早朝目が覚めてコンビニに出かけたら空は快晴。前の晩に撮影すればよかったか、などと言っても後の祭りなのですが、そういえばなんかデカい黒点出てたよなと思い、リモートワークなのをいいことに始業前に太陽を撮影しました。それがこれ。
えっ、こわっ。なにこれ。
太陽の南半球に出ていた3664黒点群と3668黒点群が重なり合って巨大な黒点を形成していました。なんというか、禍々しい…
これだけデカいならひょっとして、と、2012年の金環日食の時に買ったビクセンの日食グラス越しに肉眼で観察してみると、見えました。写真のようにクッキリは見えませんが、ぼやっとですが明らかにそこに何かある、という感じ。黒点群2つ分ですが、いわゆる肉眼黒点ってことでいいんでしょうか?
繰り返しになりますが、肉眼で見る場合も専用の機材、すなわち日食グラスとして販売されている専用のメガネが必要です。そのへんの黒い下敷きなどは絶対にダメです。一見真っ黒でも赤外線が十分に遮断できないので目が焼けます。
追記: 3668黒点群どこいった?
宇宙天気ニュース 2024/ 5/10 15:10 の黒点番号付き写真を見ると3668黒点群の記載がなくて3664黒点群だけ記載されています。合体したとみなされて3664の方に吸収合併されちゃったんでしょうか?
こういうときのルールがググってもみつけられなくて、ChatGPT 3.5 に聞いてみたら合体したら新しい番号振られるって回答してきたんですが、なんか嘘っぽいんですよね。一周して戻ってきたら新しい番号振るというのはありますが。
実際どうなんでしょう?
追記(2024/5/12): 3668黒点群は衰退しました…
3668黒点群の件、はてなブックマークで id:mutinomuti さんが教えてくれました(ありがとうございます)。
情報通信研究機構宇宙天気予報センターの5月10日21:00のレポートによると、3668黒点群は9日に「衰退しました」とのことです。
5日に、活動領域3668と3669が新たに出現しました。
(中略)
9日に、活動領域3672が太陽面の東端から新たに回り込んで来ました。
また、活動領域3671が新たに出現し、活動領域3668が衰退しました。
【今週の宇宙天気情報(2024年05月10日 21時00分JST)】
2024/5/8 15:31 の宇宙天気ニュースの動画でクワガタの顎みたいな形に浮かんできた黒点は3668黒点群が発達したものだと思っていたのですが、どうもこれは3664黒点群が発達してできたものだったようです。
SDO衛星の動画データの 20240503_1024_HMIIF.mp4 から 20240510_1024_HMIIF.mp4 までを通しで見るとクワガタの顎の左上の双極性の黒点群が3668黒点群で、5日から7日の間に発達したもののようです。
ただ、その後衰退したというよりは、3664黒点群のクワガタの顎の先から伸びていく領域展開(?)に飲み込まれていって一体化したようにも見えますね…
ともあれ、10日時点の巨大黒点は全体として3664黒点群ということで間違いないようですので、記事や写真のタイトルは修正しました。
追記(2024/5/12 12:57): 何がヤバいの?
はてなブックマークのコメントで「何がヤバいのか書いてない」という話がありましたので、とりあえずこれを。太陽表面の位置に地球を置いてみるとどうなるか、という比較画像です。
と言っても、そもそも黒点の大きさの相場感がないと普通に比べてヤバいのかどうか判断つかないですよね…
普通の黒点は地球1個分より小さいくらいで、地球1個分〜数個分の大きさがあるとちょっとデカいなって感じです。このブログの「太陽」カテゴリーの記事一覧を見るとそのくらいのサイズの黒点の写真が並んでいます。*2
これが地球10個分ぐらいになり、肉眼でも見えるデカさとなるとかなりレアです。ここまでのものは自分が見た中だと10年ぶりで2014年10月の2192黒点群以来です。以下のエントリの2枚目に当時の写真が貼ってあります。
黒点がデカいということはその部分での太陽の活動が活発であることを意味し*3 そこで発生する爆発現象も大規模になりがちで、大規模な太陽面での爆発現象(太陽フレア、コロナ質量放出)は地球にも影響を及ぼします。何がどんな影響を及ぼすのかというのは宇宙物理学者でオーロラの研究をしている片岡龍峰さんのツイートの図がわかりやすいです。
さきほどのX5フレアに伴う太陽プロトン現象のせいで、この図の3つのブランチの全てが心配という全く困った宇宙天気イベントになってきました pic.twitter.com/w8viHHsV6C
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
こんな感じでいかがでしょう?普段このブログは基本同好の士(アマチュア天文家)向けに書いていて、ついでで通りすがりの人にもちょっとアピールするぐらいの温度感なんですが、この騒ぎでこのエントリに限り一般の方のアクセスが増えているようなので追記で説明させていただきました。