3月25日の朝方、Twitter で前日深夜のログを見ていたところ HIROPON さん(id:hp2)が気絶していたのを見て僕も気絶してしまいました。
おっと… https://t.co/prjBmJSbeA pic.twitter.com/85BVgEuzcq
— 🌻ナょωレよ″丶)ょぅすレナ🌻 (@rna) March 24, 2023
シュミットで「CP+展示機セール」なるものをやっていたせいです。ECサイトが媒介する伝染性気絶症候群ですね。恐ろしい。
もうタイトルでネタバレしてますが、気絶している間に購入したのは Sky-Watcher の小型赤道儀 Star Adventurer GTi です。
僕は基本自宅マンションのベランダでしか撮影しないひきこもり天文家なんですが、ベランダは南向きでマンションの廊下側は写野がかなり制限されてしまうので、北天や天頂付近を通る天体を撮る時はビクセン規格アリガタ付きに改造したスカイメモSを近所の公園などに持ち出していました。
元々最初に買った赤道儀がこれで、過積載気味ながら 8cm 屈折(BLANCA-80EDT)とオートガイダーを載せて直焦撮影までやってました。
https://rna.hatenablog.com/entry/20170302/1488466500
しかしメイン鏡筒を FSQ-85EDP に更新して1kgのウエイトではバランスしなくなり、耐荷重的にも危険な域に入ってしまったので、新しく小型軽量で徒歩で持ち歩ける赤道儀を探していたところでした。
ポータブル赤道儀だと SWAT シリーズが魅力的ですが、1軸の赤道儀では追尾精度に限界があること、横浜の空だと近くに明るい星がなくて手動導入が難しい天体があり自動導入機能が欲しいことから、ハーモニックドライブ(またはその互換品)赤道儀を検討していたのですが、お値段が… でもイマイチ調子の悪い SX2 も置き換えられるならそれでも… と思いつつやはり二の足を踏んでいました。
昨年発売された ZWO AM5 赤道儀はハーモニックドライブ系赤道儀としては価格破壊と言っていいものでしたが、重量がやや重いのが気になります。カウンターウエイト不要でトータルでは十分軽いと言えばそうなのですが、追尾中に姿勢が変わって機材全体の重心が動いてバランスが崩れると追尾が不安定になったり最悪転倒したりのリスクもあり、比較的小さく軽い三脚を使うポータブル用途での使用では不安があります。
そんな中、今年1月に発売されたのがこの Star Adventurer GTi です。値段は10万円以下、搭載可能重量は5kgで2.5kgのカウンターウエイトが付いています。どことなく今まで使っていたスカイメモSで見覚えのあるフォルムのパーツが随所に見られるこの赤道儀ですが、実はスカイメモSは Sky-Watcher のOEM品で、海外で販売している自社製品としての名前は Star Adventurer でした。つまり実質スカイメモSの強化版です。
スカイメモSに愛着がある僕としては*1 その血筋を汲む赤道儀というのは気分的にアガるものがあり、購入を検討したのですが、子午線越えの追尾に制限があり、いわゆる「イナバウアー」の姿勢が物理的に取れない構造になっているのが気になり迷っていました。子午線反転に苦手意識があるので…*2
が、シュミットのセールで現品限りで1万6千円くらい安いのを見て気絶してしまった、というわけです… 品物は当日中に発送され、受け取ったのはこちらの都合で3日後になりましたが、天気の悪い日が続いて開封が伸び伸びになっていましたが、3月31日に開封、試運転を行いました。
さて、前置きが長くなりましたが開封してみます。
まずこれが入っていました。サイトロンジャパン作成の日本語版の取扱説明書です。これは助かります。
中には段ボール箱が二つあり、一つは赤道儀本体、もう一つはカウンターウエイトが入っていました。赤道儀本体の方の段ボールの中身がこれです。
ウエイトシャフトと紙で包まれたシャフト用のロックナットが入っています。
赤道儀本体は緩衝材のパルプモールドの型に入っています。極軸の高度が水平の状態に合わせた型なので高度調整後はそのままでは元箱には入りません。保管や持ち運びには別のケースを用意した方がよさそうです。
箱から取り出すとこうなります。
説明書では方位角調整ネジと極軸望遠鏡カバーがバラで入っていることになっていましたが、どちらも取り付けられた形で入っていました。写真では極軸望遠鏡カバーは外してあります。ちなみにこのカバー、スカイメモS のものと同じっぽいです。
さて、説明書の最初の方をざっと読んで組み立てます。その前に電池って入ってるんだっけ?と思って確認したところ、入ってました!
説明書の付属品一覧には電池は入ってなかったのでラッキー!とりあえず電源入れてみよう!と思ったら、何か変です。電源スイッチが既に ON になってる?うっかり触ってた?でも電源ランプは点灯してないし… ここで上の写真④をもう一度見てください。おわかりいただけただろうか…
どうも最初から ON になっていたようです。ひょっとして ON/OFF 表示が逆とか?と思って OFF にしてみましたが電源は入りません。確認すると8本の電池はほぼ空になってました。また、後述の通り外部電源を繋ぐとスイッチ ON で正常に動作したので、やはり ON のまま発送されて電池を使い果たしていたようです… まあ、展示機だし、そういうこともある… よね?
気を取り直してベランダで組み立て。スカイメモS や K型微動マウント を載せるのに使っているマンフロットの三脚 055XDB に載せました。三脚のセンターポールから出ている3/8インチネジに固定しましたが、極軸の向きと三脚の脚の位置が揃わずズレてしまいました。
三脚セットのエクステンションピラーにはテーパーリングをネジで押さえる仕組みがあって赤道儀を水平回転できるのでそれで位置を揃えるのだと思いますが、今回は赤道儀単体で買ったのでエクステンションピラーは別売りです。
が、シュミットや協栄の通販サイトを見てもそれらしきものが売っていません。AZ-GTi 用のものを買えばいいのでしょうか?そのあたりは後日調達することにして、今回は軽めの鏡筒 RedCat 51 で試運転することにします。ズレは角度にして20度くらいなのでこの程度なら大丈夫でしょう…
あとは組み立てと言ってもウエイトシャフトとウエイトの取り付けだけですが、ここで問題発生。シャフトの赤道儀側のネジのところにロックナットを取り付けてから赤道儀に取り付けるのですが、ロックナットが取り付けられません。というか、そこに何か別の部品が付いているような… いつの間に?うっかり何かネジ込んだりしたっけ?
ここで上の写真③を見てください。おわかりいただけただろうか…
最初から黒いネジの付いた部品が付いてます。マニュアルを見てもそんな部品はなくて、シャフトからは直接削り出したネジが出ています。とりあえず謎の黒い部品外してシャフトにロックナットをねじ込んでみたものの、今度は赤道儀本体の方のネジ穴と合いません。
というか、このネジ穴って黒い部品と同じ大きさでは… と思って黒い部品をねじ込むとぴったり合います。が、黒い部品のネジの溝には接着剤か何かが塗ってあったようで手でねじ込むのは限界があり、よく見るとカニ目レンチ用の穴があいていたのでカニ目レンチでねじ込みました。以前 ZWO の CMOS カメラ用のリングで外せなくなったのがあったので買ったものですが、買っててよかった…
ということで、どうも展示後撤収の際にウエイトシャフトを外す時に手違いで赤道儀本体の部品ごと外してしまったようです。まあ、展示機だし、そういうこともある… よね?
ということでなんとか組み立てました。
RedCat 51 と ASI294MM Pro + EWF mini + miniGuideScope でウエイトはこの位置でバランスしました。これだと FSQ-85EDP だとバランス厳しいか?ウエイトシャフト径は20mmでビクセンのウエイトが取り付け可能でした。足りないならビクセンのウエイトを追加してみようと思います。
電源ですが、ASI294MM Pro 用に以前買ったシガーソケット用の12V電源ケーブルを使いました。
プラグは外径5.5mm/内径2.1mmセンタープラスです。ACアダプターは SX2 用のシガーソケット出力の12V (協栄の SX2 セットに付属していたもの)です。ちなみに SX2 用の電源ケーブルはプラグが合わないので使えませんでした。
というわけでこの後実写テストを行ったのですが、それについてはまた改めて。
ちなみにこの赤道儀、実は CP+ 会場では HIROPON さんが気絶して買った FRA300 pro が載っていた機体らしいです。
あ、ウチのFRA300 proとセットだったヤツだ(笑) pic.twitter.com/HUGUVbO9Ps
— HIROPON (@hiropon_hp2) March 31, 2023
ひえー、そんなことってあるんですね!HIROPON さんが買った FRA300 pro についてはこちらをどうぞ。