Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

ウィルタネン彗星を止めてみた

また調子が悪くて引きこもっていたので昨年の写真の再処理などをしていました。昨年12月13日に撮った 46P ウィルタネン彗星です。


彗星核基準コンポジットで処理して満足していたのですが、やはり恒星が流れるのは観賞用としては残念な感じがあるので、恒星基準コンポジットと合成して彗星も恒星も止まった絵にしてみようと頑張ってみました。

撮影後にやろうかと思っていたのですが、というか DeepSkyStacker(DSS) の Stars + Comet Stacking は試したのですが、恒星も彗星もブレたような画像になってしまいボツに。天文リフレクションズでやっていた方法も検討したのですが手作業のレタッチが気に入らなくて却下。しかし先日 id:snct-astro さんのところの岩本彗星の写真を見て真似してみることにしたのです。

そういえば岩本彗星撮れませんでしたねぇ… と、それは置いといて。要はσ-κクリッピングで作った恒星だけ、彗星だけの画像を別々に処理してから合成すればノイズもごまかせるよ、という話。

なのですが、そのままだとうまくいかなかったので以下のようにしてみました。

  • σ-κクリッピングで恒星基準スタックした画像を仕上げる (1)
    • 彗星の跡が残るが無理に消さない。
  • σ-κクリッピングで彗星核基準スタックした画像を仕上げる (2)
    • 筋状のノイズが目立たないようにノイズリダクションを強めにかける。
    • まだ目立つのでガウスぼかしをかけた。
    • 恒星の跡は残らないようにレベル補正等。
  • (1) の画像を Photoshop で「明るさの中間値」フィルターをかけた画像を用意する (3)
    • 彗星の跡だけの画像になる。
  • 撮影時間の中間あたりのコマの画像を用意する (4)
  • (4) を (1) に恒星が重なるように位置合わせ。
  • (2) を (4) に彗星が重なるように位置合わせ。
  • (1) から (3) を減算した画像に (2) を比較明で合成する。

(1) の画像は彗星の跡がどうしても目立ってしまいました。彗星核は消えるのですが大きく広がったコマの光は複数のフレーム間で重なり合うのでσ-κクリッピングでもくっきりと残ってしまいます。

そこにそのまま (2) を合成しても不自然になってしまったので「明るさの中間値」で「彗星の跡マスク」を作って対処したというわけです。そういえば天リフさんも連載3の写真で「マスク使用」とあるので同じようなことをしたのかな?

というわけで結果はこちら。

46P ウィルタネン彗星 (2018/12/13 23:41:30 彗星基準コンポジット+恒星基準コンポジット)

笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 0.6倍レデューサー (合成F3.6) / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1分 x 32コマを彗星核基準でコンポジットしたものと恒星基準でコンポジットしたものを合成 総露出時間 32分 / DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 800mm 相当にトリミング

やっぱり止まってる方がいいですね。