Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

M63 ひまわり銀河、M51 子持ち銀河 (2024/5/4)

5月4日の夜に久々に近所の公園にでかけて天体撮影をしました。天気は快晴。その前日の5月3日も快晴だったのですが、年に一回の飲み会があって撮影は断念。翌日はかなりだるかったのですが、フラフラしながら昼から少しずつ準備を進めて21時過ぎに意を決して出撃。公園に出撃するのは昨年の12月以来です。

今回のターゲットは M63 ひまわり銀河。今回初めて撮る対象です。鏡筒は昨年末に購入して以来テスト撮影ばかりで未だに実戦投入できていなかったタカハシ FS-60CBX です。

実はこの鏡筒、M63 目当てで購入したと言っても過言ではなく、StarAdventurer GTi の積載能力と追尾精度で運用できそうな焦点距離400mm前後でカメラとオートガイダーを含めた一式で3kg前後の軽量な鏡筒ということで選んだものです。

撮影自体は概ね順調に進みましたが、最初に少し躓きました。子午線越えの鏡筒反転は色々面倒なので子午線越え後から撮るつもりだったのですが、撮影準備ができた22時過ぎには M63 がまだ子午線を越えておらず、自動導入しようとすると telescope-east にセットしていた鏡筒を反転させようとするのです。

SynScan Pro に何か設定があったのではと探してみましたがそれらしきものが見つかりません。仕方なく近くの M94 をまず自動導入した後、SynScan Pro の座標表示を見ながら手動で導入しました。SharpCap 4 で撮影したのですが、プレビューを少し強調表示にするとすぐに銀河らしい姿がみつかりました。が…

思ったよりだいぶ小さく見えます。ひまわり銀河の名の由来の特徴のつぶつぶな腕も見えません。周囲の星の並びから間違いなくこれが M63 なのですが、意外と淡い対象のようで、プレビューでは明るい中心部しか見えないようです。

これは光害地では無理なやつ?フィルターは UV/IR カットにしたけど LPS-D1 にした方が良かったのかな… などと思いつつも、ここまできたらもう撮るしかないです。

幸いガイドは概ね好調、風も弱くてほぼ問題なく撮影は進みました。ASI294MC Pro で1コマ2分、総露出時間2時間を目指しました。数え間違いで2時間に少し足りなかったのですが… 淡い部分をかなり強調する必要がありそうなので、縮緬ノイズ対策として5コマ毎に PHD2 の手動ガイドツールからディザをかけました。

本当はギリギリまで M63 を撮り続けるつもりだったのですが、それで M63 のリザルトが残念なものになったら凹む一方で辛いので、急遽撮影対象を追加。もっと明るくて撮りやすそうな M51 を残りの時間で撮影しました。

M51 はプレビューでもはっきり渦巻きが視認できました。M63 と M51、等級は8.6等と8.1等で明るさは1.6倍、表面輝度は13.39等/分と12.77等/分で明るさは1.8倍と、結構差があります。

結果はこうなりました。まず M63 から。

M63 (2024/5/4 22:43)
M63 (2024/5/4 22:43)
高橋 FS-60CBX (D60mm f355mm F5.9 屈折), FC/FSマルチフラットナー1.04×(合成F6.2), ZWO IR-Cut Filter 48mm / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.13 による自動ガイド / ZWO ASI294MC Pro (Gain 200, -10℃), SharpCap 4.1.11824.0, 2分 x 57 コマ / PixInsight 1.8.9-2, Lightroom Classic で画像処理

出ました!ひまわり感!下の方の大きな暗黒帯もうっすら写っています。

2x Drizzle をかけてクロップしてフルサイズ換算の焦点距離は約1270mm、画素数は約1370万画素相当です。さすがにノイジーですが、プレビューで見えていた大きさの3倍くらいに写っています。等倍で見るとこんな感じです。

M63 (2024/5/4 22:43) (等倍クロップ)
M63 (2024/5/4 22:43) (等倍クロップ)
撮影データは上に同じ。

M51 はこうなりました。

M51 (2024/5/5 00:52)
M51 (2024/5/5 00:52)
高橋 FS-60CBX (D60mm f355mm F5.9 屈折), FC/FSマルチフラットナー1.04×(合成F6.2), ZWO IR-Cut Filter 48mm / Sky-Watcher Star Adventurer GTi, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 2.6.13 による自動ガイド / ZWO ASI294MC Pro (Gain 200, -10℃), SharpCap 4.1.11824.0, 2分 x 40 コマ / PixInsight 1.8.9-2, Lightroom Classic で画像処理

渦巻きの細かな構造も子銀河の NGC5195 の周りの淡い部分もそこそこ写っています。西に傾いてからの撮影で光害カブリの影響が強く出ているのかコントラストがもう一つですが、口径6cmでここまで写るんですね。

M51 (2024/5/5 00:52) (等倍クロップ)
M51 (2024/5/5 00:52) (等倍クロップ)
撮影データは上に同じ。

M51 は7年前に BLANCA-80EDT と OM-D E-M5 で撮っています。

8cmでも6cmとあまり変わらない?画像処理が未熟な時期の処理画像なので今処理するともっと綺麗になるかもしれません。

というわけで6cm屈折でどこまで撮れるか心配でしたが、そこそこ撮れました。あとは ASI294MM Pro で L と Ha を撮って仕上げたいところですが、次はいつ撮れるかなぁ…