DSO (Deep-Sky Objects)と呼ばれる天体のうち散光星雲、惑星状星雲、散開星団、球状星団、といった天体は通常数百〜数万光年の距離にあり、同じ天の川銀河の中にある天体です。そして他の銀河の中にもそういった星雲・星団があり、その銀河の住人の目を楽しませているに違いありません。
そんなよその銀河の中の天体を僕らも一緒に見て楽しむことができるでしょうか?先日撮ったさんかく座の銀河 M33 は、アンドロメダ銀河 M31 と並んで天の川銀河に近い銀河ですが(約270万光年)このくらい近いと銀河の中にある DSO が地球からでも見えたりします。
先日の M33 の写真から M33 の中にある星雲・星団を探してみました。小さな望遠鏡で撮ったぼんやりとした写真ですが、それでも拡大してみると銀河内の DSO がいくつか確認できました。*1
無改造のデジカメなので赤い星雲の写りが悪いのですが、それでも明るいものはピンク色の斑点として写っています。
左上の少し広がったピンク色の斑点(中央部が露出オーバー気味ですが)は散光星雲 NGC604 です。ちっぽけなようですが M33 の直径が約6万光年ですから、これはかなり大きな星雲です。というか、知られている限りで最大級の大きさで、オリオン座の大星雲 M42 の約50倍もの大きさだそうです。*2
きっと M33 北部(?)の星では○○大星雲みたいな名前がついて天体写真の定番のターゲットとして天文誌の表紙を飾ったりしてるんでしょうね。
写真の中央、M33 の中心部から少し右上にある小さなピンク色の斑点も散光星雲で NGC595 です。これもかなりでかい星雲です。この写真だと色で星雲と識別できるのはここまでで、あとはぼんやりとしか確認できませんが、NGC/IC に含まれるものについては一応印をつけておきました。
その他、一部は NGC/IC 天体とも重なりますが、Aいくつ、という形で番号が降られている星団(stellar association)があります。stellar association はゆるい星の集まりで、散開星団が時間と共にばらけていったものだそうです。*3 たくさんあるので印はつけませんでしたが、上の写真でぶつぶつしたちぎれ雲のように見えるのがそれです。でもノイズなのか星の粒なのかわかりづらいですね…
最後に球状星団が一つ見えています。写真左下の C39 というのがそれです。M33 では最も明るい球状星団だそうです。*4 と言っても光度は15.9等ですし、小さくて恒星にしか見えません。すばる望遠鏡の撮った高解像度画像*5 で見ても見分けがつきませんでした。どうやってこれが球状星団だとわかったんでしょうね…
そんなわけで、銀河外から失礼して M33 の中の DSO をのぞき見してみました。あちらからもこちらの M42 や M8 なんかが見えているのでしょうか。
*1:STARKEEPER.it の M33 Triangulum Galaxy - HII Regions, Star Clouds, Clusters and Stars と、Sky & Telescope December 2004 の記事 Digging Deep in M33 を参考にマッピングしました。
*2:Triple Treasure in Triangulum's Pinwheel - Sky & Telescope
*3:Stellar kinematics - Wikipedia
*4:Triple Treasure in Triangulum's Pinwheel - Sky & Telescope