Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

お気楽惑星撮影

今でこそ deep-sky がメインですが、赤道儀を買うまでは望遠鏡の用途は専ら月と惑星を撮ることでした。

月や惑星の撮影と言っても動画を撮って Registax で画像処理というような本格的なものではなく、デジカメでワンショット撮影です。拡大光学系はカメラ用の2倍テレコンバーターのみです。ワンショットと言っても何十枚も撮って一番よいもの、というか、大気のゆらぎで像が歪んでいないラッキーショットを選びます。

960mm (フルサイズ換算 1920mm) F12 だと普通の惑星なら固定撮影で撮れる範囲ですが、赤道儀を導入してからは星を追いかける手間もなく撮影が捗るようになりました。また、固定撮影ではシャッター速度1/8秒ぐらいが限界だったのが数秒はブレずに撮れるようになり土星の衛星のような暗い衛星も撮りやすくなりました。

昨年の撮った木星のベストはこれです。

木星と衛星 (2016/3/18 00:42)
木星と衛星 (2016/3/18 00:42)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20
木星:ISO 200, 1/50s, 衛星:ISO 200, 1/4s を合成
Lightroom CC, Photoshop CC で画像処理, トリミング

大赤斑も見えているし 8cm F6 にしてはそこそこシャープに写っているし個人的には満足、ということにしておきましょう… 衛星は左からエウロパカリスト、イオ、ガニメデです。

画像処理はただのトーンカーブと明瞭度の調整ですが、ひとつだけ変なことをしていて、色ズレの補正のためにRGBチャンネルを分解してRとBを1〜2ピクセルずらしています。色ズレは水平方向なので大気による色分散ではなくて光学系の問題だと思います。

土星のベストはこちら。

土星と衛星 (2016/8/7 19:30)
土星と衛星 (2016/8/7 19:30)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20
土星:ISO 200, 1/8s, 衛星:ISO 200, 2s を合成
Lightroom CC, Photoshop CC で画像処理, トリミング, 拡大

こちらは等倍だと小さくて見づらいので2倍に拡大しています。他の画像処理は木星と同様。

カッシーニの間隙がなんとか見えています。表面の縞模様はほとんど見えませんね。衛星は、土星の左下がディオネ、右がテティス、右上がレア、さらに右上がタイタンです。

エンケラドゥスは写っていません。というか土星に近すぎて露出を上げると輪の光のにじみに紛れてしまい判別できなくなっています。一度だけギリギリ写っていたことがあったのですが、それっきりです。

2016年といえば火星接近の年でしたので火星も撮りました。

火星 (2016/6/3 22:49)
火星 (2016/6/3 22:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER C-20
ISO 200, 1/160s
Lightroom CC, Photoshop CC で画像処理, トリミング, 拡大

これも元の画像を2倍に拡大しています。右下の黒い部分が大シルチス、だと思います。

ちなみに惑星写真の天地については南を上(北半球で見た場合の倒立像)にする流儀と、北を上(北半球で見た場合の正立像)にする流儀がありますが、個人的に正立像の方がしっくりくるのと探査機などが撮った写真の多くが北を上にしていることから、僕は北を上にしています。ちなみに眼視でもわざわざ正立プリズムを使って見ています。

もっとも火星は北の向きがこれで合ってるのかよくわかりません…

どんなものでしょう? 8cm F6 ではこれ以上拡大してもしょうがないかなぁと思っています。色ズレのこともあるし。スタックもこんな小さな像をスタックしても意味あるのかなぁと思うのですが…

でも、カメラのライブビューで見るともっとくっきりしてるんですよね。なぜだかよくわかりませんが、これは画像処理次第でもっと写りがよくなることを意味するのでしょうか。

来年は火星が大接近するのでそれまでに色々考えてみたいと思います。

街に出て星を撮る

前回の続きです。

8月になると深夜にはアンドロメダ大銀河(M31)が見頃になるのですが、南向きのベランダからは見えません。さんかく座の銀河 M33 ならどうだろうと試しに望遠鏡を向けてみたのですがギリギリでベランダの天井に邪魔されて見えません。

しかし試しに三脚を少し縮めて望遠鏡を端に寄せてみるとギリギリ見えることがわかり、撮ってみました。

M33 (2016/8/10 01:57)
M33 (2016/8/10 01:57)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

なんとか撮れましたが… せっかくの大きなフェイスオン銀河なのに、意外と淡くて渦巻き構造もうっすらとしか見えません。20秒露出の限界でしょうか。

そしてベランダの限界も。トリミングして画像処理でもごまかしているので一見わかりませんが、写野の1/3くらいが迷光らしきカブリでダメになっていました。街灯に照らされたベランダの天井の照り返しが迷光になっているものと思われます。

そこで思い切って望遠鏡を外に持ちだしてみることにしました。初めてなので夜遅くなる前に帰れる21時前に。徒歩なのであまり遠くには行きたくなくて、場所は家の近くの駐車場です。やや寂れているとはいえ商店街の通りに面しているのですが駐車場そのものに明かりがなく建物に囲まれた奥の方はそこそこ暗いという場所です。

そういう場所と時間なので、ターゲットはこの時期この時間に天頂付近に見える天体。はくちょう座のデネブのそばの赤い散光星雲 IC7000 通称「北アメリカ星雲」と、こと座の惑星状星雲で「ドーナツ状星雲」とも呼ばれる M57 です。

北アメリカ星雲とペリカン星雲 (2016/8/30 21:26)
アメリカ星雲とペリカン星雲 (2016/8/30 21:26)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 12枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算640mm相当にトリミング

M57 (2016/8/30 22:22)
M57 (2016/8/30 22:22)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算2290mm相当にトリミング

この日は風が強く、たびたび露出中に機材が風に煽られて揺れてしまうという悪条件でしたが、せっかく外に出てきたのだからとしつこく撮り続けて、なんとかブレてないカットを必要な数だけ集めることができました。

写りの方は… 北アメリカ星雲は、星雲の形を知っている人ならそれとわかる、程度でしょうか。ただでさえ赤い星雲の光に対する感度の低い無改造カメラで撮っているのに露出時間が全然足りません。光害の影響も大きく無理な強調処理を強いられています。

M57 はなんとか赤と青のリングに見えています。が、なにしろ小さな星雲なので約4倍に拡大(トリミング)してもこの小ささです。せめてレデューサーなしで撮りたいところですが、露出は3倍必要になりますし、追尾精度も倍近く必要になります。ノータッチのスカイメモSでは無理な相談です。

ノータッチ20秒露出でお手軽に色んな天体を撮ってきましたが、限界もはっきりしてきました。北アメリカ星雲がこれなら冬の馬頭星雲やばら星雲も厳しいでしょう。光害カットフィルターも使えません。光害カットフィルターは一般に露出時間が倍必要になり、実質10秒露出が上限になってしまうので。

やはりちゃんとした赤道儀を買うしかないのか?しかし外で撮影するという選択を既にしてしまった身としては外に持ち出すのに苦労しそうな重赤道儀に対して以前に増して抵抗感が出てきています。

どうしたものかと、あれこれ悩む日々が続きます。(つづく)

続き:

人工衛星って点滅する?

昨日の黒眼銀河の写真ですが、よく見ると人工衛星の光跡らしきものが写り込んでいます。

下の写真はちょうど人工衛星?が黒眼銀河にニアミスした時のカットです。シャッターを開いた時の位置と閉じた時の位置に対応する時刻を書き込んであります。

人工衛星? (2017/2/26 01:44)
人工衛星? (2017/2/26 01:44)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 200, 300s
Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算2590mm相当にトリミング

天体写真を撮っていて人工衛星が写り込むことはよくあることなのですが、この衛星?は一定周期で点滅しています。こんなのは初めて見ます。人工衛星ってこんなふうに点滅するものなんでしょうか?普通は点滅しないものだと思っていました。

航空機かな?とも思ったのですが、光跡が一つだけですし、5分間で10回点滅していて点滅周期が約30秒と長いのが航空機らしくないように思います。

デブリのようなものなら変な方向に自転しながら飛んでいて、こんなふうに点滅したりもするのでしょうか。そういえば、昨年3月にX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)が姿勢制御を失い異常回転を起こした時は地上から点滅しているのが観測されました。*1

そういうものが近くを飛んでいなかったか Satellite Tracker 3D で調べてみましたが、それらしきものは見当たりませんでした。いったい何なんでしょうねこれ?

M64 黒眼銀河 (2017/2/25)

CP+ から帰ってきてこのブログを更新した24時前、Twitter で HIROPON さんが出撃しているのを見て、そういえば GPV の予報では夜中から天気良かったなと思い出し、何を撮るかも決めないままベランダに機材を設置して極軸合わせ。やっぱり30分以上かかります。

作業しながら Stellarium を眺めてかみのけ座の渦巻銀河 M64 通称「黒眼銀河」をターゲットに。昨年の春の銀河祭りでは撮りそびれた、今まで撮ったことのない天体です。後で HIROPON さんも黒眼銀河を撮ってたことを知りました。

撮影開始から時折薄雲が流れているのがオートガイダーの映像で確認されてはらはらさせられました。最後には空一面に雲が拡がって予備のカットを撮れなかったのですが、なんとか使えるカットが8枚とれて一応撮影成功。

M64 (2017/2/26 01:10)
M64 黒眼銀河 (2017/2/26 01:10)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー, IDAS LPS-D1 48mm
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

「目」が写っています。「黒眼銀河」は銀河の中心部に重なる暗黒帯を黒目に見立ててその名で呼ばれています。目というか、ちょっとヤギの目のようにも見えます。ちゃんと撮れば銀河の腕も見えるはずなんですが、そこまで解像できませんでした。

雲が出て撤収、と思ったのですが、3時頃から雲が晴れてきたのでダメ元で次のターゲット、かみのけ座の銀河 M91 と M88 の撮影を始めます。が、M64 の撮影の時はギリギリ許容範囲だった赤緯方向のガイドズレが倍くらいになっていることに気付いて撮影中断。

SDカードを抜いて部屋のPCで撮影した画像を確認するとやはり南北方向にブレがあるのがわかり、そのまま極軸調整。10分くらいでいい感じに調整できて撮影再開。

待ち時間は『けものフレンズ』の動画配信を見ながら横目で PHD2 の画面をチェック。ガイドは好調。しかし予備のカットに差し掛かったところで 写野にベランダの天井が入ることがわかり撮影終了。

さて、結果は、とカメラからSDカードを抜こうとすると、ありません。二段落前で抜いたSDカード、戻してませんでした… あああ…

小学校の写真部で顧問の先生からこんな失敗談を聞いたことがあります。

旅行に出かけて旅先でたくさん写真を撮って記念写真も撮って、帰ってきてフィルムを巻き戻そうとすると感触がおかしい。実は最初にフィルムを装填した時にフィルムの先がスプロケットにちゃんと挿せてなくてフィルムが巻き取られていなかったのでした…

って、フィルムカメラを知らない若い人たちには何がなにやらわからないですね… *1 とにかく、この話を聞いただけで恐怖に震えた僕は、決してそんなミスを犯さないようにフィルムを入れたら巻き戻しクランクを軽く回してフィルムのテンションを確認するという癖がつき、一度もそういうミスはしてきませんでした。それがここにきて…

二度とこういうことのないように何か癖をつけておいたほうがいいですね。E-M5 はバルブで露光中は背面液晶表示が消えるのでカード検出の警告も消えてしまいますから、リモコンでシャッターを押す前にライブビューを確認する癖をつけておきたいと思います…

*1:わからない方はこちらのサイトを見るとどういうことなのか把握できると思います。

CP+ 見に行きました

CP+ 2017 見に行きました。出不精なものでこういうイベントには滅多に行かないのですが用事のついでで少し足を伸ばして二時間ほどふらふらしてきました。

初めてだったのであまり勝手がわからず、とりあえず赤道儀を見てきました。専門の天文ショップの実店舗には行ったことがなかったので、こういう機会に各社の製品を見ておこう、と。鏡筒の方はノーチェック。

元々レポートする気がなかったので写真とかほとんど撮ってないし、100% 自分の都合でしか見てなかったのであまり人の役には立たない内容ですが個人的な記録として…

ケンコー・トキナー

今まで一度も写真を貼ってなかったのですが、スカイメモSはこれです*1。微動台座&アリガタプレート + バランスウェイト + 微動雲台 + 専用三脚 でフル装備。

CP+ 2017: ケンコー・トキナー スカイメモS

望遠鏡を載せての展示はありませんでした。それが本来の使い方なのかも。

そして本家スカイメモ(の三代目)がこれ、なんですけどやや投げやりな展示。

CP+ 2017: ケンコー・トキナー スカイメモRS

バランスウェイトだけ付けっぱなしで放置って大丈夫なんですかね。6時の位置ならギアに負担はかからないから問題ない?

ちょっと気になったのは参考出品のこれ。

CP+ 2017: ケンコー・トキナー スカイユニット(参考出品)

スカイメモS用微動雲台に取り付けて手動式の簡易赤道儀にするパーツです。「スカイユニット」という名前が付いていました。簡易と言っても赤経赤緯共に全周微動がついています。

スカイメモSとは極軸の向きが90度違う形になりますが、スカイメモSの微動雲台は高度が0度から90度まで動かせるので問題ありません。高度を0度にすれば経緯台としても使えるはず。*2

もしそうなら BORG などの小型望遠鏡と組み合わせて、最初は経緯台として使って、天体に興味が出てきたら赤道儀としても使ってみて、天体撮影がしたくなったらスカイメモSにステップアップ、みたいな使い方ができるかも?

その他、NEWスカイエクスプローラーEQ6 PRO と NEWスカイエクスプローラー AZEQ6GT が展示されていました。AZEQ6GT 実際に見るとバカでかいですね… というか EQ6 PRO も十分デカかったです。やっぱり 20cm ニュートンとかを載せるにはこのくらいは必要なんでしょうか。

ケンコー・トキナーのブースでは MEADE のシュミカセも展示していたのですが、こちらはフォーク型経緯台ばかりでした。LX200-30ACF か 25ACF か確認しそびれましたが、とにかくデカいのが一際異彩を放っていました。

CP+ 2017: ケンコー・トキナー MEADE LX200-30ACF?

写真だとデカさが伝わりませんね全然… もう、なんか「兵器」って感じでした。

ビクセン

ビクセンブースの赤道儀ポラリエと AP 系がメインでした。SX2 あたりを見たかったんですけど。

CP+ 2017: ビクセン ポラリエ

ポラリエもオプションで色々拡張できるんですね。スライド雲台プレートDDに取り付けられたレンズは FUJINON XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR (重さ 995g)でしょうか。公式サイトの写真と同じ組み合わせのようです。フルサイズ換算200mmですが、説明員さんの説明を横で聞いてたら5分くらいの追尾なら大丈夫だとか。

AP赤道儀もバリエーションがいくつも展示されていました。

CP+ 2017: ビクセン AP星空雲台

CP+ 2017: ビクセン AP-SM マウント

このくらいのサイズ感の赤道儀がいいなぁと思って説明員さんに 1000mm くらいの直焦撮影は可能かどうか尋ねたのですが、あまりそういう用途は想定していないとのこと。

耐荷重的には写真にある A80Mf (8cm F11.4, 重さ 2.5kg)ぐらいが上限だけど、オートガイダーを使っても追尾精度はそこまで期待しないで欲しい的な説明。ベースが「星空雲台」なので、と。ポラリエの兄貴分ぐらいに思って欲しそうなニュアンスでした。

スカイメモSからのステップアップと思ってましたが、仕様を見るとウォームホイル径が73.5mmとスカイメモSの86mmより小さいんですね(歯数は同じ)。2軸ガイドができるのはいいのだけどガイド精度そのものが限界なら意味ないですね…

その他 AXJ 赤道儀がひっそりと(?)展示されていましたが、デカい赤道儀はまた今度とスルー。あとは GP2(?) 赤道儀に STAR BOOK TEN を付けて自動導入赤道儀にしたものが。GP2 をわざわざ中古で買って実売価格でも10万近いコントローラーを付ける気にもならないですねぇ…

BORG

BORG に赤道儀なんて… いや、ありました。なぜかユニテックのポータブル赤道儀 SWAT シリーズをセットで展示してました。

CP+ 2017: BORG 90FL日食撮影セット + ユニテック SWAT-350

SWAT-350 は実物を見ると結構頑丈そうに見えます。でもオプション揃えると高いんだよなぁ…

SWAT-350 に載っている鏡筒は発売予定の 90FL 日食撮影セット CH です。カーボン鏡筒仕様で2.1kg。焦点距離は付属テレコン使用で 700mm ですがこれをガイドできるということなのか、それとも日食用だから長時間ガイドすることは考えてないのか、そのへんちょっと聞きそびれてしまいました。

SWAT で撮ったと思われる*3天体写真が一緒に展示されていて、ばら星雲や馬頭星雲など十分に露出時間をかけないと撮れない天体が綺麗に撮れていました。90FL での作例があったか未確認。

SWAT-200 の展示もありました。こちらは 71FL との組み合わせ。

CP+ 2017: BORG 71FL+レデューサー7872セット + ユニテック SWAT-200

こちらはちょっと頼りない感じがしますがどうなんでしょう。

サイトロンジャパン

ここまでのブースは望遠鏡関連の展示としてまとめて展示場の隅っこで展示していたのですが、サイトロンジャパンは撮影用品関連のブースのある真ん中あたりに陣取っていて、しかもかなり大量の望遠鏡を展示していました。うっかり見逃すところでした。

展示していた赤道儀は、セレストロンの Advanced VX と新製品 CGX, Sky-Watcher の EQ5GOTO, AZ-EQ5GT, EQ6R など。

Advanced VX は予算10万円で赤道儀を買いたい… と思い悩んでいた時期に候補にしていたもの。マウント自体のサイズ感は悪くないけど、三脚が意外と場所取りそう。縮めた状態での展示でしたがそれでもベランダに入るかどうか微妙な感じ。

EQ5GOTO も候補に入っていた赤道儀ですが、これもマウントはともかく付属の三脚が意外と大きい。どちらも耐荷重が公称で 10kg 近くあるのでそれなりの三脚付けているんですかね。

というわけで、気がつくとベランダで使えそうな赤道儀を探していたのですが、なかなか難しい感じ。今度秋葉原に出た時に協栄産業シュミットでメジャー持ってじっくり検討してみますかね。

CP+ の天文視点での濃いレポートは PHD2 Guiding のマニュアルの日本語訳や、都心から撮る天体写真で知られる HIROPON さんのブログをどうぞ。

これ読むと、僕の方は見逃していたことがいっぱいありますね。あとちゃんとブースの人に話聞かなきゃダメですね。次回はがんばります…

*1:僕のは色違いで赤です。

*2:説明員と話すチャンスがなくて経緯台として使えるかどうか確認は取れていません。

*3:そう思っていたのですが、作例に赤道儀の名前は書いてなかったかも。→ 2017-03-01 追記: SWATの公式ブログで会場の作例を撮られた加曽利さんが作例について触れていました。SWAT + BORG での作例とのことです。

テンモンGO

ポケモンGO」が日本でサービスを開始したのが昨年7月。ポケモンはほとんどプレイしたことがなかったのですが、周りの熱気にのせられて始めてみたら結構ハマって一時期は毎日プレイしてました。そんな時期にノリで作ったのがこれ。

https://rna.sakura.ne.jp/share/TenmonGo/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%B3GO_20160811.jpg

「テンモンGO の図鑑」です。今まで撮った天体をポケモンGOの図鑑風にまとめてみました。さすがにアプリまで作る気力はないので GIMP でチマチマ作ったものです。手作りなので一部ミスも。8月11日時点で「捕まえた数: 38」となっていますが実際は39です。

図鑑にセレクトした天体はメシエ天体全部と藤井旭『全天星雲星団ガイドブック』*1で紹介されていた天体のうち、特に撮ってみたいと思っている天体です。

あれから半年経って「捕まえた数」は 64 になりました。20秒露出時代の薄い写りの天体も一部はオートガイダー導入後に撮った写真で更新しています。

こういうのを作って眺めてると気持ちがアガって、今度はあれ撮ろう!という気分になってきますね。

ちなみに「見つけた数」は眼視で見た数にしようかなと思ったのですが、見つけた数の方が捕まえた数より少なくなるのも変な気がして撮った数と同じにしてあります。眼視もやってみたいのですが自宅からではさすがに難しそうです。

2017-03-02 追記: セレクトした天体(メシエ天体以外)

符号 通称 説明
Barnard 33 馬頭星雲 オリオン座の暗黒星雲
IC2177 わし星雲(かもめ星雲) いっかくじゅう座の散光星
IC5067〜5070 ペリカン星雲 はくちょう座の散光星
Mel 25 ヒアデス星団 おうし座の散開星団
Mel 111 かみのけ座の散開星団
NGC869とNGC884 ペルセウス座二重星 ペルセウス座散開星団 h+χ
NGC1499 カルフォルニア星雲 ペルセウス座の散光星
NGC2237 ばら星雲 いっかくじゅう座の散光星
NGC3242 木星状星雲 うみへび座の惑星状星雲
NGC5139 ω星団 ケンタウルス座の球状星団
NGC6992-5 網状星雲 はくちょう座の散光星
NGC7000 北アメリカ星雲 はくちょう座の散光星

*1:1981年発行の第四版。つまり僕が小学生の頃に買った本。

ノータッチ追尾で撮る夏の星雲・星団

前回の続きです。

光害の中で散光星雲のような淡い天体が撮れるのかという懸念があったのですが、昨年5月、カメラレンズで天の川を撮影した際にいて座の散光星雲が識別できる程度には写ることがわかりました。

そんなわけで翌月の6月6日と10日にいつもの望遠鏡でいて座の星雲や星団を撮りました。例によってスカイメモSでノータッチ追尾20秒露出です。

M8 干潟星雲 (2016/6/6 01:31)
M8 干潟星雲 (2016/6/6 01:31)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M20 三裂星雲 (2016/6/6 1:38)
M20 三裂星雲 (2016/6/6 1:38)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M17 (2016/6/10 23:49)
M17 (2016/6/10 23:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M16 (2016/6/10 23:59)
M16 (2016/6/10 23:59)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

撮ることは撮ったよ、という感じでしょうか。三裂星雲が三つに裂けているのが写っていて嬉しかったのですが、そのど真ん中を人工衛星が横切ってしまうという不運…

どれも荒れ気味の画像なのはコンポジットの枚数が足りなくてノイズが多いからです。8枚は使いたいので10枚くらい撮るのですが、この時期はなぜか追尾がブレがちで歩留まりが悪く、撮ったカットの半分くらいしか使えませんでした。

露出もこの倍くらいは欲しい感じですが背景が既に66%ぐらいでこれ以上は画像処理が難しい、というか既に階調があまり残せない状態です。光害カットフィルターがあればなんとかなるんでしょうか。でもこのあたりの街灯やマンションの廊下の明かり、もうほとんどLEDになってるんですよね…

光害カットフィルターは水銀灯やナトリウム灯の輝線スペクトルをカットする仕組みなので白色LEDの連続スペクトルには無力です。それでも(今のところ)ないよりはずっとマシだと後に判明しているので今年は頑張ってみたいです。

その他こんな天体も撮りました。こぎつね座の惑星状星雲「亜鈴状星雲」こと M27 です。

M27 あれい状星雲 (2016/6/11 00:54)
M27 あれい状星雲 (2016/6/11 00:54)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 1600, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

露出が足りなくて縁の赤いところが曖昧ですが青い色はよく出ていて宝石のようです。それに意外と大きい。メシエ天体の惑星状星雲としては最大とのことですが*1 期待以上でした。

球状星団もいくつか撮りました。

M28 (2016/6/6 01:48)
M28 (2016/6/6 01:48)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 800, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M22 (2016/6/6 01:55)
M22 (2016/6/6 01:55)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 800, 20s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M15 (2016/6/11 01:53)
M15 (2016/6/11 01:53)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー
ISO 800, 20s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

球状星団もそれぞれ個性があるのがわかります。M22 でかい。迫力あります。M15 は美形な感じ。M28 は… これはもっと長焦点で狙ってみたいところ。今の機材では無理かな…

球状星団は微光星の粒がノイズに紛れてほしくないので ISO 感度を落として撮っています。追尾が少しブレるだけでも辛くなるので歩留まりも悪くなりがち。

初めて見る天体ばかりで夢中になっていっぱい撮りましたが、限界も見えてきた感じです。限界の中で楽しむか、限界を超えていくのか… などと考えていると天文ショップのサイトで赤道儀を眺める時間が多くなっていくのでした。(つづく)

続き:

*1:中西昭雄『メシエ天体ビジュアルガイド』(誠文堂新光社) p63