前回の続きです。
8月になると深夜にはアンドロメダ大銀河(M31)が見頃になるのですが、南向きのベランダからは見えません。さんかく座の銀河 M33 ならどうだろうと試しに望遠鏡を向けてみたのですがギリギリでベランダの天井に邪魔されて見えません。
しかし試しに三脚を少し縮めて望遠鏡を端に寄せてみるとギリギリ見えることがわかり、撮ってみました。
なんとか撮れましたが… せっかくの大きなフェイスオン銀河なのに、意外と淡くて渦巻き構造もうっすらとしか見えません。20秒露出の限界でしょうか。
そしてベランダの限界も。トリミングして画像処理でもごまかしているので一見わかりませんが、写野の1/3くらいが迷光らしきカブリでダメになっていました。街灯に照らされたベランダの天井の照り返しが迷光になっているものと思われます。
そこで思い切って望遠鏡を外に持ちだしてみることにしました。初めてなので夜遅くなる前に帰れる21時前に。徒歩なのであまり遠くには行きたくなくて、場所は家の近くの駐車場です。やや寂れているとはいえ商店街の通りに面しているのですが駐車場そのものに明かりがなく建物に囲まれた奥の方はそこそこ暗いという場所です。
そういう場所と時間なので、ターゲットはこの時期この時間に天頂付近に見える天体。はくちょう座のデネブのそばの赤い散光星雲 IC7000 通称「北アメリカ星雲」と、こと座の惑星状星雲で「ドーナツ状星雲」とも呼ばれる M57 です。
この日は風が強く、たびたび露出中に機材が風に煽られて揺れてしまうという悪条件でしたが、せっかく外に出てきたのだからとしつこく撮り続けて、なんとかブレてないカットを必要な数だけ集めることができました。
写りの方は… 北アメリカ星雲は、星雲の形を知っている人ならそれとわかる、程度でしょうか。ただでさえ赤い星雲の光に対する感度の低い無改造カメラで撮っているのに露出時間が全然足りません。光害の影響も大きく無理な強調処理を強いられています。
M57 はなんとか赤と青のリングに見えています。が、なにしろ小さな星雲なので約4倍に拡大(トリミング)してもこの小ささです。せめてレデューサーなしで撮りたいところですが、露出は3倍必要になりますし、追尾精度も倍近く必要になります。ノータッチのスカイメモSでは無理な相談です。
ノータッチ20秒露出でお手軽に色んな天体を撮ってきましたが、限界もはっきりしてきました。北アメリカ星雲がこれなら冬の馬頭星雲やばら星雲も厳しいでしょう。光害カットフィルターも使えません。光害カットフィルターは一般に露出時間が倍必要になり、実質10秒露出が上限になってしまうので。
やはりちゃんとした赤道儀を買うしかないのか?しかし外で撮影するという選択を既にしてしまった身としては外に持ち出すのに苦労しそうな重い赤道儀に対して以前に増して抵抗感が出てきています。
どうしたものかと、あれこれ悩む日々が続きます。(つづく)
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