9月30日の夜と10月1日の夜、連続で惑星の撮影をしました。新月期に連夜の快晴ということでDSOを撮る人が多かったようですが、9月26日に晴れた時に先日購入した FSQ-85EDP のテスト撮影(ちょうこくしつ座銀河を撮りました)を優先したら後から未曾有の好シーイングだったと聞いてむちゃくちゃ悔しかったので今回は惑星に専念しました。
9月30日はなかなかの好シーイングでしたが、木星はかなり西に傾いてから大赤斑がこちらを向くタイミングだったのが残念で、翌10月1日は南中前後に大赤斑が見えるチャンスだったので連夜の撮影となりました。
10月1日は絶好のシーイングと言って良いレベルで、像の揺れの小ささと、それが長時間持続したという点で、今の機材で惑星を撮るようになってからの5年間で経験したことのないものでした。
2日合わせて撮影データの合計サイズは3.1TB。さすがにまだ未処理のデータが大量に残っていますが、いつまでかかるかわからないので速報的に仕上げた1枚を貼ります。
木星とその背後に回る形で接近中のガニメデのツーショットなのですが、よく見ると…
これ、ガニメデの模様が写ってませんか??
プレビューを見ている時から、なんかガニメデが面積を持った円盤状に見えるんだが… と思って、撮った動画を仮処理したら模様が出てきてびっくりしました。複数の撮影動画を処理しても一貫して同じような模様が出てくるので何かの間違いというわけではなさそうです。
画像処理は木星と一緒にそのまま処理していて、WinJUPOS の de-rotation のオプションで衛星像のスタックも同時に行っています。このオプションについては8月22日の記事に書きました。
WinJUPOS のこのオプションが衛星の自転の de-rotation までやっているのか不明なのですが、ガニメデの自転周期は7日3時間43分とゆっくりしたものになっています。1時間に約2度、約12分の撮影時間の間に0.4度しか回転しませんので、de-rotation されていなくても問題ないと思います。
ちなみに AutoStakkert!3 のスタックでは AP を衛星に置いていません。衛星に AP 置いたらもっとクッキリするかと思って試してはみたのですが、何故か衛星像が中央が黒い穴の開いたようなドーナツ状の像になってしまったので。でも、ひょっとしてそっちが真の像だったりする?ピンぼけになってて中央遮蔽でリング状の像になっていたりとか?
…などと思ったのですが、1日夜のガニメデの視直径は1.83秒角で(Stellarium 調べ)この機材構成だと画像上では直径約23ピクセルになり、実際の画像でも誤差1ピクセル以内で一致します。WinJUPOS のシミュレーションともほぼ一致しました。ピンぼけなら視直径より大きい像になるはずなので、それはない、と考えられます。
口径 18cm でガリレオ衛星の模様なんて写るの?と、正直僕もそう思っていたのですが、実は先日カリストの模様を 18cm 撮れたというブログ記事を見て、条件が良ければひょっとして… とは思っていたのでした。
しいたけさん*1 のブログ「追い風にのって」の記事です。D=180mm、F=2700mm ということなので MAK180 でしょうか?マクストフはスパイダーの回折がないから有利なのかも、ミューロンではどうだろう?と思っていましたが…
ガニメデは太陽系最大の衛星で直径5262km、水星(直径4879km)よりも大きく、月(直径3476km)の約1.5倍の大きさです。しいたけさんが撮ったカリストは太陽系で3番目の大きさで直径4821km。*2 カリストで写るならガニメデはもっと写りやすいはずだし、と期待してなくはなかったのですが、その期待はプレビューで円盤状の像に気付くまでは意識の片隅にしかありませんでした。
というわけで、まさかの結果となりました。望遠レンズとデジカメで月面を撮るところから初めた天体撮影ですが、8cm 屈折で惑星を撮るようになり、18cm 反射とCMOSカメラで惑星面を撮るようになり、ついには衛星面まで撮るようになったか、と思うと感慨深いです。
今回撮ったガニメデの像のピクセル数、2016年に8cm屈折とデジカメで撮った火星の像のそれとちょうど同じくらいなんですよね。視直径が1/10くらいでシーイングの影響の受け方が違うので、さすがに火星ほど鮮明には写ってませんが、それでもずいぶんと遠いところまで来たなぁ、という思いです。