台風一過の6月3日の日没後、火星とプレセペ(M44)の接近を撮りました。
プレセペはかに座の甲羅のあたりに大きく散らばった散開星団で、僕は「かに座のかにみそ部分」などと呼んでいます。メシエ天体で M44 の番号が付いていますがそちらではあまり呼ばれない印象です。
実は前日の6月2日が本命で、2日なら横浜からだと ISS が写野を通過するタイミングもあったのですが、残念ながら台風で撮れず。しかし幸い3日も ISS はナシですが火星はまだプレセペに超接近状態、というかほぼ星団の中に混じってる状態が続いていたので出撃したというわけです。
西の空のイベントなので南向きベランダからは撮れず、北側のマンションの廊下から撮影しました。
#天文なう 火星&かにみそ撮影準備中。 pic.twitter.com/wcoqKlQWEM
— 🌻ナょωレよ″丶)ょぅすレナ🌻 (@rna) June 3, 2023
空に一番の金星が写ってます。薄明が残っていて19:00過ぎの時点ではまだ火星は見えません。デジカメのプレビューでギリギリ見える感じ。19:40分頃になってやっと火星とそのまわりのつぶつぶの恒星がプレビューに写るようになってきたので撮影開始… なのですが、低空から雲が流れてきたり飛行機が飛んできたりで時折中断しつつの撮影になりました。*1
機材は OLYMPUS ED 35-100mm F2.0 *2 と OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II、赤道儀は Star Adventurer GTi です。極軸は明るいうちに適当に北に向けてから金星を自動導入して方位を微調整しただけですが、なんとかなりました。
まず、かに座全体と金星とカストルとポルックスも写野に入れる欲張り構図で撮影。以下写真の向きは天頂が上です。
PixInsight の AnnotateImage でアノテーションしたのがこちら。海外製のツールだからか星座線の繋ぎ方が日本人には馴染みがないものですが… *3
写野に雲が入るようになってからはプレセペのクローズアップ狙いに切り替えました。
散開星団のキラキラした感じってなかなか表現できませんね… どうしたらいいのか。まあ、今回は眼視でも見えなかったので写っただけでも御の字ですが。
なお、どちらの写真もソフトフォーカス効果は Photoshop で後付けしました。初めてやりましたがどうでしょう?やり方はだいこもん(id:snct-astro)さんのこの記事を参考にしています。
ぼかしレイヤーをスマートオブジェクトにして、最初のレベル調整、彩度調整、疑色抑制(色ノイズ軽減)を CameraRaw フィルターで行うようにして効果量を後から調整できるように工夫しました。
このへん PixInsight にいいツールないんですかね?画像処理でのソフトフォーカス効果ではなかなかソフトフィルターみたいに綺麗な効果が得られないと言いますが、こういうのこそ AI で頑張れないですかね?情報減らす方向の処理ですから「ハルシネーション(幻覚)」的な副作用はあまり気にしなくていいはずですし…
その他、観賞用と割り切って光害・薄明のカブリの処理や雲の通過の痕の処理などは線形フィルターやら修復ブラシやらをガシガシ使って誤魔化してます。逆に言うとそのくらいしないと絵にならないんですよね。星景・星野写真はそのへん難しいです。