Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

土星、木星、火星 (2024/9/12)

9月12日の深夜、ついカッとなって平日にもかかわらず惑星撮影を始めてしまいました。

実は前の週に冥王星の撮影に失敗(冥王星はなんとか写ったけどカロンは写らなかった)して体力と気力を消耗し、体調を崩して週末の予定も全部キャンセルし、夜は晴天続きだったのに何もできずに引きこもっていたのですが、ついに欲求不満が爆発して、明日の仕事?知るか!ってなってしまいました。

どうもここ最近 SCW では雲が結構出てる予報なのに実際は快晴という夜が続いているのですが、この日もそんな夜でした。ところどころ雲が見えていましたが、結局撮影の支障になるような曇り方にはなりませんでした。

まず土星です。撮影開始時には既に南中を過ぎてだいぶ傾いていましたが、せっかくなので撮りました。今回はいつもよりカメラのゲインを少し上げてシャッタースピードを倍の速さに(1/30秒→1/60秒)してみました。

土星 (2024/9/13 01:29)
土星 (2024/9/13 01:29)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L:ZWO ASI290MM (Gain 385) RGB:ZWO ASI290MC (Gain 456), SharpCap 4.1.11817.0 / 露出 1/60s x 1500/3000 をスタック処理 x 9 (L:5, RGB: 4) を de-rotation して LRGB 合成 / AutoStakkert!4 4.0.11, WinJUPOS 12.3.11, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2024, Lightroom Classic

土星は9月9日に衝を迎えて今が今年で一番大きく見える時期です。来年の消失を控えた細い環が見えていますが、今年一番細かったのは6月下旬に撮った写真と比べるとやや太っています。カッシーニの間隙は、両端付近だけではありますが、はっきり見えます。


土星本体の縞模様は平坦な縞模様だけで嵐のような模様は見当たりません。縞模様はもう少しくっきり見えて欲しいのですが、環と本体の境目にアーティファクトが出やすくてあまり攻めた画像処理ができませんでした。衛星も写っていたのですが、今回は木星と火星も撮ったので処理は後回しに。

シャッター速度を上げた効果ですが、そこそこ効いてる気がします。シーイングは大きな乱れは少ないながら小刻みのゆらぎは結構ある状況でしたが、思ったよりクッキリ写ったと思います。

ゲインを上げたことによるノイズの影響もこれだけスタックすれば問題なさそうです。ただし AutoStakkert!4 でスタック時に AP を自動配置するとホットピクセルに反応して余計な AP が配置されてしまうので、それは手動で取り除かなくてはなりませんでした。

土星の後は木星です。木星土星同様ゲインとシャッター速度を上げて撮りました。

木星とイオ (2024/9/13 02:32)
木星とイオ (2024/9/13 02:32)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L:ZWO ASI290MM (Gain 329) RGB:ZWO ASI290MC (Gain 395), SharpCap 4.1.11817.0 / 露出 L:10ms x 1500/3000 をスタック処理 x 5 を de-rotation, RGB:12.5ms x 1500/3000 をスタック処理 x 4 を de-rotation して LRGB 合成 / AutoStakkert!4 4.0.11, WinJUPOS 12.3.11, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2024, Lightroom Classic

40分ほど撮ってこれがベストショットです。シーイングはそこそこだったのですが、まあまあよく写ったと思います。大赤斑が見えないのが残念ですが、結構複雑な模様が見えていて興奮します。

太陽が木星の欠け際やや左側(木星面の西側)から照らしていて左端の縁が明るくなっているせいでリムの二重化が目立ってしまいました。火星を撮るとよく見る現象ですが、光学的な回折現象に起因するもので画像処理ではいかんともし難いとのこと。

de-ringing で多少ごまかしましたが、あまり強くかけると中央の模様の方も不自然になってしまうので、控えめにした結果、十分な効果は得られませんでした。

木星の左側の黄色っぽい衛星はイオです。撮影開始からまもなくして木星の縁から出てきて30分ほどでこの位置まで動いてきました。後でタイムラプス動画にしてみようと思います。

今年の木星は北寄りでベランダからは結構ギリギリでした。赤緯プレアデス星団(24º12')に近い22º21′で、今年のピークは10月中旬の22º26′。なんとかベランダの天井に隠れることなく観測できそうですが、マンションの壁に近い位置は建物が溜めた熱のせいでシーイングが乱れがちなのが気がかりです。

最後は火星です。

火星 (2024/9/13 03:26)
火星 (2024/9/13 03:26)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L:ZWO ASI290MM (Gain 303) RGB:ZWO ASI290MC (Gain 365), SharpCap 4.1.11817.0 / 露出 8ms x 1500/5000 をスタック処理 x 3 (L:2, RGB: 1)を de-rotation して LRGB 合成 / AutoStakkert!4 4.0.11, WinJUPOS 12.3.11, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2024, Lightroom Classic

土星木星と同じ拡大率です。火星は一応今年が小接近の年ですが、まだまだ小さいです。来年1月の最接近時にはこの倍くらいの大きさになるまで近づきます。

左側から太陽に照らされて右側(火星面の東側)はかなり欠けています。これだけ小さいと模様の詳細はわかりませんが、右側の欠け際には大シルチスが見えていますし、北極付近には北極冠も見えています。

最接近が日本ではシーイングが期待できない真冬ということで撮るなら秋のうちでしょうか。

最後に比較のために上の写真を3つ並べた画像を貼っておきます。いずれも同じ拡大率で惑星の北極が上になるように向きを揃えてあります。

土星、木星(+イオ)、火星 (2024/9/13 01:29-03:26)
土星木星(+イオ)、火星 (2024/9/13 01:29-03:26)

木星、デカいですね… 今年はやはり木星ですね。次は大赤斑が見えるタイミングで撮りたいと思います。

失敗した冥王星撮影の件はまた後日…