Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

太陽、3190黒点群 (2023/1/20)

1月20日はリモートワークの昼休み中にベランダで太陽を撮りました。久しぶりにデカい黒点が出たというのは聞いていたのですが、天気や体調の関係でなかなか撮れず、昨日やっと撮れました。

FSQ-85EDP の方は太陽撮影用のフィルターを取り付ける方法がまだ用意できてなくて、久々に BLANCA-80EDT を引っ張り出してきて ASI294MM Pro と ASI290MM で撮りました。

【注意!】 太陽の観察・撮影には専用の機材が必要です。専用の機材があっても些細なミスや不注意が失明や火災などの重大な事故につながる危険性があります。未経験の方は専門家の指導の元で観察・撮影してください。

太陽 (2023/1/20 12:23)
太陽 (2023/1/20 12:23)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成 f994mm), Kenko PRO ND-100000 77mm, ZWO LRGB Filter (R) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (46 Megapixel, Gain 150, 15℃), 4.0.9268, 露出 1/2000s x 1000/2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 12.1.2, Photoshop 2023, Lightroom Classic で画像処理

黒点がいっぱい見えていますが、一際目立つ中心付近の大きな黒点は3190黒点群です。肉眼黒点じゃないかと言われていたので日食メガネで確認しましたが見えるような見えないような… という感じでした。

黒点番号付きの画像はこちら。

太陽 (2023/1/20 12:23) (黒点番号付き)
太陽 (2023/1/20 12:23) (黒点番号付き)

3190黒点群のクローズアップがこちら。*1

3190黒点群と3194黒点群 (2023/1/20 12:40)
3190黒点群と3194黒点群 (2023/1/20 12:40)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成 f994mm), Kenko PRO ND-100000 77mm, ZWO LRGB Filter (R) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (46 Megapixel, Gain 150, 15℃), 4.0.9268, 露出 1/2000s x 1000/2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2023, Lightroom Classic で画像処理

右下のつぶつぶしてるのは3194黒点群です。しかし3190黒点群、デカいですね。どのくらい大きいか、地球の大きさと比べてみました。

3190黒点群と地球の大きさの比較
3190黒点群と地球の大きさの比較

真ん中の黒い部分に地球が2つくらい入るでしょうか。ちなみに地球の大きさの計算は面倒なので Stellarium で観測地を太陽にして地球の視直径を表示してそこから計算しました。

このあと ASI290MM でも撮影しました。バローレンズを2.5倍にしてクローズアップのつもりでしたが、付属のノーズピースをそのまま挿すと倍率が出ていないのと*2 ピクセルサイズが 46Megapixel モードの ASI294MM Pro より大きい(約1.25倍)ので、ピクセル等倍ではむしろ小さく写っていました…

3198, 3197, 3196 黒点群 (2023/1/20 13:08)
3198, 3197, 3196 黒点群 (2023/1/20 13:08)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成 f1135mm), Kenko PRO ND-100000 77mm, ZWO LRGB Filter (R) / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM (Gain 140), 4.0.9268, 露出 1/2000s x 1000/2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2023, Lightroom Classic で画像処理

3192, 3191, 3186 黒点群 (2023/1/20 13:01)
3192, 3191, 3186 黒点群 (2023/1/20 13:01)
撮影データは同上

3190, 3194, 3184 黒点群 (2023/1/20 13:06)
3190, 3194, 3184 黒点群 (2023/1/20 13:06)
撮影データは同上

こちらの方がクッキリ写っているのはフレームレートが高いせいでしょうか?

シンチレーションによる歪みが純粋にランダムならフレームレートは関係ないはずですが、実際にはぐにゃぐにゃと時間軸に沿って歪みが動くので十分に速いフレームレートで撮れば連続するフレーム間に相関が出てスタックの際の AP の追跡誤差が少なくなる気がします。

また、太陽の自転周期は地球の公転による流し撮り(?)の効果も含めると赤道付近では約27日になりますが、太陽の視直径が大きいので意外と動きが速くて、低フレームレートで長時間かけて撮影するとブレてしまうのかも?

太陽の赤道直径は 139万2000km、今回の ASI294MM Pro での撮影では太陽の直径が 4062 pixel で1ピクセルの長さは 342.7km でした。太陽の赤道の一周の長さは直径×πで 437.3万km、27日(2332800秒)で一周するので1秒で1.87km 回りますから、太陽の中央付近では3分ぐらい(183秒)で1ピクセル分動く計算になります。

太陽全体の写真では5.3fpsくらいしか出てなくて、2000フレーム撮るのに6分20秒かかっています。もっとも3190黒点群の撮影では20.7fpsで1分36秒で撮り終えているのですがブレ感に差があるようには見えないので、数ピクセル程度のズレはスタックの際のアライメントで吸収されてしまうのかもしれません。

そもそもいつも撮ってる木星で同じ計算をすると18秒で1ピクセル動いてしまうのですが、1分くらいかけて撮ったフレームをスタックしても特にブレている感じはありません。

あるいは太陽の粒状斑自体の動きでブレてしまうのかも?粒状班の動きはかなり速く、「太陽の科学館」の説明では「数分の時間スケールで様子が変化していきます」とのこと。

なので、数分かけて撮影したものをスタックするとブレたようになってしまうのかも?もっとも口径8cmの分解能では個々の粒状斑が見えているわけではなく、もう少し大きなスケールの構造が見えているわけで、ブレて見えるほどの変化があるのかどうか…

というわけで、ASI294MM Pro での太陽撮影は100%満足というわけではないですが、そこそこ満足できる写りになりましたが、こうなると μ-180C でなんとか撮れないかという思いが…

ちなみに ASI294MM Pro での撮影は、去年の4月に撮った時とほぼ同じ機材構成です。*3

上の記事では一箇所抜けがあって、EWFmini と ZWO 11mm 延長筒の間に ZWO T2 to T2 アダプター(光路長2mm)が入ります*4。これでバーローレンズ後端からのバックフォーカスは80mm、拡大率は上の写真を WinJUPOS で測定した値から計算すると2.07倍になりました。*5

*1:これは上の画像のクロップではなく、別途 2072x1410 の ROI を設定して撮ったものです。上の画像(元は 5640x5644)だとフレームレートが 5.3fps でしたがこれは 20.8fps 出ています。

*2:撮影画像上の黒点の大きさから計算すると2.365倍くらいでした。

*3:笠井 CNC2インチHP直焦点アダプターのかわりにビクセンのフリップミラーを使いました。

*4:これがないとM42ネジがメス同士になって繋がりません。

*5:WinJUPOS の測定値が 0.4802秒/pixel で、ピクセルサイズが 2.315μm なので、2.315/1000/tan(0.4802/60/60) = 994.3836mm、元が480mmなので2.0716325倍。