前回のエントリにある通り、7月29日の夜は夜中から土星を撮って、その後木星が昇るのを待っていました。
今年の木星はかなり北寄りに位置していて、南向きベランダからだとかなり高く昇ってからでないとベランダの壁*1に邪魔されて撮れません。撮影は3:20頃からになり、その後市民薄明になる4時過ぎまで木星を撮り続けました。
シーイングはかなり安定しており、なんと今回もガニメデの模様?が写っていました。衛星が写野に入ったのは、というか意識して写野に入れるため木星をセンターから外して撮ったのは 3:49 からでした。
まだ画像処理が全部終わっていませんが、取り急ぎ衛星入りの静止画1枚と、木星の自転と衛星の公転がわかるタイムラプス動画を仕上げました。
まずは静止画として仕上げたものを。
ちょうど大赤斑が地球の方を向いたタイミングで、写野にガニメデ(上)とイオ(下)が入ってきました。衛星は両方とも地球から見て木星の向こう側を回っています。つまりこの後木星の後ろを通過するというタイミングでした。*2
ガニメデはなにやら黒い大きな模様らしきものが見え、イオは模様こそわからないものの、ガニメデとは明らかに違う黄色っぽい色がはっきり写っています。
ガニメデの模様といえば昨年の秋に初めて「写ったぽい」と速報エントリを書いてから続報をまだ書いていなかったのですが…
実はこれについては疑義があるのです。その点については後日別エントリにまとめるとして、とりあえずは模様だと思っておきましょう…
そして木星と衛星の12分間の動きを150倍速のタイムラプスムービーにしたのがこちらです。動きがゆっくりですし、5秒しかないのでイマイチ映えませんが…
個人的には結構エモいな、と思っているんですが、あまり賛同を得られなさそう…
木星のタイムラプスは2年前にやったのですが、
こちらは全フレームを Photoshop で処理してLRGB合成、という偉業、というか狂気の沙汰でしたが、今回は以下のような手順でだいぶ簡略化しました。
- AutoStakkert!3 でスタックしたL画像5枚を1セットにして WinJUPOS de-rotation する。
- この時0.1分ずつ Reference Time をずらして1セットにつき約30フレームを生成。
- Reference Time がセットの中央の画像と次の画像の中間に来たらセットに含める画像を一つずらす(最初の画像を外して最後の画像の次の画像を入れる)。
- これを繰り返して9枚のL画像から137フレームを生成。
- フレームに衛星を含めるために出力サイズを3840ピクセル(元のフレームの倍)に設定。
- RGB画像は4枚を1セットとし、L同様に処理して137フレームを生成。
- セットの画像を入れ替えるタイミングは Reference Time が3番目の画像の撮影時刻(中央値)と一致したタイミング。
- RegiStax6 のバッチ機能でLフレームのセットをまとめて wavelet 処理。
- 衛星用の弱めの wavelet パラメータで処理した。
- RGBフレームのセットも同様にバッチでまとめて wavelet 処理。
- wavelet パラメータはさらに弱めのものを使用。
- バッチには RGB Balance 設定も追加。
- ffmpeg で wavelet 済みLフレームを動画に変換して L.mp4 を生成。
- ffmpeg で wavelet 済みRGBフレームを動画に変換して RGB.mp4 を生成。
- ffmpeg で L.mp4 と RGB.mp4 をLRGB合成(?)
- ffmpeg -i RGB.mp4 -i L.mp4 -filter_complex "[0:v]format=yuv444p[0v];[1:v]format=yuv444p[1v];[0v][1v]mergeplanes=0x100102:yuv444p,hqdn3d,eq=saturation=2" -vcodec libx264 -b 6M -pix_fmt yuv420p LRGB2NR-x264.mp4
というわけで、色とか模様のディテールとかはかなり妥協したものの、大幅に省力化されました(これでも)。
実は AutoStakkert! の方も今回初めてやった工夫があるのですが、ざっくりとした説明を Mastodon の方に書きました。スレの最初だけ引用します。続きはリンク先を参照してください。
AutoStakkert!3 で Planet(COG)モードでスタックするとデフォルトで惑星を(というか輝度重心を)画像中央に持ってきて、それでいてフレームサイズは元のサイズになるので惑星をオフセットして衛星を写野に入れるフレーミングで撮ってるとせっかく入れた衛星がフレームの外になってしまうことがあるのだけど、AS!3の機能で惑星をオフセットしてスタックできるのにいまさら気付いた。
ナょωレよ″丶)ょぅすレナ @rna@mstdn.jp (2023年7月30日 18:45)