昨日のエントリ「みんなの星は青いのに…」の件、コメント欄で色々教えて頂きましたが、光害カットフィルターのせいでは、という話になってきています。
具体例があるほうがわかりやすいので6月に撮ったさそり座の散開星団 M6 で見てみます。
M6 は英語圏では Butterfly Cluster と呼ばれていますが、どのへんが Butterfly かというのはこちらのエントリに書きました(描きました)。
ほんとかな?一応そうだということにしておいて、この星団、蝶の左の羽根の先の星と左の触角の根元の星が赤っぽい色で、他の明るい星は青白い色です。背景の微光星は天の川の星で黄色っぽい星が多い感じ。
参考にネットに公開されている写真をいくつか。
- APOD: 2014 October 17 - Messier 6 and Comet Siding Spring
- M6 The Butterfly Cluster (Kevin Parker) - AstroBin
- Butterfly Cluster / M 6 / NGC 6405 (drivingcat) - AstroBin
で、僕の撮った写真ですが、RAW から DeepSkyStacker でダーク/フラット/コンポジット処理した直後の状態はこれです(カメラのホワイトバランスはオート)。
光害のカブリが激しいですね… 光害カットフィルター(LPS-D1)を使うとカラーバランスが青に倒れるので背景は青っぽくなっています。DSS の出力はなぜか彩度が落ちるのでこんな感じですが、ライブビューや撮って出しのRAWだともっと青々としています。
これを、Lightroom Classic CC *1 で色温度と色かぶり補正を調整して、背景がニュートラルグレー(ちょっと青寄り)になるようにして、黒レベルとトーンカーブを調整して背景を暗く落としたのがこれです。
彩度を上げていないのでわかりにくいですが赤い星は縁に赤い色が出ていますが、青い星はほぼ真っ白です。普段はもっと彩度を上げて色を出して、明瞭度も少し上げて微光星を目立たせたりしています。
昨日のコメント欄で id:snct-astro さんから背景=ダーク領域だけ青カブリを除去するとよいのでは?というコメントを頂いたので、Lightroom Classic CC の新機能の輝度指定のマスク*2 を使って、全体を青みを残すように調整しつつ、輝度の低い部分はマスクをかけてニュートラルに補正してみました。
おお、青くなった?でも青くないはずの微光星も青くなっているような… これはダメっぽい気がします。
光害地撮影の大先輩 HIROPON (id:hp2)さんも星の色には悩んでいるとのこと。
- 光害に紛れた淡い光を捉えるために長時間露出するので明るい星が白飛びする
- 光害の中から淡い天体をあぶり出すために強調処理をかけると星の縁に残った階調も失われる
- そもそも光害カットフィルターで青や緑系統の光が一部カットされている
ということで、特に青い星の色は抜けやすいとのことです。
上の例では星団ということもあって強調処理は赤い散光星雲の写真などに比べるとずっと控えめ(カブリのカットのみ)ですが、やはり赤みは残る一方で青みは失われています。となると、光害カットフィルターが主犯?
そもそも光害がなければフィルターの影響もカブリ除去の影響も最小限で済むんですよね。遠征するしかないんですかねぇ。でもうちは一応横浜の空に届いた星の光を撮るのがテーマだし…
でも憧れなんですよね、透明感のある青白い星の光。遠征かあ… id:snct-astro さん曰く「一度暗いところで撮影したところ、光害地で撮影する気力が失せてしまった」ということだし、危険な領域ですねぇ。もっとも車がないので、電車・バスと徒歩で行ける範囲となると限られてきますが…