Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

ISS撮影失敗 (2019/1/14)

1月14日早朝のISS(国際宇宙ステーション)通過の撮影にトライしたのですが失敗しました…

今までISSは 8cm屈折 + 経緯台(手動)でフルサイズ換算2000mm弱(f=960mm)の望遠で撮っていました。


今回は μ-180C の直焦でフルサイズ換算4000mm超えでの撮影を、SX2赤道儀(というか STAR BOOK TEN)の自動追尾で撮ろうとしていました。カメラは E-M5 です。CMOSカメラでの撮影はさすがに写野が狭すぎて高速で移動する ISS の導入は無理だろうと思って諦めました。

STAR BOOK TEN で人工天体を追尾するには軌道要素の登録が必要です。またシステム時計は秒単位で正確に合わせて起きます。

軌道要素は Heavens-Above から取得しました。トップの「観測地点の変更」で観測地点を設定して、「ISS国際宇宙ステーション)」「軌道」とリンクを辿ると下の方に2行軌道要素(TLE)が表示されるのでそれを入力します。

STAR BOOK TEN の人工衛星の軌道要素入力画面
STAR BOOK TEN の人工衛星の軌道要素入力画面

TLEの読み方は「きどうようそのひみつ」等を参照。もっともそのあたりの知識がなくても、STAR BOOK TEN の入力画面は入力項目がTLEのどの部分を入力するかわかるようなUIになっているので、画面をよく見て入力すれば間違うことはないはずです。

時計の設定と軌道要素の入力を前日の夕方に済ませておいて、夜の3時頃からベランダに機材を設置。極軸を追い込んでも意味はなさそうなので架台の設定は「極軸を合わせていない赤道儀」に設定してスピカとアークトゥルスとレグルスの3点でアライメントを取ってから、ISS通過地点から近い明るい星ということでデネボラ*1 を導入してピントを合わせて待機しました。

18cm用のバーティノフマスクなんて持っていないので拡大ライブビューでピントを合わせたのですが、さすがにこの焦点距離ではシンチレーションによる星像の揺れがすごくてなかなかピントを追い込めません。8cm屈折とはわけが違います。デネボラの南の8.4等星である程度追い込みましたがあまり自信が持てませんでした。

ISS が地球の影から出るのは5時14分30秒頃でしたが、その1分半前の5時13分に自動導入をスタート。どうやらこれが間違いでした。

1分半前には ISS はもうしし座の近くまで来ているだろうと思っていたのですが、実際にはまだ北西の低い空を飛んでいました。そのため赤道儀は telescope-west から telescope-east に反転して大きく動き、そして導入が終わらないうちにISSが天頂を超え南東に抜けたせいか赤道儀はまた反転。全然間に合いません。

しかしこの時点では何が起こっているのか見当がつかず、途中で望遠鏡が下を向いてしまったことから軌道要素の入力ミスで変なところを追尾しているのだと思って導入を途中で停止しました。ダメ元でクランプフリーにして手動導入を試みましたが無茶な話で結局何も撮れないまま ISS を見送りました…

後で STAR BOOK TEN 単体で軌道要素の入力内容を確認しましたが間違いは見つかりませんでした。システム時刻をずらして自動追尾を再現したところ星図画面に予報通りの軌道でISSが表示されたので軌道要素には問題はなかったということになります。

しかし自動導入中に鏡筒が地面の方を向いてしまうことってあるんでしょうか?反転反転のコンボになったせい?

結局 ISS がかみのけ座に入る5時14分30秒に自動導入を開始すれば問題なかったように思います。たぶん最高通過点は逃してしまいますが。いや、そもそも500倍速の導入でISSの速度に間に合うのかな?もっと軌道の近くで待機しないとだめかも?

ググってみると赤道儀は使っても手動追尾もしくは待ち伏せ撮影する人ばかりで自動追尾で撮った記録が見つかりませんでした。撮った人がいる、という話ならあるのですが。あと、トライしたけど忘れ物して撮れなかったとか… 僕も追尾以前の段階で失敗してるので人のこと言えませんが…

もう一度トライしてみようとは思いますが、今月はいい感じの通過がないようで、もっと先の話になりそうです。

*1:しし座の尻尾の星。