Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

木星 (2022/9/30)

昨年9月30日の夜に撮った木星の写真、ずっと画像処理が終わらなくて、途中まで処理しては放置して、を繰り返していたのですが、やっと終わりましたので一気に放出します。もう9ヶ月経ってますが…

この日は会社早退してたくせに天気いいからって夕方から惑星撮影の準備してました。前回撮った時に ASI290MM のセンサーにゴミが乗っていたのに気付いたので昼のうちにセンサークリーニングしてました。

そして先に21:00前から土星を撮っていました。

なかなかのシーイングでこれは木星にも期待がかかりますが… 以下、いつものように木星の北が上の構図です。

木星 (2022/9/30 21:51)
木星 (2022/9/30 21:51)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 248), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 321), SharpCap 4.0.8949.0 / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x9 (L:5, RGB:4) をLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 12.1.2, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

木星 (2022/9/30 21:58)
木星 (2022/9/30 21:58)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/9/30 22:01)
木星 (2022/9/30 22:01)
撮影データは上に同じ。

うーん、プレビューでは悪くなかったんですが。南中前とはいえ土星より高度は高かったのですが。しかしだんだんシーイングが安定してきます。

木星 (2022/9/30 22:30)
木星 (2022/9/30 22:30)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/9/30 22:57)
木星 (2022/9/30 22:57)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/9/30 23:04)
木星 (2022/9/30 23:04)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/9/30 23:10)
木星 (2022/9/30 23:10)
撮影データは上に同じ。

木星の裏側(と勝手に言ってるけど大赤斑の反対側ということ)としては今期最高の写りです。北赤道縞と南赤道縞の中の細かい模様や南半球の細かい縞や白斑もはっきり写っています。

23:10の左下に見える大きな白斑は Oval BA です。元々は3つの白斑だったのが1998年から2000年にかけて次々と合体して一つの大きな白斑になったものです。その後2005年ごろから急に赤くなってきて中赤斑などと呼ばれていた時期もありましたが、2019年にまた白くなりました。

Damian Peach さんが1週間後に撮った写真(こちらは南が上)にも右上中央寄りに Oval BA が写っています。

曖昧ながら白斑内部の渦巻き模様がうっすら写っていますし、周囲の迷路みたいな模様がくっきり写っていてさすが。僕の写真の右下に写っていたぐちゃっとした白斑のようなものは Peach さんの写真だと迷路みたいな模様の一部が白くなっているもので白斑ではない?

ちなみに赤かった頃の Oval BA の写真ですが、僕は2018年から木星を撮り始めて大赤斑ばかり狙いがちだったのもあってほぼ撮れてません。2019年は大赤斑の「赤い涙」騒動で大赤斑のことばかり考えていて Oval BA が白くなったことには全く気付いていませんでした。

僕の写真だと2018年の夏にバローレンズを色々テストしてた頃に撮ったこれの左下に写っているのが Oval BA だと思います。たしかに薄いオレンジ色のような…

同時期に ALPO-Japan に寄せられた Christopher Go さんの報告でも pale orange color と報告しています。

Damian Peach さんの報告画像だと、2017年3月の画像では大赤斑ほどではないもののかなりはっきりオレンジ色で、2018年5月の報告画像ではやはり薄いオレンジ色に。2019年2月の画像でもうっすらオレンジ色ですがだいぶ薄くなっていて、同年5月の画像では縁のあたりを除いてほぼ白くなっています。

また、木星探査機ジュノーが撮影した Oval BA の写真を紹介したアストロピクスの記事では撮影された2018年12月21日の数ヶ月前から白っぽくなってきたとしています。

閑話休題

さて、このあと雲が出てきて透明度が落ちてきてシーイングも怪しくなってきます。

木星 (2022/9/30 23:31)
木星 (2022/9/30 23:31)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/9/30 23:34)
木星 (2022/9/30 23:34)
撮影データは上に同じ。

ここまで撮ったところで撮影中断。1時間後に雲が切れて撮影再開。*1

木星 (2022/10/1 00:36)
木星 (2022/10/1 00:36)
AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 12.1.5, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2023, Lightroom Classic で画像処理。他の撮影データは上に同じ。

惑星撮影でシーイングが乱れたタイミングでターゲットが雲に隠れるとそこで撮影終了にしたくなるところですが…

こういうことがあるんですよね。今回もシーイングが回復してなかなかの写りになりました。これだからやめられないんですよね。

この1時間の間に Oval BA は子午線を越えていきました。

木星 (2022/10/1 00:39)
木星 (2022/10/1 00:39)
撮影データは上に同じ。

ここからは大赤斑待ちです。とはいえ大赤斑が出てくる時には木星はだいぶ西に傾いているはずでまとも写るのかどうかわからないのですが、とにかく火星を撮りながら待ちます。

いよいよ大赤斑が出て来る、というタイミングでまた雲が…

木星 (2022/10/1 01:36)
木星 (2022/10/1 01:36)
露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x6 (L:3, RGB:3) をLRGB合成。その他の撮影データは上に同じ。

雲で3セットしか撮れなかったのを無理やりスタックしたのですが、やっぱりボヤけています。でもここまで来たら意地です。木星さんには悪魔と取引していただいてしっかり目を合わせてもらいましょう。

30分後雲が切れてここから1時間ほどノンストップで撮り続けました。

木星 (2022/10/1 02:00)
木星 (2022/10/1 02:00)
露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x9 (L:5, RGB:4) をLRGB合成。その他の撮影データは上に同じ。

木星 (2022/10/1 02:10)
木星 (2022/10/1 02:10)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/10/1 02:16)
木星 (2022/10/1 02:16)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/10/1 02:38)
木星 (2022/10/1 02:38)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/10/1 02:42)
木星 (2022/10/1 02:42)
撮影データは上に同じ。

木星 (2022/10/1 02:48)
木星 (2022/10/1 02:48)
撮影データは上に同じ。

さすがにシーイングは完全回復とはいきませんでしたがそこそこ写りました。大赤斑は元気でした。2021年や2020年に比べるとちょっと小さくなってる気もしますが…

ということでこのあともう一回火星を撮って撮影終了。この日撮影した総データ量(土星木星、火星を撮った .ser ファイルのサイズの合計)は1.5TBになりました。

これは処理が大変だな、と思っていたら翌日もまた晴れて…

*1:以降の写真は先週処理したものでパラメータが上のものとは異なる可能性があります。以前処理した時のパラメータが曖昧になって同じかどうかわからない…