Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

μ-180C ファーストライト (2018/6/21)

6月21日は曇り。この日は体調がすぐれず自宅で休んでいたのですが、夕方ベランダに出ると雲が切れ初めていて薄雲越しに月が顔を出していました。早速機材を組み立ててミューロン180C(μ-180C)のファーストライトにトライしました。

実はその4日前、17日の夕方に初めて μ-180C をベランダに出したのですが、夜は曇って天体は見られませんでした。この時は狭いベランダ(奥行き94cm)で鏡筒を振り回せるか、28cmある惑星撮影システムB+を取り付けても大丈夫か等を確認しました。

IMG_7928a

μ-180C は筒先に補正板がないので重心がかなり後ろの方にあり、赤緯軸でバランスをとると接眼部はあまり後ろに出っ張りませんでした。8cm F6屈折の時よりもましなくらいです。後方に飛び出た惑星撮影システムが窓にぶつかるのではないかという心配は杞憂でした。カメラの後ろを通行することも可能でした。

ホームポジションからの導入時に北を向いた筒先が窓にぶつかったり、接眼部のダイアゴナルやアイピースが手すりにぶつかったり、というのも心配していたのですが、それも大丈夫でした。惑星撮影システムはさすがに長過ぎて手すりにぶつかるので導入後に取り付けることになります。子午線越えは要注意です。

日が沈む前に数km先の鉄塔を撮ってみたのですが陽炎がひどくピント合わせも困難で評価は保留。夜は一面に雲が広がり星が見えず撤収したのですが、最後に三脚を片付ける段になって空を見上げると木星が… でも5分ほどで雲に隠れてしまいました。

というわけで17日は光学系のテストがほとんどできなかったのですが、21日は曇り空ながら思いの外晴れ間に恵まれました。

まず薄雲越しでしたがシステムB+で月を撮りました。いつ月が雲に覆われるかわからずあわてていたし、他に星も見えなかったので光軸のチェックはしていません。タカハシの出荷時の検査を信用してそのまま撮りました。

アルプス谷 (2018/6/21 19:45)
アルプス谷 (2018/6/21 19:45)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), William Optics 3枚玉1.6倍バロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Lightroom Classic CC で画像処理

アルプス谷をここまで大きく拡大して見たのは初めてでした。薄雲越しということもあってやや甘い写りです。雲が流れる中でのピント合わせで SharpCap のフォーカシング支援ツールもあまり役に立たず目視で合わせたので若干ピントが甘かったかもしれません。それでも最初の撮影でここまで写れば上等でしょうか。

主鏡移動式のフォーカシングですが、合焦ハンドルの回転は想像以上にスムースで、微妙なピント合わせでもほぼ不自由を感じませんでした。ミラーシフトはありますが、視野が少し揺れる程度で、対象が逃げていってピント合わせが困難になるほどではありませんでした。

そうこうしているうちに雲の切れ間から木星が見えているのに気付いてあわてて導入。ファインダーの中心に木星を導入するとバロー+24mmアイピース(約194倍)の視野内に見えていました。導入で苦労するのではないかと思っていましたが杞憂でした。ファインダーは出荷時に調整済みで17日にチェックした時は十分な精度だったのでそのまま使っています。

モニターを見るとタイミングのよいことに、大赤斑が見えています。雲が流れてくる前にと急いで撮影。あわてていたのでピントは月面で合わせたままで、シャッタースピードはいつも通り1/60s、F値が暗いのでゲインはいつもより多めに、自転の影響を避けるため約1分間(3000フレーム)の動画を撮影しました。

木星 (2018/6/21 19:54)
木星 (2018/6/21 19:54)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), William Optics 3枚玉1.6倍バロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

像が十分大きいので Drizzle なしです。モニターではわからなかったのですが、木星の端にイオの影が写っていました。8cm の写りよりははるかに良いのですが、いまいち甘い気がして、ピントをもう少し追い込んでさらに撮影。途中薄雲に邪魔されたりしながら4セット撮ってベストがこれです。

木星 (2018/6/21 20:22)
木星 (2018/6/21 20:22)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), William Optics 3枚玉1.6倍バロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

北赤道縞(NEB)のうねりがかなりクッキリ見えてきました。大赤斑の内部の濃淡も見えています。18cmの相場がまだよくわからないのですがなかなかの写りなのでは?

そうこうしているうちに雲が広がってきたので撤収かと思ったら、GPV では深夜2時頃に晴れ間がくる予報。とりあえず自動導入で鏡筒を土星に向けて待機していると、21時半頃から雲が晴れてきて土星が見えるようになりました。

何度も雲に邪魔されながら9本撮ってベストがこれです。

土星 (2018/6/21 22:48)
土星 (2018/6/21 22:48)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), William Optics 3枚玉1.6倍バロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/30s x 2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

カッシーニの間隙はギリギリ全周見えていると言ってよいでしょうか。エンケの間隙もうっすら見えているような?

土星は暗いので1/30sで撮るためにゲインを383まで上げています。これだと1000コマスタックではノイズが目立つので5000コマ撮って2000コマスタックしています。

そうこうしているうちに火星が見えてきました。まだ高度が低いのですが、あまり夜ふかしもできないので撮ってみました。火星は今大規模なダストストームで地表がほとんど見えなくなっているとのことですがどうでしょうか。

火星 (2018/6/21 23:47)
火星 (2018/6/21 23:47)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), William Optics 3枚玉1.6倍バロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

ずいぶんのっぺりしてしまいました。北西部にうっすら見えているのは大チルシスでしょうか?以前見えていた白い南極冠がほとんど見えません…

このあと撤収する前に眼視で土星と火星を見ました。270倍と2.5倍バローを使って675倍でも見てみましたが、CMOSカメラのプレビューほどにはよく見えません。土星カッシーニの間隙がかろうじて見えました。火星の方はダストストームのせいもあってただの赤い円盤でした。

見え味がもう一つなのはアイピースが安物(セレストロン8-24mmズーム)だからですかね?アイピースも買わなきゃいけないのかなぁ… でも最初に月を導入した時に見た月面は結構良かったので今度はゆっくり見てみたいです。