前回の続きです。
光害の中で散光星雲のような淡い天体が撮れるのかという懸念があったのですが、昨年5月、カメラレンズで天の川を撮影した際にいて座の散光星雲が識別できる程度には写ることがわかりました。
そんなわけで翌月の6月6日と10日にいつもの望遠鏡でいて座の星雲や星団を撮りました。例によってスカイメモSでノータッチ追尾20秒露出です。
M8 干潟星雲 (2016/6/6 01:31)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
M20 三裂星雲 (2016/6/6 1:38)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
M17 (2016/6/10 23:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
M16 (2016/6/10 23:59)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
撮ることは撮ったよ、という感じでしょうか。三裂星雲が三つに裂けているのが写っていて嬉しかったのですが、そのど真ん中を人工衛星が横切ってしまうという不運…
どれも荒れ気味の画像なのはコンポジットの枚数が足りなくてノイズが多いからです。8枚は使いたいので10枚くらい撮るのですが、この時期はなぜか追尾がブレがちで歩留まりが悪く、撮ったカットの半分くらいしか使えませんでした。
露出もこの倍くらいは欲しい感じですが背景が既に66%ぐらいでこれ以上は画像処理が難しい、というか既に階調があまり残せない状態です。光害カットフィルターがあればなんとかなるんでしょうか。でもこのあたりの街灯やマンションの廊下の明かり、もうほとんどLEDになってるんですよね…
光害カットフィルターは水銀灯やナトリウム灯の輝線スペクトルをカットする仕組みなので白色LEDの連続スペクトルには無力です。それでも(今のところ)ないよりはずっとマシだと後に判明しているので今年は頑張ってみたいです。
その他こんな天体も撮りました。こぎつね座の惑星状星雲「亜鈴状星雲」こと M27 です。
M27 あれい状星雲 (2016/6/11 00:54)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
露出が足りなくて縁の赤いところが曖昧ですが青い色はよく出ていて宝石のようです。それに意外と大きい。メシエ天体の惑星状星雲としては最大とのことですが*1 期待以上でした。
球状星団もいくつか撮りました。
M28 (2016/6/6 01:48)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 800, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
M22 (2016/6/6 01:55)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 800, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
M15 (2016/6/11 01:53)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 800, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2,
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング
球状星団もそれぞれ個性があるのがわかります。M22 でかい。迫力あります。M15 は美形な感じ。M28 は… これはもっと長焦点で狙ってみたいところ。今の機材では無理かな…
球状星団は微光星の粒がノイズに紛れてほしくないので ISO 感度を落として撮っています。追尾が少しブレるだけでも辛くなるので歩留まりも悪くなりがち。
初めて見る天体ばかりで夢中になっていっぱい撮りましたが、限界も見えてきた感じです。限界の中で楽しむか、限界を超えていくのか… などと考えていると天文ショップのサイトで赤道儀を眺める時間が多くなっていくのでした。(つづく)
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