3月16日の夜は快晴。月の出は1:15で、それまでに何か撮ろうということでM87を撮ることにしました。もちろん目当てはブラックホールから出るジェットです。
M87のジェットの撮影は昨年4月にチャレンジしましたが、存在は確認できたもののジェットらしい姿が写らず、いまいち撮れたという感じのしない結果になっていました。
ちゃんと撮るには μ-180C で撮るしかないのか?ということでしたが、これについてはガイドする機材をどうするか未だに悩んでいる段階でまだ無理なのですが、BLANCA-80EDT と惑星用CMOSカメラで撮った M100 と M104 の写真が思いの外よく撮れていたので、同じように撮ってみたらそこそこ写るのでは?と期待して撮ってみることにしたのです。
22時頃から機材をベランダに出して極軸を合わせて、23:00過ぎに撮影開始。HDR スタック用に2段階露出で撮って、30秒露出を96コマ、60秒露出を80コマ撮影しました。60秒露出のコマ数が少ないのは予定より15分ほど遅れての撮影開始で月の出の前に撮れるコマ数が減ってしまったためです。
結果はこうなりました。ジェットがよく見えるように銀河の淡い部分を強調せずにリニアに近いトーンカーブで仕上げています。
どうでしょう?これなら「撮れた」と言っていいのではないでしょうか。ドリフトアライメントで極軸を追い込んだおかげか、この日はガイドがほぼ絶好調だったので、DSS の 2x Drizzle でスタックしてみました。それを wavelet 処理して等倍表示で切り出したのが上の写真です。
ちなみに wavelet をかけずに仕上げたのがこちら。
なんかこれでも十分よく写ってる気がします。
拡大せずに、また、ジェットを気にせず淡い部分をあぶり出すように仕上げたのがこちら。
これでもよく見るとジェットが見えますね。ちなみに今回はカメラの水平(赤道と平行)を取るのを忘れていたので写野が3度ほど傾いています(拡大写真では直してあります)。
BLANCA-80EDT の焦点距離は480mm、ASI290MCの画素ピッチが2.9μmなので、像面では1ピクセルあたり1.246秒角です。*1 2x Drizzle で処理したので画像上では1ピクセルあたり0.623秒角になります。
M87の中心(一番明るい部分)からジェットの根本までの距離は画像上では約18ピクセルで11.3秒角に相当します。以前ジェットの根本の明るい部分までは11.7秒角と計算したので*2 ほぼ計算通りということになります。
というわけでシリウスBに続きまた昨年のやり直しみたいな撮影でしたが、8cm でこれだけ撮れれば満足です。
*1:atan(0.0029 / 2 / 480) * 2 * 180/π * 60 * 60