Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

オートガイダー導入記 (7): 屋外での撮影のテスト

前回の続きです。

ベランダの天井に邪魔されずに天頂付近の天体を撮影するには屋外に機材を持ちだして撮るしかありません。オートガイド撮影となると、通常の機材に加えてオートガイダーとノート PC も持ちださなくてはなりません。荷物が増えたり設置の手間が増えることもさることながら、ノート PC が必要になることでバッテリー容量に撮影時間が制約されるのが問題になります。

今時のノート PC のバッテリーは通常使用で 7 時間くらいは持続しますが、使うのは 6 年前の機種ですし、PHD2 がガイド中にどのくらい電力を食うのかわかりませんし、またオートガイダーの電源も USB 経由でノート PC から供給することもあるので、持続時間は通常よりは短いはず。

赤道儀自体の電源については、スカイメモS の場合は消費電力がとてつもなく低くて三ヶ月くらいは電池交換不要なので気にしたことがありません。電源は単3電池4本ですから予備も気軽に用意できます。

まあ、ダメならダメで仕方がないのでとにかくやってみようと、昨年11月5日と7日にまた近所の駐車場で撮影しました。持って行ったノート PC は Lenovo ThinkPad X201s (Cor i7 L620)です。バッテリーは 6 セルバッテリーを装着しました。

5日のターゲットはアンドロメダ座の大銀河 M31 と、さんかく座の銀河 M33 と M45 プレアデス星団です。M33 と M45 を選んだのはベランダから撮影した時のカブリが本当にベランダの天井の照り返しのせいなのかを確認する意味もあります。

M31, M33, M45 の順で 90 秒露出で 10 枚ずつ撮影したのですが、初手から極軸調整に手間取ったり、途中で駐車場に面したアパートの住人のおじいさんから声をかけられたり、なぜかガイドが暴走しておたおたしてるうちに機材を動かしてしまって極軸の再調整が必要になったりして時間をロス。

結局 M45 の撮影途中の2時間40分でノート PC のバッテリー警告が出て時間切れ。ちなみに途中でピント位置がずれていたようで M33 は若干ピンぼけ、M45 か完全にピンぼけでした。

M31 (2016/11/05 22:32)
M31 (2016/11/05 22:32)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1 QRO
ISO 1000, 90s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算597mm相当にトリミング

M31 はそこそこ雰囲気のある写りになりましたが、外側の淡いところがあまり出ていません。90 秒では露出不足のようです。

M33 (2016/11/05 23:06)
M33 (2016/11/05 23:06)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1 QRO
ISO 1000, 90s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算1150mm相当にトリミング

M33 は先に述べたようにちょっとピンぼけ。でもそれ以上に星像が菱型にくずれているのが気になります。

LPS-D1 QRO を使うとこの傾向があって、実際ライブビューで見ても星像が菱型に見えてピント合わせに苦労するのです。これは後に不良品と判明して最終的に QRO でない無印の LPS-D1 と交換してもらいました。

ベランダで撮った時にでた画面下部のカブリについては今回は出なかったのですが、かわりに画面上部に少々カブリが… 今度は街灯の迷光?よくわかりません。

この日は他にもフラット撮影用に使う iPad を忘れてフラットが撮れず、過去のフラットで代用することになったり、散々でした。

ということで諸々反省した上で翌々日も出動。今度は ThinkPad の電力設定を省電力側に倒して再挑戦。(つづく)

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