Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

木星、土星、火星 (2020/6/16)

6月16日の深夜に惑星を撮影しました。平日ですが梅雨の間の貴重な晴れ間なので頑張って撮りました。その甲斐があって途中トラブルはありましたが良い写真が撮れました。翌日昼休みに横になったらそのまま夕方まで寝てしまいましたが…

今回は気合を入れてLRGB撮影です。ガイドスコープに付けっぱなしだった ASI290MM を久しぶりに使いました。鏡筒をベランダに出して温度順応させながらドリフトアライメントで極軸を合わせたのですが、星の揺れがいつになく小さかったので好シーイングを期待しつつ0:30頃から撮影開始。

1:30頃まで撮って画像処理をしてみるとL画像にゴミのような謎のノイズが浮いてきて使い物になりません。しかしRGBの方は何ともありません。フィルターにゴミが付いているのか?と思ってモノクロカメラからUV/IRカットフィルターを外して再撮影しました。

前半で撮った画像はノイズのことは抜きにしてもボケボケで期待はずれだったのですが、後半戦は打って変わって細部までよく写りました。ベスト記録更新と言ってもいい写り。画像処理にも気合が入り、WinJUPOS の de-rotatin も入ってフルコース。

まずは木星

木星 (2020/6/17 02:25)
木星 (2020/6/17 02:25)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25"(RGB), ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 217), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 296) / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x6 (L:3, RGB:3) を de-rotation してLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 11.1.5, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

北赤道縞の複雑な模様がよく解像しています。赤道帯もずいぶん荒れて?います。大赤斑が見えない時間帯だったのが惜しまれます。前半戦ではギリギリ大赤斑が見えていたのですが… それでもここまで模様の入り組んだ木星面を撮ったのは始めてなので興奮しました。

次は土星

土星 (2020/6/17 02:41)
土星 (2020/6/17 02:41)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25"(RGB), ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 217), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 296) / 露出 1/30s x 1500/3000コマをスタック処理 x4 (L:2, RGB:2) を de-rotation してLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 11.1.5, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

北半球の縞模様が細いものまでよく見えています。カッシーニの間隙も一応全周見えています。輪の開きは2017年がピークであれからだいぶ小さくなりました。2025年には輪を真横から見る形になって、見かけ上輪が消失します。

https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2020/07-topics03.html

土星の de-rotation は輪の部分に土星本体の影が写り込んでしまったりしていまいち信用していないのですが、この写真でも少しそれが見えますね。他の人の写真では見たことがないので何かを間違えているのだと思うのですが…

最後はまだ小さな火星です。

火星 (2020/6/17 02:56)
火星 (2020/6/17 02:56)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25"(RGB), ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 217), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 296) / 露出 1/125s x 2500/5000コマをスタック処理 x4 (L:2, RGB:2) を de-rotation してLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 11.1.5, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

先週の写真と比べると驚くほど細かい模様が写っています。とはいえちょっとLを強調しすぎたかも。ちょっとどこがどこだか地図を見てもよくわかりませんでした。

話は変わって前半戦の「ゴミみたいなノイズ」について。フィルターの汚れかと思っていたのですが、どうもよくわかりません。フィルターのゴミなら同じ場所に同じ影が写るはずですが、センサー面のあちこちで撮ったにも関わらず決まって惑星像の縁の近くにノイズが出てきます。おせんべいの端にあるヒビみたいに見えるので「おせんべいノイズ」と名付けました。

具体的にはこのようなものです。wavelet は弱めにかけてあります。

「おせんべいノイズ」の例 (木星)
「おせんべいノイズ」の例 (木星)

不思議なことにRGB画像の方では全く見られませんでした。シーイングが悪かったり筒内気流で像が歪んだりが原因ならRGBの方も同様のノイズが出てもいいはずなのですが…

AutoStakkert!3 の継ぎ目ノイズの可能性も考えましたがやはりRGB画像に出てないのが不可解だし、丸い水滴の跡のようなノイズが出るのは継ぎ目ノイズにしては不自然な気がします。APはサイズ104を自動配置で80個です。

ちなみに土星だと輪が欠けたような写りになります。

「おせんべいノイズ」の例 (土星)
「おせんべいノイズ」の例 (土星)

一体なんなんでしょうね?フィルターは目視で裏表確認したのですが、特に汚れは見つかりませんでした。

というわけで謎は残りましたが、諦めずに取り続けたおかげでベストショットが撮れました。次は大赤斑が見える時にこのくらいの結果を出したいです。