している範囲だと3人の方が利用しています。

  • だいこもんさん
  • けむけむさん
  • 丹羽雅彦さん

ちなみに丹羽さんには8月に個展を観に行った時に営業をかけました!

自分はというと、今年はあまり銀河を撮れなかったのですが、2回使う機会がありました。

M101 とその周辺 (2023/5/24 22:46) (アノテーション付き)
M101 とその周辺 (2023/5/24 22:46) (アノテーション付き)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折), ZWO LRGB Filter / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (46 Megapixel, -10℃, Gain 150), N.I.N.A 2.1.0.9001, 露出 L:1分 x 30コマ, RGB:各2分 x 10コマ 総露出時間 90分 / PixInsight 1.8.9-1, Photoshop 2023, Lightroom Classic, Galaxy Annotator 0.9 で画像処理

M13 (2023/5/25 1:02) (銀河にアノテーション付き)
M13 (2023/5/25 1:02) (銀河にアノテーション付き)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折), ZWO LRGB Filter / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, 30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.11 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (46 Megapixel, -10℃, Gain 150), N.I.N.A 2.1.0.9001, 露出 L:1分 x 15コマ, R:2分 x 4コマ, G:2分 x 3コマ, B:2分 x 4コマ, 総露出時間 37分 / PixInsight 1.8.9-1, Photoshop 2023, Lightroom Classic, Galaxy Annotator 0.9 で画像処理

M101 はともかく M13 の背景にこれだけ遠方銀河があるというのはびっくりしました。

オプションや引数の多いコマンドラインツールで、PCに詳しい人以外にはかなりとっつきにくいツールなので、もっと簡単に使えるバージョンを開発しようとしてはいるのですが、なかなかまとまった時間がとれず… 今年あたりなんとかしたいとは思っています(弱気)。

SCAS2WinJUPOS

これはちょっと説明しづらいツールなのですが、WinJUPOS の Image Measurement の撮影時刻入力等を効率化するためのツールです。SharpCap 4 と AutoStakkert!3 を使っていることが条件です。こちらで説明しています。

あくまでごく狭い範囲にピンポイントで、ですが、「痒いところに手が届く」ツールなので、そこが痒い!という方は是非。

VirtualSkySlideShow

星図がグリグリ動くスライドショー」ツールです。Webブラウザで動きます。2019年に作ったものですが、時々思い出したようにバージョンアップしています。

今年はスライドのズーム表示に対応しました。


スライドショーの途中で手動で拡大して説明を加えるユースケース用です。自動でズーム&パンする機能はまだありませんが、動画の収録とかには使えるのではないでしょうか。

イベント等での実演に使用するのは、まだスライドのナビゲーション周りでバグがあるようなので非推奨です… そのあたりは v0.4.0 の方が安定していると思います。

ということで

今年もよろしくおねがいします!

VirtualSkySlideShow v0.5.1 (バグ修正) (追記あり)

あけましておめでとうございます。早速ですが昨年12月30日にリリースした VirtualSkySlideShow v0.5.0 に不具合がみつかりましたので修正版をリリースしました。

- 依存ライブラリを含むフルセット

- VSSS 本体のみ

rna.sakura.ne.jp に設置してある v0.5 版(vsss-z.min.js)も v0.5.1 に更新してあります。

ズーム機能マジいいので是非触って欲しいと自画自賛デモ動画を作ろうとしてバグってるのに気付きました。全画面でのズームは開発中に試してた気がしたのですが… 気のせいだったのか他の修正の影響で壊れたのかわからないのですが、問題が出ないように根っこのところから修正しました。

まだスライドのナビゲーションがおかしくなることがある問題があるのですが、こちらはまだ原因が特定できておらず修正できていません。

自分の環境でも再現した、という方がいましたら Issue にコメント、もしくはこの記事のコメント欄でコメントしていただけると助かります。

2024-01-02 追記: ズーム機能のデモ動画をアップしました

ズーム機能の動き、使いみちがわかるようにデモ動画を作りました。

VirtualSkySlideShow v0.5 - ズーム機能の使用例 (月面編)
VirtualSkySlideShow v0.5 - ズーム機能の使用例 (月面編)

VirtualSkySlideShow v0.5 - ズーム機能の使用例 (銀河編)
VirtualSkySlideShow v0.5 - ズーム機能の使用例 (銀河編)

個人的にはすごく気に入っています。ズーム機能単体でツール化してもいいかな?まあ、vanilla-js-wheel-zoom を直接使えばいいという話もありますが、気持ちよく動くように設定するにはちょっとノウハウが必要な場合があります。