Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

馬頭星雲, M46+M47, M67, しし座の三つ子銀河 (2016/12/8)

先日のエントリ「星が青くならない件」で、光害カットフィルターを使っていると青白い星の青みが出ないらしいという話をしていて思い出したのですが、一時期、あえて光害カットフィルターを使わずに撮っていたことがありました。

2016年12月8日。この日は馬頭星雲を光害カットフィルターなしで撮っていました。当時使っていたフィルター LPS-D1 QRO (48mm) の不良で星像が菱形に歪むのが嫌で、*1 フィルターなしでどの程度写るか試したかったからです。

馬頭星雲 (2016/12/8 00:34)
馬頭星雲 (2016/12/8 00:34)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 ED屈折用0.6xレデューサー (合成F3.6) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 3分 x 8コマ 総露出時間 24分 / DeepSkyStacker 3.3.2 Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 600mm 相当にトリミング

ガイドが不安定だったのと、当時は「なんちゃってディザリング」をしていなかったのでいわゆる縮緬ノイズが目立ちますし、やはりフィルターなしだと赤い星雲がクッキリと出ないのでボツにしていたのですが… オリオンの三ッ星、青いですね!?

光害のカブリを除去するためのレベル補正で階調が失われているせいか光のにじみに透明感がないのですが、星の青みははっきり出ています。フィルターを使った写真と比べると明らかに青いです。

この日はとも座の二重星団(M46 + M47)も撮りました。

M46, M47 (2016/12/8 03:10)
M46, M47 (2016/12/8 03:10)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 ED屈折用0.6xレデューサー (合成F3.6) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 3分 x 8コマ 総露出時間 24分 / DeepSkyStacker 3.3.2 Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 600mm 相当にトリミング

左の星の粒が細かくて密集している方が M46、右の星の粒が大きくまばらな方が M47 です。星の粒が小さくてわかりにくいですが、M46 の方は星が青みがかっています。M47 の方も他の人の写真では青みがあるのですが、この写真ではかすかにしかわかりませんね。

かに座の散開星団 M67 も撮りました。

M67 (2016/12/8 03:44)
M67 (2016/12/8 03:44)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 ED屈折用0.6xレデューサー (合成F3.6) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 3分 x 8コマ 総露出時間 24分 / DeepSkyStacker 3.3.2 Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 600mm 相当にトリミング

この星団はオレンジ色の星と青白い星が混ざっています。わずかながらですが青白い星の青みが出ている、かな?

最後はしし座の三つ子銀河です。

M65, M66, NGC3628 (2016/12/8 04:17)
M65, M66, NGC3628 (2016/12/8 04:17)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 ED屈折用0.6xレデューサー (合成F3.6) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 3分 x 8コマ 総露出時間 24分 / DeepSkyStacker 3.3.2 Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1150mm 相当にトリミング

銀河は光害カットフィルターなしでもそこそこ写るのですが、淡い部分は光害に負けてしまいがちです…

*1:詳細については「LPS-D1 QRO について」を参照。

星が青くならない件

昨日のエントリ「みんなの星は青いのに…」の件、コメント欄で色々教えて頂きましたが、光害カットフィルターのせいでは、という話になってきています。

具体例があるほうがわかりやすいので6月に撮ったさそり座の散開星団 M6 で見てみます。

M6 は英語圏では Butterfly Cluster と呼ばれていますが、どのへんが Butterfly かというのはこちらのエントリに書きました(描きました)。

ほんとかな?一応そうだということにしておいて、この星団、蝶の左の羽根の先の星と左の触角の根元の星が赤っぽい色で、他の明るい星は青白い色です。背景の微光星は天の川の星で黄色っぽい星が多い感じ。

参考にネットに公開されている写真をいくつか。

で、僕の撮った写真ですが、RAW から DeepSkyStacker でダーク/フラット/コンポジット処理した直後の状態はこれです(カメラのホワイトバランスはオート)。

M6 (カラー調整なし)
M6 (カラー調整なし)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 ED屈折用0.6xレデューサー (合成F3.6), LPS-D1 48mm / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 5分 x 8コマ 総露出時間 40分 / DeepSkyStacker 3.3.2

光害のカブリが激しいですね… 光害カットフィルター(LPS-D1)を使うとカラーバランスが青に倒れるので背景は青っぽくなっています。DSS の出力はなぜか彩度が落ちるのでこんな感じですが、ライブビューや撮って出しのRAWだともっと青々としています。

これを、Lightroom Classic CC *1色温度と色かぶり補正を調整して、背景がニュートラルグレー(ちょっと青寄り)になるようにして、黒レベルとトーンカーブを調整して背景を暗く落としたのがこれです。

M6 (背景がニュートラルになるよう調整)
M6 (背景がニュートラルになるよう調整)
Lightroom Classic CC で画像処理

彩度を上げていないのでわかりにくいですが赤い星は縁に赤い色が出ていますが、青い星はほぼ真っ白です。普段はもっと彩度を上げて色を出して、明瞭度も少し上げて微光星を目立たせたりしています。

昨日のコメント欄で id:snct-astro さんから背景=ダーク領域だけ青カブリを除去するとよいのでは?というコメントを頂いたので、Lightroom Classic CC の新機能の輝度指定のマスク*2 を使って、全体を青みを残すように調整しつつ、輝度の低い部分はマスクをかけてニュートラルに補正してみました。

M6 (低輝度部分をニュートラルに)
M6 (低輝度部分をニュートラルに)
Lightroom Classic CC で画像処理

おお、青くなった?でも青くないはずの微光星も青くなっているような… これはダメっぽい気がします。

光害地撮影の大先輩 HIROPON (id:hp2)さんも星の色には悩んでいるとのこと。

  • 光害に紛れた淡い光を捉えるために長時間露出するので明るい星が白飛びする
  • 光害の中から淡い天体をあぶり出すために強調処理をかけると星の縁に残った階調も失われる
  • そもそも光害カットフィルターで青や緑系統の光が一部カットされている

ということで、特に青い星の色は抜けやすいとのことです。

上の例では星団ということもあって強調処理は赤い散光星雲の写真などに比べるとずっと控えめ(カブリのカットのみ)ですが、やはり赤みは残る一方で青みは失われています。となると、光害カットフィルターが主犯?

そもそも光害がなければフィルターの影響もカブリ除去の影響も最小限で済むんですよね。遠征するしかないんですかねぇ。でもうちは一応横浜の空に届いた星の光を撮るのがテーマだし…

でも憧れなんですよね、透明感のある青白い星の光。遠征かあ… id:snct-astro さん曰く「一度暗いところで撮影したところ、光害地で撮影する気力が失せてしまった」ということだし、危険な領域ですねぇ。もっとも車がないので、電車・バスと徒歩で行ける範囲となると限られてきますが…

*1:昨日バージョンアップして従来の Lightroom CC は Lightroom Classic CC になりました。これとは別にモバイル版から進化したバージョンが Lightroom CC と呼ばれるようになりました。ややこしい…

*2:参考: どこが変わった?!Lightroom Classic CCと新しいLightroom CC最速レビュー! | studio9

みんなの星は青いのに…

前から気になってたんですけど、他の人の撮った天体写真見ると青白い星の周りが青く色付いて写ってるじゃないですか、オリオン座の三ッ星とか、散開星団の星とか。僕の撮った写真だとどうしても青くならないんですよね。真っ白になっちゃいます。

どうしたらあんなふうに青く写るんでしょう?反射望遠鏡で撮った写真でも青いから色収差の青ハロではないはず。画像処理の問題なんでしょうか?

特に散開星団の写真で星の色が出ないとかなり地味な絵になってしまうんですよね。なんとかならないかなぁ…

月と金星 (2017/10/18)

早朝コンビニに行った帰り道、東の空の雲が晴れて月と金星が顔を出しているのに気付いて帰宅してすぐベランダに出て撮影しました。

月と金星 (2017/10/18 05:29)
月と金星 (2017/10/18 05:29)
ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0 (f53mm 絞りF2.8) / 固定撮影 / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/6秒 / Lightroom CC で画像処理

月と金星 (2017/10/18 05:29)
月と金星 (2017/10/18 05:29)
ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0 (f100mm 絞りF2.8) / 固定撮影 / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/6秒 / Lightroom CC で画像処理

月齢は27.6。空が明るくてわかりにくいですが、うっすらと地球照も見えています。

金星は肉眼ではもっとギラギラしていたのですが写真だと地味にしか写らないのどうにかなりませんかね…

夜なら露出時間を伸ばせばそれっぽく写るのですが。試しに1/2秒で撮った露出オーバーでほぼ真っ白(背景が94%)でした。極端な設定で現像すれば見れる写真にはなるのですが、たいして星像は大きくならないし、空の色調やグラデーションが不自然になったのでボツにしました。

と思ったけど…

ボツにした1/2秒のやつ、なんとか現像してみました。

月と金星 (2017/10/18 05:30)
月と金星 (2017/10/18 05:30)
ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0 (f100mm 絞りF2.8) / 固定撮影 / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/2秒 / Lightroom CC で画像処理

露光量 -1.7、黒レベル -83、トーンカーブは触らず、です。最初トーンカーブでどうにかしようとしてダメでした。空のグラデーションが厳しいかな…

欠けていく月 (2017/10/9-10/12)

天候に恵まれて10月9日の明け方から10月12日の明け方まで、4日間連続で月を撮ることができたので、アニメーションにしてみました。月齢18.6から21.5までの欠けていく月です。

https://rna.sakura.ne.jp/share/MOON-PA091566-121599.gif
月(2017/10/9〜10/12)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/80s〜1/50s / Lightroom CC で画像処理

月の秤動(首振り運動)がわかると思います。フレームの位置合わせがあまり正確ではないので少しぎこちないですが… また、月がだんだん離れているため、わずかですが月の大きさもだんだん小さくなっています。

各フレームは Sub-Earth Point が中心になるように、そして月の地軸が垂直になるようにトリミングしています。iOS アプリ「Moon Globe」で月面の地形を目で照合しての作業ですし、写真自体が大気の揺らぎで地形が歪んで写っているため、あまり正確ではありません。

元の写真は Flickr のアルバム「月(2017/10/9〜10/12)」に置きました。ちなみに最後だけ撮影時刻がちょっと早いのは曇り空で雲の隙間からなんとか撮ったカットだからです…

もっと枚数を増やしたいところですが今夜は雨の予報。残念。

月とアルデバラン

夜明け前、北日本ではアルデバラン食でした。

横浜では食にならず、でも月に近づくアルデバランもいいかなと思って、撮影するつもりでいました。が、寝過ごしてしまって、起きた時には月からだいぶ離れてしまっていたアルデバラン

月とアルデバラン (2017/10/10 04:36)
月とアルデバラン (2017/10/10 04:36)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO400, RAW) / 露出 1/60s / Lightroom CC で画像処理

右下に見える星がアルデバランです。天球上での月の移動速度は1時間で0.5度(≒月の直径)くらい。一時間ほど早起きしてればよかったかな…

お詫び: HTTPS 対応で大変なことに…

お詫びです。先ほど天文リフレクションズのブログ一覧を見てびっくりしたのですが、一覧が僕の過去記事で占拠されてしまっています… すみません、はてなブログHTTPS 化対応のため一括更新をかけたところ、更新が検知されてしまったようです。スパムみたいになってしまって申し訳ありません。

背景の説明を。

先月末に、はてなブログが近々HTTPSに対応するというアナウンスがありました。

HTTPS化には個々のブログ側でも作業が必要な場合があり、ブログ内に埋め込まれた画像や CSSJavaScript の参照先が HTTP の場合は HTTPS に置き換える必要があります。

当ブログは画像の一部を外部レンタルサーバーに置いていて、これらは今まで HTTP で参照していましたので、今回全て HTTPS に置き換えました。

ブログの更新には AtomPub に対応したコマンドラインツール HatenaBlogWriter を使っていたので、ローカルでエントリファイルに検索置換をかけて一括更新したところ、天文リフレクションズに全て更新記事として検知されてしまったようです。

更新された記事のフィードを見ると published は元の日付のままですが、updated が更新されているため、updated で更新をチェックしているツールは反応してしまうようです。はてなの更新通知も飛んでいるのでしょうか…

お騒がせして申し訳ありませんでした。こうなるとわかっていれば一週間ほどかけて1つずつ更新していくとかすればよかったですね…