Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

土星 (2023/7/29)

7月29日の夜、久々に天体撮影をしました。ターゲットはシーズンに入った土星と、明け方に見えるようになった木星です。

2ヶ月ぶりの撮影ですが、7月初めに貧血で倒れた時に背中の筋を傷めて重い物を持つのを自粛していたため、今まで天体撮影も控えていました。だいぶ回復したのでやっと復帰というわけです。土曜日なので土星、というわけではないですが、最近早朝のコンビニ帰りに木星が結構高くまで昇っているのが気になっていたので、土星もシーズンに入ってるはず、と思って両方狙いました。

惑星撮影は7ヶ月ぶりですが、身体が憶えているもので、準備は比較的スムースにいきました。が、ドリフトアライメントの追い込みがなかなかうまくいかなくてだいぶ時間がかかってしまいました。

PHD2 のドリフトアライメントは、先にキャリブレーションをしないと開始できないのですが、赤道儀設置直後の極軸がかなり大きくズレている場合、キャリブレーションがズレて PHD が把握する赤緯のドリフトに極軸のピリオディックモーションの動きが混じってしまうようで、最後の追い込みの時にドリフト方向が乱れて混乱してしまうようです。

なので、ある程度極軸が合ってきたら再度キャリブレーションを実行するとよいのですが、これを今回忘れていました。1時間ほど苦戦してから思い出して、再キャリブレーションしたらスムースに極軸を追い込めました。かなり追い込めたので、この日は撮影中に惑星が写野から出ていくことは一度もありませんでした。

23時過ぎから土星の撮影開始。まだ南中前でしたがシーイングも悪くない感じ。

最近部屋のPCのメインモニターにエルゴトロンのアームを取り付けたので、撮影時にアームをベランダの出入り口の方に 50cm ほど伸ばすようにしたところ、SharpCap の画面がよく見えるようになり、ピント合わせがだいぶやりやすくなりました。

結果はこちら。

土星と衛星 (2023/7/29 23:47)
土星と衛星 (2023/7/29 23:47)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 296), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 380), SharpCap 4.0.9268.0 / 露出 1/30s x 1500/3000コマをスタック処理 x9 (L:5, RGB:4) をLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 12.2.5, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2023, Lightroom Classic で画像処理(衛星は同じデータから別画像処理したものを合成)

衛星は左からレア、エンケラドゥステティス、ディオネです。

土星と衛星 (2023/7/29 23:47) (キャプション付き)
土星と衛星 (2023/7/29 23:47) (キャプション付き)

エンケラドゥスはかなり暗いので部屋の電気を消して見るか、写真下のγをマイナス方向に調整してみてください。衛星像は例によって強力な wavelet 処理であぶり出したものですが、実は環の右端あたりにミマスが見えていたはずでした。が、環の輝きに埋もれてうまくあぶり出せませんでした… それっぽい形跡はあったものの、de-rotation の副作用のようにも見えましたし、環から広がった光と分離できなかったので合成しませんでした。

注目したいのは環の傾き。昨年最後に撮った時の写真と比べてもだいぶ浅くなっているのがわかります。

そして2年後の2025年の春には環が真横を向いて中からは見えなくなります。詳しくは昨年以下の記事に書きました。

というわけで久しぶりの土星に満足しました。この後3時頃まで待ってから木星を撮影しましたが、そちらは画像処理がまだ終わってないのでまた後日。